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No.087

北澤

さん

ねこぽぽテラス店主

古民家改装は自由の象徴

文・写真 Yuuki Niitsu

おやじの残した庭を活かしたいという思いから

「古民家改装=自由の象徴ですかね」
こう話すのは、長野市若穂の隠れ家カフェを営んでいる店主の北澤翼さんです。

実家の800坪もある広大な土地の一角に現在、北澤さんと奥様、そして奥様のお母さんの3人でピザとコーヒーが楽しめるカフェ「ねこぽぽテラス」を営んでいます。
実はグラフィックデザイナーが本業の北澤さん。
なぜカフェを営むことになったか、そのきっかけを話してくれました。

「うちのおやじは庭が好きで、茶室やら庭いじりをしては楽しんでいたんですよ。そんなおやじが亡くなって、なんかこの場所を活かしたいなって思って、それまでやっていたデザイン事務所をここに作ったんです」
なんと築100年はする木造家屋を友人の手も借りながら自分たちだけで改装したとのこと。

「それで事務所だけじゃこの広い土地は寂しいので、友人と色々作っている中で、古民家改装雑誌を見ていたら、”赤土の粘土に藁を混ぜてピザ釜が作れる”って書いてあったんですよ」

このフレーズを見た瞬間、北澤さんは改装段階だった二階の土壁の泥を使えばピザ釜を作れると思いついたそうです。

「試行錯誤しながらもなんとかピザ釜を作ったんですよ。それで、趣味でピザを焼いて友人を招待してピザパーティーをやっていたら、これがなかなか好評で」

その後、二代目の本格的なピザ釜を自身で作り店を出そうと決めました。
そして現在のピザ釜で3代目となり、オープン3周年を迎えました。

奥様の実家で採れた野菜をたっぷり使ったピザ。500℃くらいで1分間焼くという

開放感あるオープンテラス。この席に座れば食事も勉強もトークも全てが最高のものになる

きっちりしなくていいという需要がある

「このカフェも友人の手を借りながら全部自分たちで改装しました。古民家改装のいいところは自由なんですよ。新築物件なら傷一つ付けただけでもアウト!ミスは許されないでしょ。でも古民家は、ある意味壊すところから始まるから穴が開こうが隙間があろうが斜めになろうがそれを味にしてしまえばいい。それが好きなんですよ」

こう話す北澤さんですが、当初は自身の家も隙間だらけ。いざ住んでみると不便な面も多々ありました。その苦い経験から勉強を重ね、今では古民家改装の仕事依頼が来るほどのプロ級の腕。現在までに7件も手掛けたそうです。

「改装は面白いですよ、いきなりハンマーで壁をぶち抜くところから始まったりしますから。僕に依頼するお客さんは、ある意味古い部分とかルーズな部分を残してほしい方なんですよ。きっちりやってほしくないというか。でも大工さんや左官屋さんは完璧にやるでしょ。僕はきっちりじゃない作業が得意なので需要と供給が一致しているんですよ」

店内には北澤さんがバリで買い集めた雑貨が並ぶ。一度行くと2か月は滞在するというバリ好きな北澤さん

バリのためにバリバリ働く

最近は旧軽井沢の銀座通り入口にある古民家を改装し、カフェを手掛けている最中。ねこぽぽテラスのランチ営業が終わると、軽井沢へ向かうという忙しい毎日を送っているそうです。
そんな北澤さんの最高の楽しみは、冬に行くバリ島だそうです。

「このカフェは春から秋まで営業して冬は閉めちゃうんですよ。何故かって?僕がバリ好きで2ヶ月くらい帰ってこないので(笑)。バリの良さは、いい意味で適当なところかな。そこが僕には合っているんですよ」

2ヶ月の間、現地でガイドをやりながら生計を立てているという北澤さん。自身のカフェで販売している小物や雑貨、そして使用するお皿やグラスなどもバリで調達しているという徹底ぶり。

「でも困ることもあって、バリで買った大きなお皿に合わせてピザを作ってしまうから、ピザが大きすぎるって、たまに奥さんに怒られることもあります(笑)」

バリに行くために、カフェやデザイン、古民家改装の仕事をやっているとまで公言している北澤さん。
最後に今後の夢を聞きました。

「バリで海の家を建てることですね」

現在ねこぽぽテラスは春から秋までの間、ランチ営業のみを行っています。
一番おすすめの時期は、何といっても800坪もある敷地全体が紅葉で染まる秋だそうです。

自然とうまく調和しているお店。秋は紅葉が一面に広がる

取材でお店についた瞬間、「本日のピザの販売は終了しました」と書かれた案内板に意気消沈していた編集部・新津。しかし取材を始めようと席に着いた瞬間、なんと目の前に焼き上げたばかりのホカホカのピザが・・・。まさかのサプライズに一瞬固まっていると
「まあ、まず食べてくださいよ」と、北澤さんの温かい言葉。
我に返り、嬉しくて涙をこらえながらピザをほおばる編集部・新津。その姿を我が子を見るようなまなざしで見つめていた北澤さんに、取材前から胃袋も心も満たされてしまいました。

そして最高の気持ちで始まった取材。お話を聞けば聞くほど、北澤さんの豊かな人生に感化され、お店を出る時には、若穂の大自然に背中を後押しされ「もっと自分も頑張るぞ!」という新たな気持ちにさせられました。

北澤さんは古民家だけでなく人の心もリニューアルできる方なんだなと実感した取材でした。

旧軽井沢通りの入り口にある旧軽井沢珈琲。こちらも北澤さんが改装を担当したという

(2014/09/03掲載)

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会える場所 ねこぽぽテラス
長野県長野市若穂保科1745-1
電話 026-285-0282
ホームページ http://nekopopo.com/

定休日 木曜日&不定休(臨時休業や買い付け休業あり)
Blog http://nekopopo.naganoblog.jp/
PCアドレス  nekopopo_cafe@yahoo.co.jp

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