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No.112

黄金の湯 松代荘

ナガラボ編集部のマイ・フェイバリット

一度体験したらやみつきに。成分たっぷりの「黄金の湯」で極楽気分

文・写真 (特記以外)石井妙子

温泉が豊富な長野市には、日帰り施設だけでも20カ所近くのスポットがあります。中でも筆者が時おり無性に入りたくなるのが、松代町にある「黄金の湯 松代荘」の温泉。その名の通り黄金色のにごり湯と鉄の香りに包まれると、まさに極楽気分。名産の長芋を使った料理やリピーター続出のプリンなど、個性際立つグルメも注目です。
 

地域屈指の11成分、しかも高濃度の名湯

長野インターから車で5分。城下町松代の中心街から少し離れた場所にある松代荘ですが、平日も駐車場にはたくさんの車。日帰り入浴客が朝から途切れることなく訪れ、午後になればチェックインを行う宿泊客でにぎわいます。
 
1963(昭和38)年に国民宿舎として開業し、歴史は約60年。当初は宿泊業がメインでしたが日帰り入浴も年々人気を集め、現在は朝10時から夜22時まで日帰り入浴が可能です。旅行客はもちろん、筆者のように近距離から通うリピーターも多くいます。
 
真田十万石の城下町を象徴する六文銭の看板が目印
▲ 真田十万石の城下町を象徴する六文銭の看板が目印
 
城下町ゆえ武家屋敷を思わせる堂々たる平屋のつくり。背後には、地元で愛される奇妙山と尼巌山(あまかざりやま)が鎮座する(写真提供:松代荘)
▲ 城下町ゆえ武家屋敷を思わせる堂々たる平屋のつくり。背後には、地元で愛される奇妙山と尼巌山(あまかざりやま)が鎮座する(写真提供:松代荘)
 
日帰り入浴の場合は券売機でチケットを購入。入浴+ソフトクリームのお得なセットも
▲ 日帰り入浴の場合は券売機でチケットを購入。入浴+ソフトクリームのお得なセットも
 
いざ、浴場へ。立ち込める湯気の奥に、土がそのまま溶け出したような明るい黄土色の湯が惜しみなくかけ流されています。2021年にリニューアルしたばかりですが、源泉が注ぐ湯口や浴槽のへりには温泉成分が付着して岩石のように固まり、さながら秘湯のような雰囲気。温泉成分の濃さを物語ります。
 
にごり湯で底が見えないため、踏み外さないようゆっくり段差を下りて湯の中へ。首から下が黄金色の湯ですっぽり包まれると、不思議なほど落ち着きを感じます。強い鉄の香りで、顔を洗うとかすかなしょっぱさ。見渡す限り黄金色と蒸気に包まれて、大げさではなく別天地のような気持ちよさです。
 
日帰り入浴用の男性露天風呂。にごり湯なので、浸かる時は手すりを使う(写真提供:松代荘)
▲ 日帰り入浴用の男性露天風呂。にごり湯なので、浸かる時は手すりを使う(写真提供:松代荘)
 
黄金色の理由は、温泉が含む豊富な鉄分のため。湯口では無色透明ですが、空気中の酸素に反応して浴槽に入るまでに黄金色に変化するのです。泉質が「ナトリウム・カルシウムー塩化物温泉」ゆえカルシウム成分が固まり、湯口や浴槽に付着するのだそう。
 
インパクト大の見た目から成分の濃さを予感しますが、まさにこれほど成分が多様かつ高濃度の温泉は非常に珍しいのだそう。営業支配人の中山靖さんが教えてくれました。
 
「一つでも当てはまれば法的に温泉と認められる20項目のうち、松代荘のお湯は11項目が該当しています。しかも含有成分の濃度が非常に高く、温泉研究者の方にも注目されているんです」
 
湯口の周囲や浴槽のふちに温泉のカルシウム成分が固まり、天然石のように付着して風格を備える(写真提供:松代荘)
▲ 湯口の周囲や浴槽のふちに温泉のカルシウム成分が固まり、天然石のように付着して風格を備える(写真提供:松代荘)
 
例えば末梢血管を拡張して血圧を下げる効果がある炭酸ガスは法規定の濃度の3.4倍、湯の肌触りを柔らかくするメタケイ酸は3.2倍、肌をすべすべにする炭酸水素ナトリウムは8.5倍。確かに湯上がり後は肌がしっとりなめらか、体も軽く感じます。塩分のおかげで、体が芯から温まるのも嬉しいところ。
 
特筆すべき成分は、殺菌や傷の修復作用と血圧を下げる作用があるとされるヨウ素。なんと、規定の25.6倍も含まれているのです。
 
「松代温泉は古くから“信玄の隠し湯”と伝えられています。お湯に浸かることで、戦で負った傷の回復が早まったのかもしれませんね。最近も、アトピー性皮膚炎に悩むお客様が湯治の目的で訪れたことがありました。湯上がりに体が軽くなって、使っている杖を忘れて帰られた方もいらっしゃったほどです」
 
