h1タイトル

わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.30

古道具そらしま

OND WORK SHOP 木村真也さんのマイフェイバリット

人も古道具も惹き込まれる場所

文・写真 小林隆史

商店主に支持されるお店

長野市東町、善光寺に向かう中央通りから東へ、新小路という小道を抜けた先に「古道具そらしま」はあります。元文房具卸問屋を改修した店内には、ウィンザーチェアや商店のショーケース、年代の不明な絵画など、独自の視点で集められた古道具が並びます。そのどれにも年代やブランドを記す商品札が付いていない。一歩店内に入ると、古道具の並びや、外の光に照らされた影が絶妙なバランスで古道具の魅力を引き立てていることに気づかされます。そのディスプレイこそが古道具の面影を残し、積み重ねてきた背景を想像させます。

店主・高島浩さんが解体現場や空き家から出る古道具を、次の使い手に引き継ぐことができないだろうかと「そらしま」を始めたのは、去年の10月。ネット販売は一切なく、今では、噂を聞きつけた多くの飲食店やギャラリーなどの商店主たちがこの場所を訪れています。そのうちの一人でもある「OND WORK SHOP」(長野市鶴賀田町)の木村真也さんは、毎週通うほどの「そらしま」フリークです。

「商品の年代やブランドよりも、古い器に添えられた花やショーケースに置かれた本、そういうところに『そらしま』の世界観を感じ、新鮮な刺激をもらいますね。古道具の魅せ方に、細かなこだわりを垣間見ることができて、どんな風に家やお店に飾ろうかとワクワクさせられます」

行く度に変化し続ける古道具の品揃えやディスプレイに、どこか海外の蚤の市のような雰囲気を感じさせる「そらしま」。3年前、ベルリンに単身渡った高島さん。趣味の写真や絵画を通じて、現地の建物や情景を肌で感じ、語学を学ぶとともに、ほぼ毎週のように美術館巡りをしていたそうです。そんな高島さんの感性と古道具の魅力に溢れる世界観に、商店主たちが惹かれています。

奥の窓から光が差し込む。ディスプレイを変えると、商品の表情が変わる

目に見えない価値こそ大切にしたい

取材時は、木村さんも「そらしま」を訪れ、お店づくりで大切にしていることを高島さんと話し合っていました。

二人の会話の中、高島さんが「一見、古道具を売っているように見えるけれど、本当はそうじゃない」と興味深い一言を口にします。

「当時の技術でしかつくれないものを見つけ、仕入れてきた古道具をどんな風に魅せていくかを考えるのがすごく楽しい。だけど、単純にものを売るだけでは、仕入れと販売のサイクルを回っているだけになってしまう。だから、売るだけではなく、“古道具がお客さんの生活にどう馴染んでいくかを一緒に考える時間”こそ大切にしたい」

言葉や説明だけでなく、どんな風にお客さんの目に届けるか。そんなこだわりが高島さんの魅せ方に滲み出て、古い器にさりげなく添えられた花となっています。そして、今年6月、「そらしま」にある転機が訪れます。以前ナガラボでも紹介した「Fil et bijou」の藏藤春菜さんが、「そらしま」の世界観に一目惚れし、什器制作や店舗改修などオープンに向けた店舗コーディネート全般を依頼しました。きっかけはお店での会話。結婚を機に東京から移住してきたばかりだった藏藤さん。人づてもなく、わからないことが多いまま開業準備を進めていました。そんな時、噂に聞いていた「そらしま」を訪れ、相談を持ちかけました。多角的な視点でアドバイスをくれる高島さんの誠実さに「この人に任せたい」と思ったそう。高島さんの世界観や、お客さんに対する姿勢が、古道具を売るだけではない仕事へと繋がっていきました。

高島さんと木村さん。この街で出会った商店主たち。同世代ということもあり、互いに刺激を受けている

今年の6月にOPENしたアクセサリーSHOP兼アトリエ「Fil et bijou(フィル・エ・ビジュー)。独自の世界観が「目に見えない価値」となり、高島さんだからこそできる仕事となった(写真提供:高島浩さん)

高島さんならではの視点が、古いものにも建物にも、新しい息吹を吹き込んでいく。木村さんにとって、刺激を受ける唯一無二の場所になっているように、商店主たちを魅了する「古道具そらしま」。特別なことではなく、「お客さんと一緒に考える時間」を大切にする高島さんの真摯な姿勢がこの場所にしかない空気を生み出すのかもしれません。ここに広がる会話も、巡り巡って手にした古道具も、インターネットで手軽に買い物ができる今だからこそ、足を運んで味わいたい楽しみです。

お店には「最近はどうかね?」と近所の先輩・畳屋の黒谷さんが突然訪れて、にぎやかな会話が広がった。年代を越えたご近所付き合いがあるのも高島さんの人柄を物語っている

<info>
古道具そらしま
長野市東町146-3
13:00-19:00
定休日 月曜日・火曜日
HP:https://solashima.com

(2016/10/12掲載)

人気投稿

  1. 戸隠雪中酒販売組合の「戸隠山雪中酒」...
  2. 松代焼
  3. 雲の幕間
  4. 旬菜居酒家月あかりのきまぐれランチ...
  5. 上野ひと美さん いまのま店主、上野健志さん 株式会社いま代表・ima建...
長野市人物図鑑
食の達人 ながののプロフェッショナル 旬な人 魅せる人 まちをつくる・つなぐ人 人物図鑑特集
マイ・フェイバリット・ナガノ
場所 イベント モノ グループ・会社
ナガラボムービー

 
特集一覧ページ