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No.198

青木

弘美さん

有限会社酢屋亀本店 取締役 商品開発担当

知識と経験、アイディアで
味噌の魅力を広める商品を

文・写真 Takashi Anzai

地産地消より適地適作

「すや亀」の屋号で知られる門前みその老舗、有限会社酢屋亀本店。生味噌がおいしいだけでなく、仲見世で人気を博す「みそソフトクリーム」をはじめ、味噌を使った加工食品を次々と発売してきました。その数、なんと300以上。

約5年前から商品開発の担当となった、取締役総務部長で社長夫人の青木弘美さんは、こう話し胸を張ります。

「小さい会社ですから量産はできませんので、技術や知識を磨いて、そのうえで創造性も発揮してやっていくしかないと思っています。うちくらいの規模でこれだけのアイテムがある企業はなかなかないでしょうね」

次々と新しい商品を市場に投入している同社ですが、目新しいアイディアだけで勝負しているわけではありません。

「添加物や保存料は使わないで、家庭にあるものでつくるというのがコンセプトです。安心だということももちろんですが、保存料は本来の味を変えてしまう。化学的な味ではなく、素材本来の味を楽しんでいただきたいんです」

取材に伺った日は、千曲市の杏をつかったドレッシングの試作が佳境を迎えていました。人気のたくあんも地元農家と契約栽培で材料の大根を調達しています。しかし、すや亀が大事にしているのは、地産地消よりも適地適作という考え方です。

「地元の良さが出るものとそうでないものがあります。たとえば大豆は北海道産をつかっていますが、一方で、杏やりんごなど、信州の食材でいいものがあったら、それを生かしたいとも思っています」

食事処のオープン以来、人気のおにぎり籠は、味噌おにぎりに加えて味噌汁や漬物など、すや亀自信の素材が味わえる

初めての仕事はたくあん漬け

青木さんは佐久地方の生まれ。実家は農家で、りんごやぶどうなどの果樹を栽培していました。その育った環境も、味覚に携わる現在の商品開発の仕事に生きていると青木さんは振り返ります。

「母親は、化学的なものの味はおかしいし、着色料の入ったものは体にいいわけがないと言って、口にしませんでした。それと、いつも採れたてのものを食べて暮らしていたので、それが大きいのではないかと思います」

すや亀に嫁いできたのは36年前。当時は僅か7名の会社で、青木さんの最初の仕事はたくあんを漬けることだったといいます。結婚前、事務の仕事をしていて、食に関する仕事は初めてだった青木さんは、義母の味を真似ることから始めました。

「天日干しをして、ぬかに漬けこむのですが、それは今も変わりません。こんな馬鹿正直につくっている会社は少ないでしょうね(笑)。でも、今は自宅で漬けなくなってしまった家庭が多く、昔ながらのものが食べたいという方が多いので、続けていきたいです」

開発担当は青木さんを含め3人。この日は杏のドレッシングを試食

その間、すや亀は昭和60年、飲食コーナーを併設した小売店を開設。顧客と直接のコミュニケーションが商品開発に影響していきます。

「自分の作った商品を販売して、お客様の反応を見て、そしてまた商品を作る。そして、食堂では、みそ食文化の提案をして、おいしいものを知っていただくようになりました。それから展開が変わっていきましたね」

前述のとおり次々と新商品が生み出され、小売や通信販売の売上も伸び、気付けば従業員40人の企業にまで成長していました。

昨年、発売されたごはんの友、カレーみそ(右下)ほか、みそや大豆の風味を生かした商品を次々と生み出している

やっぱり味噌が好き

青木さんが商品開発の担当になる前は、社長でご主人の茂人さんが主に新しいアイディアを出し、商品化までの工程を管理していました。その中には、ロングセラーとなっている「くるみ味噌」や「みそソフトクリーム」はじめ、もちろん残るものもあれば、消えていくものもありました。

「社長はいろんなところで新しいものを見てきて、とりあえずやってみるんですけど、早すぎるんですよ(笑)。たとえば、ラスクも流行るずっと前にやってみて、売れなかった。やめた後で流行る。うちでやめたけど、今ごろブームになっているね、ということはよくありますね」

次々と新しい発想で新商品を生み出していた社長と比べて、青木さんの仕事ぶりは堅実な印象を受けます。

「新しい商品の発想は、調理の経験から出てくるものだと思います。経験があって、取り合わせだとか、使い方の発想が生まれてくる。あと重要なのは食いしん坊ということ(笑)。おいしいものを食べたいとか、盛り付けたときに色がきれいなものがいいとか、そういうことはイメージをするときに大事ですね」

新しい商品を通して幅広い味噌の使い方を提案している青木さんですが、一番おいしい食べ方を尋ねると、笑顔でこう答えました。

「やっぱり生のお味噌が一番おいしいと思います。お椀にお味噌と鰹節と、ちょっとしたお薬味を入れていただくのが一番ですね」

味噌を使ったアイディア商品が次々と生まれるのは、そもそも味噌そのものが好きな人だからこそという気がしました。

昭和60年に新設した店舗のおかげで、顧客とのコミュニケーションが密になり、商品開発にも生かされているという

(2015/02/23掲載)

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会える場所 すや亀
長野市西後町625
電話 026-235-4022
ホームページ http://www.suyakame.co.jp
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