松代温泉のルーツは30万年ほど前、松代の火山・皆神山(みなかみやま)を作ったマグマが冷える際にできたマグマ水だと考えられています。マグマ由来の水は、成分が濃いのが特徴なのだそう。類まれな成分量にも納得です。
 
営業支配人の中山靖さん。自身も温泉好きで、県内の温泉に詳しい
▲ 営業支配人の中山靖さん。自身も温泉好きで、県内の温泉に詳しい
 
日帰り入浴の男性浴場(写真提供:松代荘)
▲ 日帰り入浴の男性浴場(写真提供:松代荘)
 

名物「ガス抜きタンク」は必見

松代荘が「奇跡の湯」と呼ばれる理由がもう一つ。源泉の泉温が45℃前後と適温に近く、加温が必要ないことです。
 
「高濃度の温泉なので、ボイラーで加温すると成分が設備に付着して故障してしまうんです。加温が必要ない温度だからこそ、この素晴らしいお湯を楽しめる。奇跡のバランスの上に成り立っているんですよね」
 
毎分740リットル、1日あたり1,060トンと豊富な湯量。季節ごとに出湯量を調整して適温を保ち、「加熱せず、加水せず、循環ろ過せず」の100%源泉かけ流しを実現しています。
 
源泉は地下300mから噴き出す「松代新3号泉」。約300m離れた松代荘まで引湯しています。ただしそのままでは炭酸ガスの濃度が高すぎて危険なため、ガスを分離させてから浴槽に入れているそう。分離を行う「ガス抜きタンク」は駐車場から見ることができますが、遺跡のような姿は迫力満点。1998年に稼働し始めて以来、長い年月をかけて温泉成分がタンク全体に付着し、この姿になったそう。「温泉好きの方や観光客の方が記念撮影していくことも多いですよ」と中山さん。
 
駐車場から見える「温泉ガス抜きタンク」。営業終了後、清掃のため浴槽の湯を止めることで外のタンクから源泉があふれ、成分が外側に付着するそう(写真提供:松代荘)
▲ 駐車場から見える「温泉ガス抜きタンク」。営業終了後、清掃のため浴槽の湯を止めることで外のタンクから源泉があふれ、成分が外側に付着するそう(写真提供:松代荘)
 
2021(令和3)年2月に全館リニューアルを行い、宿泊用客室の新館増築や改修、日帰り温泉の浴場拡大などを実施。コロナ禍でありながら安定の人気を集めています。宿泊は、天然温泉と朝夕の食事がついて一人あたり1万円台前半からとお得です。
 
「近場でゆっくり過ごす旅のスタイルが定着し、長野県内からお越しのお客様が増えましたね。松代地域の方が『たまには泊まりに』と宿泊されることも。当館は年配のお客様が多いので、移動の負担が少ない平屋のつくりでゆったりと過ごしていただいています」
 
中庭を眺める「モダン和室」。畳の部屋に足腰への負担が少ないローベッドを置いて、高齢の宿泊者がくつろげるよう配慮(写真提供:松代荘)
▲ 中庭を眺める「モダン和室」。畳の部屋に足腰への負担が少ないローベッドを置いて、高齢の宿泊者がくつろげるよう配慮(写真提供:松代荘)
 

創意工夫を凝らした地産地消のメニュー

松代荘をおすすめする理由は温泉だけではありません。館内で提供される地元食材を使った料理とデザートも注目です。館内のレストラン「皆神」では、地元の食材を使った御膳や蕎麦が大人気。入浴とセットの「お食事付き入浴プラン」がおすすめです。
 
肉厚で食べごたえのある「信州サーモン丼」(単品1,000円、入浴付き1,500円/税込み)
▲ 肉厚で食べごたえのある「信州サーモン丼」(単品1,000円、入浴付き1,500円/税込み)
 
一番の人気メニューは「信州牛の陶板焼き御膳(写真下)」。自分で陶板に載せた肉を好みの加減に焼いて食べるスタイルで、「ちょっと贅沢したい」「家族にごちそうしたい」といったお客様に好評です。
 
「温泉に浸かっておいしい料理を食べて、楽しいひとときを過ごす。日帰りのお客様にも、日頃のご褒美のような時間を過ごしていただきたいと思っています」
 
自分で好みの加減で焼いて味わう「信州牛の陶板焼き御膳」(単品2,300円、入浴付2,750円/税込み)
▲ 自分で好みの加減で焼いて味わう「信州牛の陶板焼き御膳」(単品2,300円、入浴付2,750円/税込み)
 
注目が、御膳についてくる「とろろ」の小鉢。松代といえば長芋の名産地で、「松代が長芋の国内発祥の地という説もあるんです」と中山さん。千曲川流域の肥沃な土壌で育つ松代の長芋は太くて長いのが特徴で、とろろも強い粘りと自然な甘みが絶品です。松代荘では、とろろに合うオリジナルのだし醤油を販売。マイルドながら、とろろの甘みをしっかりと引き立ててくれます。
 
