No.089
山岸
惇さん
アウトドアカメラマン"チャレンジ君" ナガノアウトドアレジャーガイド「goat」代表
長野から日本のアウトドアを盛り上げる前例のないイベントが9月13日から2日間
文・写真 Takashi Anzai
約40種類のアウトドアアクティビティが楽しめる"アウトドアの遊園地"
9月13、14日の両日、生坂村でアウトドアレジャーの遊園地とも呼ぶべきイベントが開催されます。その名も「ナガノアウトドアフェスティバルin 生坂村」。約40種類のアウトドアアクティビティが遊び放題で、前売り券なら2日間でなんと大人3,000円と破格の価格設定。生坂村とのタイアップにより、広大な敷地でパラグライダー、熱気球、ラフティング、マウンテンバイク、クライミング、忍者体験、トレジャーハンティングなどが体験できます。
このイベントを企画、主催するのはアウトドアカメラマンの山岸惇さん。長野県のアウトドアレジャーを紹介するサイト「goat」を運営しています。
山岸さんは取材活動を通して、長野県のアウトドアアクティビティを楽しむ環境は国内一ポテンシャルが高いと感じてきました。一方で、もっと多くの人にまずは”味見”してもらえるような、気軽なきっかけがあればいいとも感じていました。
「たとえばラフティングだったら半日8,000円、家族で泊まりがけで体験するとなったら出費はすぐ5万円を超えてしまいます。初めての人には少しハードルが高い。もっと気軽にアウトドアへ足を踏み入れる最初の1回目を体験してもらえないかなと思っていて。1回でもやった人はその楽しさを肌で感じるので、それだけの金額の価値があることをちゃんと認めてくれると思うんです」
ナガノアウトドアフェスティバルでは、テント持ち込みも無料です。「2~3万円で家族4人が泊まりがけで遊びに来られます」と山岸さんは言葉に力を込めます。
「まず乗ってもらったり、触れてもらったり、というのがすごく大事だなと思っていて。このフェスでは基本は15分~30分くらいずついろんなアクティビティが体験できるんですよ」
1か所で同時に山、川、空を楽しめるアウトドアイベントは前例が見当たらず、しかも企画が動き出したのは今年5月とあって、山岸さんはイベントのPRに多忙な日々を送っています。松本城から善光寺まで72キロの道程をラフティングやマウンテンバイクで移動するキャンペーンも行いました。しかし、そのハードな活動を説明する表情には笑顔が溢れています。
「好きだから力いっぱい遊べます。遊ぶんだけど、ちゃんと(映像や写真などの)素材を持って帰ってきて魅力を人に伝える。そうすると遊ぶのにも大義名分ができますから(笑)」
長野県の起伏は日本一だと話す山岸さん。いわく「日本一の険しい起伏を持つ長野県の山岳立体図は遊園地にしか見えない」
山の起伏が遊園地にしか見えない!
出版社の営業マンとして県内各地を回り、長野県はアウトドアフィールドとして日本一だと確信したという山岸さん。長野県の山岳立体図を手にして、興奮気味にこう話します。
「僕にはこの起伏が遊園地にしか見えないんですよ!」
実際、山岸さんたちが運営するサイト「goat」には、アウトドアに縁がない人が見ても心躍るような写真や映像が満載です。
昨年4月から1年間、無報酬でいいから撮りたいものを撮ると決めて、山岸さんはアウトドアカメラマンの道を踏み出しました。
「営業時代から、漠然とかっこいい写真が撮れたらいいなぁと思っていました。人に何かの魅力を伝えるには写真が一番重要な要素だと思っていたんですよ。言葉で『こういうのやりましょう!』とか長々話して、広告のスペースを確保して、カメラマンとライターさん手配して、ってやっても、最後に出てくるアウトプットはほぼ写真一枚だったりする。そう考えたら、自分で撮れた方がいいと思って」
そして、アウトドアに特化することは競合ひしめくカメラマンの世界で生き残っていくための戦略でもありました。
「僕はジュエリーとか撮れないんですよ。照明器具も持っていないし。でも、誰よりもカメラ持って山に登る能力はあります。長野県の中でも誰よりも山に登れるスキルを持っていたら、カメラマンとしてもやっていけるんじゃないかなと思って、1年間ひたすら山に行きました。どんな過酷な状況でも自分で行く、自分で撮影して自分で記事を書くというのをモットーにしています」
そうして集まった素材が「goat」に収録されています。
「これだけのフィールドが長野にはありますよという思いを込めています。新しい観光的な要素としても、かっこいいビジュアル的な要素としても、長野はすごい。そういう素材を見つけ出して世に出していくんです。まだまだ全体の10%も紹介しきれていません。でも、これをずっと続けていけば、もっとすごい長野を世界に見てもらえますよ」
日本有数のアウトドアフィールドで活動しているうちに、国内トップクラスのアスリートと繋がるようになったという
"アウトドアの聖地"にあるべきものをゼロからつくる
「goat」を運営する主要なスタッフは3人。山岸さん以外の2名はスノーボードアルペンで日本1位と2位という凄腕です。うち1人は熱気球のオペレーターなど多数の資格を持っています。山岸さんは「アウトドアの長野県選抜みたいなものですね」と胸を張ります。
3人の目標は長野県をアウトドアで盛り上げること、そして長野県からアウトドアスポーツを盛り上げていくことです。
「お年寄りや子どもに聞いても『長野県といえばアウトドアだ』と言ってもらえるくらいにしたいですね。アウトドアの聖地にあるべきものはすべて生み出していくつもりです」
無我夢中でイベントの告知活動をしているうちに「goat」のページビュー数も跳ね上がり、月間10万PVを超えました。山岸さんは想定内だとしながらも、全体のビジョンからはまだまだスタート地点に過ぎないと話します。
「今の進捗は自分の構想の10%くらいです。みんなに長野のアウトドアフィールドってすごいんだね、と思ってもらうだけの情報は集まってきました。でもまだ十分ではないです。それと、実際に人を呼んで、ほらそのとおりでしょ、って言えるようなことをしなければいけない。今はネット上の情報だけですけど、やっぱり人間なんでアナログな訴え方もしなければいけないんです。そのためのフェスという意味合いもあります」
ナガノアウトドアフェスティバルには、当初の目標だった40種類を超えるアクティビティが集まりました。アクティビティの出展にも12団体が手を挙げました。実際に山岸さんの熱意あふれつつも、戦略的視点をもったビジョンを聞いていると、わくわくさせられます。それと同時に、きっと成功するに違いないと期待を抱かずにはいられません。そのことを伝えると、こんな言葉が返ってきました。
「僕らはアウトドアだけで飯を食っていきたいんです。そのために前例のない挑戦をしています。これまで成功した偉人というのは、成功するまで続けた人なんだと思うんです。ということは、本当に好きなことさえ見つければ、いつか成功する。そう信じて進み続けます」
ナガノアウトドアフェスティバルは各アクティビティの追加料金がない、驚きの価格設定
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会える場所 | アウトドアレジャーガイド「goat」 長野市権堂町2341-1ツタハウス 電話 ホームページ http://nagano-outdoor.com/ フェイスブックページ https://www.facebook.com/nagano.outdoor.leisure ナガノアウトドアフェスティバルin 生坂村 |
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