No.241
青木
宏さん
日本写真館協会長野支部長/青木写真館店主
ながく大事にされる
ポートレイトを残す
文・写真 安斎高志
喜寿の記念にきれいな写真を
77歳で喜寿を迎えた長野市民は、写真館で、無料でポートレイトを撮ってもらえることをご存知でしょうか。日本写真館協会長野支部が約40年前から始めた社会奉仕事業が、少しずつかたちを変え、長野市の補助などを受けながら続いています。今年の撮影期間は5月31日から6月5日までです。
元々は葬儀写真をきれいに残してほしいという目的で始まりましたが、平均寿命が伸びた現在は、対象者も元気。はつらつとした様子でフレームに収まっているようです。
長野支部長で青木写真館の店主、青木宏さんはこう話します。
「みなさん、元気ですよね。フラダンスや詩吟、ゴルフなど、打ち込んでいる趣味の衣装を着て来店される方もいらっしゃいます。77歳って若いなと思え、励みになりますし、自分もあと25年後、あれだけ元気なら、やりたいことやれるなと」
昨年は約4000人の対象者のうち約1700人が写真館を訪れました。市内の協会に所属している15店舗で協力し合って撮影しています。
フラダンスや詩吟、ゴルフなど、趣味の衣装で撮影してもらう人も少なくない
ポートレイトには奥深さがある
青木写真館は善光寺の門前、仲見世から一本東へ入った宿坊通り沿いにあります。創業は昭和2年。青木さんは3代目です。少年時代からカメラを買い与えられ、門前町を撮り歩いていたといいます。
東京工芸大学の写真学科を卒業後、東京のスタジオで5年ほど修業し、27年前に家業に入りました。学生時代、修行時代は、コマーシャル撮影が専門。一方、青木写真館は人物ポートレイトが専門。当初は戸惑いもあったそうです。
「割と決まった構図を撮ることが多くて、最初は抵抗がありましたけど、父親が寛容で好きなようにやっていいと常に言ってくれ、おかげでいろいろ勉強に行きましたね」
5年にわたり毎月のように大阪まで出かけ、尊敬する写真家、辻文作さんの講義を受け続けたことは、その後の青木さんの仕事に大きく影響しました。
「辻先生は、コマーシャルは形がよければOKだけど、写真館のポートレイトはコマーシャルとは比べものにならないくらい奥深さがあると繰り返しおっしゃっていた。広告媒体では何ヶ月単位で忘れられるけれど、ポートレイトはその人が元気なうちはもちろん、その後もご家族によって大切にされるものだからと」
そして、仕事に対する姿勢だけでなく、斬新な構図や配色などに刺激を受け続けていると話します。
喜寿を迎えた元気な人たちの存在は励みになると話す
人生の節目に立ち会う仕事
家業に入って27年が経ち、ポートレイトスタジオを営む醍醐味をあらためて味わっているといいます。
「結婚式から毎年、家族の記念日として撮影に来られる方が結構いらっしゃいます。もう27年ですから、ご夫婦のお子さんが成長して、成人式や結婚式を迎えるような方が出てきました。人生の節目節目に立ち会える仕事ですし、お客様のことが自分の家族のことみたいにうれしくなることはありますね」
フィルムからデジタルへと時代が変わり、写真館も変化していると話します。
「たくさんシャッターを切って、いろんなポージングをしてみたりして、その中からお客さんに合った写真を選んでいくという時代になっています。そういう意味では、カメラマンのセンスが問われる時代になってきていますね」
尊敬する辻さんが常に斬新な写真を生み出しているように、青木さんも型にハマりすぎないスタイルで、大切な瞬間を切り取っています。青木さんが撮影した成人式のフォトブックを見せてもらいましたが、丁寧に、そしてさまざまな視点から被写体の魅力を引き出していました。昔に比べて写真は手軽なものになりましたが、節目節目にはプロの手で美しい思い出を残してみてはいかがでしょう。
青木さん撮影の成人式の記念写真。型にハマらないカットも数多く残してくれる
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会える場所 | 青木写真館 長野市元善町483 電話 026-232-4569 ホームページ http://www.aokishashinkan.com/ |
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