長野県下ではコワーキングスペースがここ数年で増えてきました。長野、須坂、上田、松本、安曇野、下諏訪、伊那、千曲市など地域の交流地点となるような場が広がりはじめています。

そんな中、長野市西後町にあるコワーキングスペース『CREEKS COWORKING NAGANO』は移住・起業・子育ての三つの切り口で、長野市で暮らす人をサポートしています。シェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、図書館のようなオープンスペースがあり、セミナーやイベントなども開かれ、様々な職種の人たちの交流地点にもなっています。行政や金融機関との連携も図り、多方面からの情報が集まるコワーキングスペースは、この地域でビジネスを始めようとする人の窓口とも言えます。

そんなCREEKSの企画運営や広報、コーディネーター業務全般を担う波多腰遥さん。施設利用者のみならず、県内外で活躍する人が交流する場にしたいと話し、この場所から広がる可能性に期待を膨らませます。

「悩みや価値観を共有し、新しいものが生まれる場をつくりたい。CREEKSは空間としてだけにとどまらず、様々な人の暮らし方をサポートする窓口となっています。移住者と移住先をつなぐきっかけづくりをすることもあります。起業する人のビジネスサポートもします。イベントなどでは実際にその場に居合わせた人たちとプロジェクトが始まることもあります」

波多腰さんは長野市出身の22歳。学生時代には寮生活をしていましたが、自己表現が苦手で、思いを共有できる仲間が少ないことに悩み、価値観を共有する場所に悩んでいたと言います。ある時、そんな思いを先輩に打ち明けると「学校の生活に限らず、色々な世界や価値観に触れてもっと外へ出て、社会とつながりをもった方がいい」と教えられました。そんな先輩の言葉をきっかけに、同じ悩みをもつ友人と善光寺下駅近くにあったbook&cafeひふみよに通うようになり、そこから長野市善光寺界隈のシェアハウスや、リノベーション物件を知ることとなります。友人と一緒に人が集まれる場所や仕組みについてよく話すようになり、次第に自分でもそんな場所をつくりたいと思うようになりました。

「人が集まる場には情報が集まり、お互いに成長していくきっかけがあると知りました。僕は人が考えに考えて、なにかを生み出そうとする瞬間がすごく好きなんです。それを見ていたい。CREEKSでは一歩踏み出そうと頑張る人をそばで応援したい」

学生時代、学校から外へさまざまな場所へ足を運ぶようになった波多腰さん。コミュニティにおけるグループ心理学や行動心理学を調べるようになり、より円滑に人が交流する空間づくりを実践してみようと思い始めました。そして、起業・移住・子育てなどのサポートをするCREEKSで自分のやりたい場づくりをはじめようと感じたそうです。

5月には、波多腰さんが橋渡しとなり、学生と社会人の交流会を企画しています。
長野市内に住む学生と社会人が一緒になって活動をはじめるきっかけづくりをしていきます。学生と社会人、それぞれの活動を報告し合い、共同で運営するプロジェクトを生み出していくことがねらいです。すでに、定員の半数は大学生からの申し込みが来ているそうです。『長野市 まちの歓迎会』と題したこの企画に、波多腰さんの強い思いが記されています。

『まち』について知りたい学生や新しいことを始めたい学生は、地域の方とつながりを持つチャンス。学生に周知したい・参加してもらいたい団体／企業は活動を周知する良い機会になると思います。学生のみなさん。
この機会に、学校から「まち」へ飛び込んでみませんか？
出会いはなにも、キャンパスのなかだけじゃありません。
ひとつ前に踏み出そうとするあなたたちを、『まち』は待っています

そして、コワーキングスペースならではのコミュニティとそこでやりとりされる情報が、世代を越えた新しいビジネスチャンスをつくっていきそうな予感がします。