No.42
長野市ICT産業誘致・起業プロジェクト
株式会社ケイケンシステム代表取締役会長・青柳和男さんのマイフェイバリット
長野に描くICT産業の未来図
文・写真 小林隆史
ICT産業の可能性
私たちの生活に必要不可欠となっている情報伝達技術（ICT）。長野市は「ICT産業誘致・起業プロジェクト」を立ち上げるなど、企業や個人事業主の柔軟なサポート体制を整えています。
「長野市ICT産業誘致・起業プロジェクト」は、産業・教育・行政・金融の「産学官金」が委員を構成し、意見交換をしています。本プロジェクトについて、事務局を務める長野市産業政策課の小林崇志さんはこう話します。
「いろいろな主体の連携により、ICT産業の事業拡大や起業を円滑にスタートできる環境を整えています。こうした産業の誘致による波及が、地場産業の発展や地域経済の活性化、移住、人材確保など、地域の新たな活力創出に繋がることを期待しています」
ICT産業の利点は、製造業やサービス業などの事業に比べて、リモートワークを取り入れやすいこと。今後は、技術者たちの場所を選ばない働き方が、都市集中型の労働環境や経済格差を改善することも期待されています。また、多様な働き方を実現することが、ICT産業のさらなる創造性を生むと考える人もいます。
大手社長（写真左）は「自分の子どもが生まれて、考え方が変わった」と話す。仕事と子育てのバランスを考え、長野移住を決断したそう
技術者の暮らしが変わる
しかし、現在は、ICT産業を誘致する施策が全国ありとあらゆる市町村で行われています。長野で事業を行うメリットはどんなところにあるのでしょうか。
東京本社と長野支社を設けている株式会社アソビズムの大手智之社長はこのように話します。
「私が長野に移住を決めた一番の理由は、自然が多い環境で子どもを育てたいと思ったからです。そして、長野ブランチを立ち上げるに至りましたが、結果的に、経営戦略やブランディングにプラスの影響がありました。社員とヴィジョンを共有することや、東京にはない本物の自然を味わうことが、より良いゲーム開発につながっていると思います」
会議では、自然教育を推進する、とある幼稚園に入園させるために、都内から年間数組の家族が移住しているという事例が紹介されました。大手社長もその一人です。
今後、プロジェクトでは長野ならではの働く環境や生活のメリットと、経営のバランスをリサーチした新たな施策を検討していきます。
株式会社アソビズムでは、子どもたちを対象に「未来工作ゼミ」と題したプログラミング体験教室を行っている（写真提供：株式会社アソビズム）
ICT産業の将来像
全国でも自然環境が身近な信州で、ものづくりをすることは優れた創造につながる、と考える人もいます。都内に比べて、人の数、情報量、技術力などに違いがある中で、今後、長野の地で、どのような事業展開を生み出していくことができるのでしょうか。座長を務める株式会社ケイケンシステム代表取締役会長の青柳和男さんはこう話します。
「自然環境が豊かな信州で働くということは、充実した子育てや教育につながると思います。一方で地方都市は、優秀な人材が流入することで、技術の向上や新しい開発が生まれていくはず。大手企業の参入だけでなく、ベンチャービジネスや中小企業の円滑な事業誘致を図っていきたい」
青柳座長は、本プロジェクトを周知していくことが第一歩と話します。2月14日には国内のオープンイノベーション第一人者である松本毅さんを講師に、外部連携による製品開発や事業創出などをテーマとしたセミナーを開催する予定です。
座長を務める青柳会長。長野市で富士通株式会社が電子計算機を製造していた過去を例に挙げ、「今後は、長い年月をかけて、地方で働く人の確保を見定めた施策を積み上げていくことが必要」と語る
＜info＞
「長野市ICT産業誘致・起業プロジェクト」
住所：長野市役所（長野県長野市鶴賀緑町1613）
電話：026-224-6751
Facebook:https://www.facebook.com/IctNaganoPJ/
HP:http://www.city.nagano.nagano.jp/soshiki/sangyou/
ー「セミナー紹介」ー
「オープンイノベーションによる新戦略」
日時：2月14日（火） 15:00-17:15（受付14:30）
会場：メトロポリタン長野「浅間」
参加費：無料
定員：150名（先着順）
＜お問い合わせ＞
長野市ものづくり支援センター事務室
（担当：大島・小泉・池田）
電話：026-226-0180
mail： ufo@ufo-nagano.com
