No.90
2019鬼無里ふるさと夏まつり
ナガラボ編集部のマイフェイバリット
見て、踊って、体感する。鬼無里の魅力がつまった夏まつり
文・写真 宮木 慧美
いよいよ夏本番。長野びんずるや長野七夕まつり、花火大会など夏ならではのイベントを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
長野市鬼無里地域でも、『2019鬼無里ふるさと夏まつり』の開催が予定されています。合併前・鬼無里村の時から続く夏まつりですが、今年は令和初の試みを取り入れるそう。鬼無里地域のみなさんに愛されてきた夏まつりの魅力と、新しい楽しみ方について伺いました。
盆踊りでは初めての“踊り連”を募集。『裾花民謡』をご一緒に
8月14日(水)に鬼無里小中学校グラウンドで開催される『2019鬼無里ふるさと夏まつり』。お話を伺ったのは、主催の「2019鬼無里ふるさと夏まつり実行委員会」のメンバーであり、鬼無里地区住民自治協議会事務局の樋口綾さんです。
▲鬼無里支所で出迎えてくれた鬼無里地区住民自治協議会事務局の樋口綾さん
「毎年お盆の時期に開催されている『鬼無里ふるさと夏まつり』。(市町村合併前の)鬼無里村だった当時は、村内が4分館に分かれていたため、それぞれの分館ごとに運動会や夏まつりを行なっていました。しかし人口減少や高齢化、合併などの影響で、各分館の夏まつりをひとつにまとめることに。鬼無里地域全体で夏まつりを盛り上げようと、現在の『鬼無里ふるさと夏まつり』がスタートしました」
主催の実行委員会は、樋口さんが所属する鬼無里地区住民自治協議会や、商工会、地域内の各種団体のみなさんがメンバーとなっているそう。
「やぐらを囲んでの“盆踊り大会”、お祝い花火が人気の“納涼花火大会”、嬉しい商品が当たる “お楽しみ抽選会”と、どこか懐かしくてあたたかい催しが満載です。地域の人はもちろん、鬼無里に帰省している家族が3世代で来てくれたり、地域外から足を運んでくれたりする人も。『普段からこんなに人がいてくれたらいいのに!』と思うほどの盛況ぶりです(笑)」
▲子どもから大人まで。やぐらの周りをみんなで踊る“盆踊り大会” (写真提供:鬼無里地区住民自治協議会)
「夏まつりをきっかけに、もっと多くの人に鬼無里の魅力を知ってほしい」と考えた実行委員のメンバーたちは、これまでとは違った試みをするために頭を悩ませたと言います。
「盆踊り大会では鬼無里に古くから伝わる『裾花民謡』を踊ります。鬼無里の人にとっては、小学校の運動会で必ず踊るおなじみの曲。しかし地域外の人は知らない人がほとんどですから、いきなり盆踊りに参加して踊るのはなかなかハードルが高いと思います。そこで、今年から友人・仲間と一緒に盛り上がれる “踊り連”での参加を募ることにしました。もっと多くの人に『裾花民謡』を知ってほしい…夏まつりに気軽に参加してもらえるにはどうしたらいいだろう…と悩んだ末に出たアイデアです」
より多くの人に夏まつりを楽しんでもらうために発案された“踊り連”のアイデア。『裾花民謡』だけでなく、『長野びんずる』『パプリカ』など参加者の方が楽しく踊れる曲も流すそう。小さいお子さんから初めて鬼無里を訪れる人まで、みんなが一緒に盛り上がれる夏まつりになりそうです。
「“踊り連”の募集企画について、『裾花民謡保存会』のお母さんたちに相談したところ「いいじゃない!令和初だし、やってみましょう!」と大賛成してくれました。連で参加してくれる人たちが踊りを練習できるように、鬼無里地区住民自治協議会のfacebookページでは振り付け動画の配信もしています。これまで『裾花民謡』を知らなかった人に、鬼無里の魅力と一緒に届けば嬉しいです」
振り付けを覚えて盆踊り大会に参加すれば、“踊り連”の仲間同士で盛り上がれるだけでなく、地域の方たちとの交流もできるでしょう。鬼無里の魅力をさらに感じることができそうです。
▲「裾花民謡」の振り付け動画。「練習にご活用ください!」とのこと(写真提供:鬼無里地区住民自治協議会facebookページより)
