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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.197

村松

博樹さん

ごんバル実行委員長

愛する権堂のため
陰に日向にイベントを盛り上げる

文・写真 Takashi Anzai

一体感と活性化の好循環

2月25日の開催で10回目を迎える「ごんバル」。権堂周辺の飲食店で使える共通チケットを買うと、参加各店の特別メニューを楽しむことができます。5枚つづりのチケットは前売り3500円、当日4000円。前回の参加店舗は88店。高級店や話題のお店などを気軽に「はしご」できるという点がうけて、チケットの売上は回を追うごとに増えています。

権堂で居酒屋2店舗を経営する村松博樹さんは、2年前の第4回から副実行委員長、第8回から実行委員長を務めています。

「実行委員を引き受けたころから比べて、チケット売上は1.5倍以上に増えています。街が元気になったと言ってくれる人もたくさんいます。主催者側の飲食店も、腹を割って話せる仲間が増えてきました。イベントを通して、一緒にものを考えて、結果を共有する。そうすると、いい人間関係が生まれますよね」

飲食店の一体感が街を活性化し、お客が集まり、また飲食店の結束が固まるという好循環を生んでいるようです。

しかし、遡ることたった2年、引き受けた当初は、主催者側の飲食店も一枚岩とは言い難かったそうです。

「その頃は、だれのためのイベントかみんなわからない状態でした。横のつながりがないまま始まったことだったので、自分自身も、ごんバルには否定的だったんです。そういう人は多かったのではないでしょうか」

マスコミへのPRなども仕事の1つ

そんな中、当時の実行委員長から直接、協力してほしいと頭を下げられた村松さんは、権堂のために実行委員を引き受ける決意をします。そして、権堂の飲食店を駆け巡りました。

「イベントに来てくださったお客様に最高のおもてなしをすることが、街の魅力につながるということを、各店舗に訴えました。大事にしたのは、自ら協力店舗に足を運ぶこと。フェイス・トゥ・フェイスで粘り強くコミュニケーションを取るように努めました」

次第に懇親会などへの出席者も増え、そこでは前向きで熱い意見が出てくるようになりました。

吉本住みます芸人「こてつ」がPR大使を務める

ホッとできる場所をつくりたい

村松さんが独立して、1店舗目となる「情熱ダイニング みらい酒房」をオープンさせたのは6年前、46歳のとき。それまでは20数年にわたり長野市内のホテルに勤めていました。そこで、ブライダルやフロント、バンケットのほか経理や営業などを経験。しかし、ホテルは閉鎖を前提とした整理が始まり、村松さんは独立を決めます。

「ずっと食とサービスに携わってきたことを考えると、飲食店しか浮かばなかったんです。それで、東京で10数ヶ所を視察してまわっていたとき、メディアでもたびたび取り上げられている居酒屋『てっぺん』の朝礼に刺激を受けて、新しく居酒屋をやろう、最高の仲間づくりをしようと思いました」

その朝礼では、20歳そこそこの若者が「ウサギとカメ」の話を持ち出し、当時、他人と自分を比べ、損得勘定と勝ち負けしか考えてこなかった村松さんを諭したそうです。

「ウサギはカメを見ていて、カメはゴールを見ていた。勝負は最初から決まっていたんです、と言われたんです。自分は何のために独立するのか、自問自答しましたね。それで、損得勘定を捨てて、素直に目標だけを見て、人の役に立つ組織がつくれたらいいなと純粋に思いました」

結果、行き着いたのは「お客さんがホッとできる場所をつくること」でした。現在は、みらい酒房に加え、「九州情熱酒場 がばい寅次郎」を経営しています。そして、ホッとできる場所づくりは、自らの店だけでなく、権堂という街まで広がっています。

裏方としても現場で駆け回る

愛される街でいるために

知名度も浸透してきた、ごんバルですが、村松さんは現状に満足していません。今秋を目標に準備を進めているのが、「秋のサンマ祭り」です。岩手県大船渡市からサンマを仕入れることで、復興を支援することが目的です。

「社会的意義や、何のためにやるのかを大事に考えながら、いつまでも愛される街でいられるために貢献できればいいですね」

権堂が大好きだと話す村松さん。その理由をこう話します。

「下町の情緒があります。最初は警戒心が強いですけど、実は気さくな人が多いし、人情味があります。庶民的で洗練されていないところも好きです。イベントで横のつながりができて、老舗の人とも、若い人とも交流ができて、同じ飲食店として尊敬しあえるようになったので、よりいっそう権堂を好きになっていますね」

自ら汗をかいて、ごんバルを盛り上げてきた村松さんですが、自らのためにもなっているといいます。

「僕も元々あまり地域との関係性がなかったんです。地域の人たちから愛されたいという気持ちは強かったのに。街を愛さないと、街からも愛されないし、個店は”孤店”になってはいけないと思っていました。だから、実行委員長の話をいただいたことは、この地域に貢献するチャンスでもあったんですよね」

90近い店舗が参加するイベントを仕切るのは容易ではありませんが、村松さんは楽しそうに今後の抱負を語ってくれました。魅力ある街をつくるのは、魅力ある人なのだと思わされた瞬間でした。

次回は2月25日。多彩なイベントが予定されている

(2015/02/20掲載)

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