ボリューム満点の「信州牛の陶板焼き御膳」。メインの信州牛に加えて季節のお造り、とろろ(左奥)、ご飯、デザートのプリンもセットに
▲ ボリューム満点の「信州牛の陶板焼き御膳」。メインの信州牛に加えて季節のお造り、とろろ(左奥)、ご飯、デザートのプリンもセットに
 
長芋を使った料理は、とろろ以外にも「長芋とろろ焼き」や「長芋フライ」、さらに細かく千切りした長芋を麺に見立てた「長芋そうめん(松代荘めん)」と、ユニークなメニュー揃いです。
 
「うちの料理長が、新メニュー開発が好きなんです。それとね、甘党でもあるんですよ(笑)」
 
そんな料理長が手がけたオリジナルスイーツが「まつしろ黄金プリン」。2021年の夏に発売して以来口コミで人気を広げ、今や松代荘の新しい看板メニューです。
 
オフホワイトの可憐な姿に「ミルクプリン?」と思いますが、食べてみると濃厚な卵のコクで、意外に驚きます。一番の特徴は、なめらかながらも水分を抑えた“もったり食感”。控えめな甘さに苦めに仕上げたカラメルがアクセントを添えて、大人も満足するリッチな味わいです。そのおいしさを一度知ると、400円という価格が安く感じるほど。フロント横の喫茶コーナーで販売していますが、品切れになる日もあるほどの人気ぶりです。
 
リッチな食感がたまらない「まつしろ黄金プリン」(400円/税込み)。上に金箔をあしらって
▲ リッチな食感がたまらない「まつしろ黄金プリン」(400円/税込み)。上に金箔をあしらって
 
受付フロントの隣で販売しており、お土産に大人気
▲ 受付フロントの隣で販売しており、お土産に大人気
 
「コロナ禍にテイクアウトメニューとして発売したのですが、右肩上がりの売れ行きに私たちも驚いています(笑)。レストランでも提供していますが、おいしかったからとお土産で購入して帰る方もいらっしゃいますね。『一流パティスリーにも引けを取らない、400円とは思えない!』と感想をいただくことも。温泉に入らずプリンだけ買いに来られる方や、友人に食べさせたいからとリピートしてくださる方も多いんですよ」
 
昔から「温泉といえば甘味」。松代荘でも以前から湯上がりのソフトクリームは定番人気でしたが、コロナ禍を機にプリンやドリンクの提供もスタートしました。2022年には、松代名物の杏を使った「松代あんずプリン」も登場。甘酸っぱい杏ソースが絶品です。
 
ジューシーで甘酸っぱいソースがかかった「松代あんずプリン」(350円/税込み)
▲ ジューシーで甘酸っぱいソースがかかった「松代あんずプリン」(350円/税込み)
 
江戸時代に松代藩が置かれ、真田十万石の城下町として栄えた松代地域は、今も歴史の街として多くの旅行客が訪れます。地域随一の温泉として、松代荘では地域の魅力を打ち出す試みをおこなっています。
 
ぜひのぞいてほしいのが、エントランスを入ってすぐの売店。おなじみの信州土産のみならず、地元の農家が直接持ち込む採れたての長芋や、松代高等学校の生徒が特産物の長芋を使って企画した「松高カレー」、さらに松代荘の温泉水を混ぜ込んで焼成した陶芸「松代焼」など、松代ならではの商品が並んでいます。
 
地元の生産者が直接届けてくれるとれたての長芋を売店で販売
▲ 地元の生産者が直接届けてくれるとれたての長芋を売店で販売
 
地元、松代高等学校商業科の生徒が企画した「松高カレーDX」(600円/税込み)は特産の長芋入り
▲ 地元、松代高等学校商業科の生徒が企画した「松高カレーDX」(600円/税込み)は特産の長芋入り
 
「松代陶苑」の松代焼。松代の土を使い、釉薬に松代の温泉水を混ぜることで美しい色に焼き上げる
▲ 「松代陶苑」の松代焼。松代の土を使い、釉薬に松代の温泉水を混ぜることで美しい色に焼き上げる
 
エントランス入ってすぐの売店には、真田六文銭グッズや温泉まんじゅうに加え、自宅で温泉気分を楽しめる入浴剤「松代の湯」など他では買えないものも
▲ エントランス入ってすぐの売店には、真田六文銭グッズや温泉まんじゅうに加え、自宅で温泉気分を楽しめる入浴剤「松代の湯」など他では買えないものも
 
「松代は歴史文化もおいしい食も、温泉もぎゅっと集まった魅力ある地域です。ぜひ、気に入るものや場所に出会えっていただけたら」
 
伝統を大切にしながら、新しいチャレンジで松代の魅力発信拠点へ。長野を旅する人はもちろん、地元の人にもぜひ訪れてほしいスポットです。
 
 
 
<info>
信州 松代温泉 黄金の湯 松代荘
 
<お問い合わせ>
長野市松代町東条3541
電話 026-278-2596
ホームページ https://www.matusirosou.com
営業時間 日帰り入浴:10:00~22:00(最終受付21:30)、売店:8:00~21:00
定休日 なし

 

(2023/03/14掲載)

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