地元の人も、地域外の人も。鬼無里を愛する人たちが集う1日
夏まつりのもうひとつの目玉が“納涼花火大会”。「とってもあたたかい花火大会なんです」と樋口さんは言います。
「花火大会で人気なのが、メッセージといっしょに打ち上げる“お祝い花火”。『孫の誕生』や『娘の成人』など大切な人へのメッセージが多く読み上げられます。なかには『鬼無里が大好きな孫一同』という名前で花火を上げている人も。帰省している人も多い中で、家族への愛、鬼無里への愛をたくさん感じられる花火大会です」
▲山に囲まれた鬼無里地区。花火の音が反響して、全身で迫力を感じることができる(写真提供:鬼無里地区住民自治協議会)
長野市街地よりも標高が高く、夏が短い鬼無里地区。夏の風物詩となっている夏まつりには、近年、地域外から訪れる人も増えているそう。
「夏まつりの日は長野駅〜鬼無里間と鬼無里地区内でジャンボタクシーが運行されます。乗車料は、なんと無料!!会場内に無料駐車場もご用意していますので、気軽に遊びにいらしてください」
ずっと鬼無里に住んでいる人が、1日でも長くこの地に住めるように
たくさんの鬼無里の魅力を教えてくれた樋口さん。実は結婚を機にこの地へ移住してきたそうです。
「私は“お嫁さん”の立場で鬼無里へやってきました。鬼無里は小さいコミュニティなので、当初はご近所さんから『どこの人?』って言われることも…(笑)。
現在は住民自治協議会の事務局で働いていますが、外から来た立場だからこそ気づけることがたくさんあります。今年初めて“踊り連”を募集する夏まつりですが、これまでも毎年少しずつ新しい試みを取り入れてきました。昔から守られてきたものと新しいものを組み合わせることで、鬼無里にずっと暮らしてきた人たちが1日でも長くこの地に住めるようにサポートしていきたいと思っています」
▲2018年の夏まつりの一コマ。射的や焼きそば、タピオカドリンクなど賑やかな夜店も並ぶ(写真提供:鬼無里地区住民自治協議会)
夏まつりの運営にとどまらず、活動領域が多岐に渡っている鬼無里地区住民自治協議会。地域の情報を発信する『かわらばん』の発行や鬼無里地域のオリジナルTシャツ『鬼T』の販売、地域の中学生とともに長野県神城断層地震の復興を願う『アイスキャンドル』の実施や、雪かき技術を学びながら地元の人たちとも交流できる『雪かき道場』の開催など地域の人が必要としている事業に数多く取り組んでいます。
▲鬼無里地区住民自治協議会が発行する「かわらばん」や「鬼T」の告知チラシ
「私たちが大切にしているのは、地域の方たちとの“対話”。困っていることをすぐに相談できる窓口でありたいと思っています。“地域のみんなが顔見知り”と言えるようなアットホームな環境なので、『前から知っている樋口さんじゃないと相談しづらくって』と声をかけてくれる人もいて、嬉しいですね」
長野市との合併により、支所内には地域外から通っている職員の方も。「顔見知りの人のほうが安心できる」と考える人の中には、住民自治協議会を頼りに訪れる人もいるそうです。
「鬼無里の人口は約1300人。小学校は全校児童が25人しかいません。コンビニもファーストフード店もなく、決して便利な場所とは言えませんが、“ない”からこその魅力がここにはあります。子どもたちはみんな兄弟みたいに仲が良いですし、四季の変化を肌で感じられる自然や、子育てしやすい環境があります。まずは鬼無里を訪れて、この地の良さを知ってほしいですね」
夜は夜らしく暗くなり、夏は夏らしく虫の音が響くことが鬼無里の良さ、と語ってくれた樋口さん。みなさんの取り組みの甲斐もあり、鬼無里地区の人口は微増しているそうです。実際に訪れて、地域の人と交流することで気がつく魅力はたくさんあるはずです。まだ鬼無里を訪れたことがないという方は、『2019鬼無里ふるさと夏まつり』をきっかけに足を運んでみてはいかがでしょうか。
<info>
2019鬼無里ふるさと夏まつり
日時:2019年8月14日(水)18:00〜
会場:鬼無里小中学校グラウンド
ホームページ
<お問い合わせ>
電話:026-256-2213
FAX:026-256-2212