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No.50

「つけ蕎麦 尚念」のつけ蕎麦

FREAK’S STORE NAGANO 店長・松本岳大さんのマイフェイバリット

化学調味料ゼロ。国産食材の旨味が凝縮した濃厚つけ麺

文・写真 小林隆史

2016年11月、長野市権堂町にオープンした「つけ蕎麦 尚念」。看板メニューのつけ麺は、小麦の芳醇な香りが極立つ自家製麺と18時間煮込んだ特製スープが絡み合う絶妙な味わい。食材はすべて国産。素材の旨みを引き出す工夫を凝らした一杯です。店主の藤田尚念さんと副店長の後藤光さんは「国産の食材を使って、日本の味を残していきたい」と語ります。

食材の旨味を引き出す

「つけ蕎麦 尚念」のこだわりは、食材。お店の2階で作っている自家製麺は、長野県産の蕎麦粉と群馬県産の小麦粉をブレンドしています。スープには、松本の醤油をベースに、国産の豚肉、鳥ガラ、ハマグリ、いりこなどを使い、素材を厳選しています。3種の叉焼(豚バラ、肩ロース、鴨胸肉)と2種の海苔もすべて国産。食材へのこだわりは、藤田さんのある思いからです。

「今では、日本の食材をきちんと使ったラーメンが少ないので、日本の味を残していきたい。外国産の食材や化学調味料を使えば、値段を安くすることはできますが、利益を求めるよりも、安心して食べられるもの、本当に美味しいと思えるものを提供したい」

さらに、食材の旨味を引き出す調理方法も追究。濃厚なスープは、目の細かいザルで何度も濾し、鴨肉の叉焼はくさみを消す独自の冷蔵保存方法を取り入れるなど、丹精込めて調理します。

長野市権堂町にある「つけ蕎麦 尚念」。平日のお昼には、行列ができることもしばしば

カウンター6席の店内で、仕上げた一杯を丁寧に提供する。テーブルや照明、メニュー表なども藤田さんが手がけた

自動車整備士からラーメン屋店主に転身

店主の藤田さん(長野県生坂村出身)と後藤さん(埼玉県出身)は都内の自動車整備士専門学校の同級生。藤田さんは、学生時代に、都内のラーメン屋で修業を積み、ラーメンの世界に没頭していきました。

「昼は学校、夜はお店という生活を、ほぼ毎日続けていました。食べ物を通じて、お客さんに喜んでもらえることにやりがいを感じて、料理と経営の勉強をするようになりました。そして、いずれは自分の力で何かやりたいという思いが強くなっていきました」

専門学校卒業後、自動車販売会社で整備と営業の仕事をしてきましたが「ずっと続けてきたラーメンで、自分のお店を持ちたい」と一念発起。長野にUターンし、この場所にお店を開くまでに至りました。

一方、後藤さんは、専門学校卒業後、自動車整備士として就職しましたが、ある出来事をきっかけに、退職を余儀なくされました。

「入社して間もなく、持病が発覚して、月に数回、通院せざるを得なくなりました。普通に働けるほど軽度なものでしたし、体力もあったのですが、会社から事実上解雇されてしまって。その後、藤田が声をかけてくれて、ここで働くことになりました。初めての飲食の世界ですが、お客さんからの『うまい』の一言が何より嬉しくて、ついついこちらも『ありがとうございます!』の一言が大きくなってしまいますね」

清々しい二人は今年で24歳。この場所で、お客さんと向き合う日々が刺激的だと、笑顔を見せます。味だけでなく、「うまい」の一言を追い求める二人の姿も、お店の魅力のひとつになりそうです。

営業中は、無駄話を一切しない。真剣さが伝わってくる

藤田さん(左)と後藤さん(右)。昼営業の後、終始笑顔で取材に応じてくれた爽やかな二人


「つけ蕎麦 尚念」
長野市大字鶴賀権堂町2212-16
営業時間
昼11:00-14:00 / 夜18:00-20:00(不定休)
http://syou333fly.hatenablog.com

(2017/03/03掲載)

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