No.161
島田利子さん
山田英夫さん
このゆびとまれ篠ノ井こども広場 NPO法人ワーカーズコープ
誰もがリフレッシュできる
屋根付きの公園にようこそ!
文・写真 Rumiko Miyairi
気軽に来てください
「ちょちちょちあわわ かいぐりかいぐり とっとのめ おつむてんてん ひじとんとん♪」
手遊び歌がはじまると、あかちゃんたちの顔は一気に笑顔になりました。あかちゃんがお母さんと一緒に手遊びをしているのは長野市篠ノ井こども広場「このゆびとまれ」。未就園児を持つ家庭の子育てを地域で支えようという目的で、平成16年に長野市が設けました。その後、指定管理業務制度が導入され平成22年からNPO法人ワーカーズコープが管理運営を始めます。
「お母さんが、歌いながら手や楽器遊びをしたり顔を見てマッサージをすると、あかちゃんは、とても喜びます。ここではそれをしてほしいだけじゃないんですよ。お母さん自身も楽しんでもらえることを大切にしています」
熱心な表情で話すのは、このゆびとまれの館長、島田利子さん。
今年のクリスマスコンサートはボランティアさんのヴァイオリン生演奏も!子どもたちとクリスマスソングを楽しむ島田さん
島田さんは、あかちゃんがおもいっきり遊べるのは当然のこととして、子育てをしているお母さんたち自身も、日頃の思いが発散でき気軽に来られる広場にしたいと考えます。
「子どもって敏感ですよね、お母さんが悩みを抱えて沈んでいると元気ないんです。お母さんは家庭の太陽的存在だから、お天気がいいと気持ちが弾むのと一緒でね。お母さんが元気でいるだけで子どもは安心して遊んでいられるんです」
集まったお母さんたちが賑やかにおしゃべりをするそばで、島田さんは自由に遊ぶあかちゃんに目配せしながら話します。
「子育て中のお母さんが、何気なく寄られて、お母さん同士でおしゃべりを楽しんでもらうだけでもいいんです。子どもは、そばで自由に遊んでいますから。でも、時々はね、お子さんの動きに心を配って下さいね(笑)」
みんなで元気100倍、アンパンマン体操♪ このゆびとまれは、公園にいるようにパワフルに遊べる
お母さんに寄り添いながら生き生きと
NPO法人ワーカーズコープ北陸信越事業本部長の山田英夫さんは、普段、新潟市で仕事をしていますが、全国各地の事業現場に訪問する機会が多く、各所でそこを利用する人の姿を見てきました。そんな山田さんが、篠ノ井こども広場は、ずば抜けて活気にあふれていると話します。
「ここは盛況ですね。いろんな施設や児童館などの中でも、ここを利用する親御さんは特に生き生きしていますね。自然体で自由に過ごせることが、そうさせてくれるのかもしれません。そのうえ、利用する親子だけでなく、ここは働くスタッフものびのびと楽しんでいますね。そこが活気につながっている秘訣かもしれません」
山田さんによると、NPO法人ワーカーズコープは労働者協同組合(出資をした人がそこで働いて経営も担うという働き方をしている組合)の一つ。
全国各地に約850か所の働く現場があり、最近では高齢者福祉や子育て支援のような、人が人に直接関わる施設運営などの業務が、上位のビルメンテナンス業務に次いで割合を占めているそうです。今後、こうした分野は働く現場として注目されて、働く力もますます必要になってくると山田さんはいいます。
「このゆびとまれは、お母さんたちが自由に過ごせるということを有意義に考えています。そうすることが、お母さんたち自身で生き生きしてくると、わかっているからかもしれません。お母さんが何をしたいかを優先しているということです。日々、家事や育児に追われていると、自分のことは後回しになりがちですよね。疲れてもゆっくりと休めませんしね」
そんな山田さんの話に島田さんは深くうなずき、疲れているお母さんの気持ちは、自身が子育てしていたころも同じだったからよくわかると話します。
「私が子育てしていたころ、このような場所もありませんでしたから疲れてもひとりで悩んでいました。今のお母さんたちは、疲れたり悩んだりしたら、どんどん広場を利用してほしいですね。駆け込み寺のように使ってもらってかまいません。誰かに話すと、スッキリして生き生きできますもの」
島田館長を囲んでにこやかな、このゆびとまれの皆さん。広場の活動も親子と一緒に生き生きと楽しんでいる
「一緒にやりましょう!」とみんなを誘う島田さん。いつも笑顔を絶やさず、お母さんや子どもたちを元気にしてくれる
さまざまな人との交流を心の栄養に
「子育て中のお母さんは、子どもとの世界が主になりますが、できるものならたくさんの人とふれあって楽しく育児をしていただきたいのです」
島田さんは広場を通して、お母さんたちにいろんな出会いを提供したいと考えていす。
私が取材に伺ったとき、伴奏なしで童謡を披露する年配の女性が来ていました。その女性は、子育て中のお母さんに昔の童謡を知ってもらいたい、と自ら広場に出向きボランティアで歌っています。歌の曲目は、季節にちなんだ歌や行事、七五三にちなんで「通りゃんせ」などを入れた5、6曲、およそ30分間の公演でした。
「子育て中だからできないというのではなく、子育て中だからできることって大きいと思うんです。この広場にはヴァイオリンや吹奏楽もボランティアで演奏をしに来て下さる人がいます。あかちゃんを抱えていると、大きい会場にいっても落ち着きませんね。でも、ここだったら気兼ねせずに聴けます。あかちゃんの方もそばで遊んでいるので安心できる。一石二鳥ですよ」
いろんな分野で活躍する人の質の高いものを、子育て中のお母さんにも届けたいと、島田さんは情熱を燃やします。
「お母さんが、落ち込んでいたら元気になることが先決ですが、そのやる気が起きる広場でありたいですね。子どもの将来は誰もが大事だと思います。それなら、なおさら子育てをする親世代が英知を磨いて、生き生きとしていたいですね」
しかし、どんな気持ちのときでも広場は自由に来られる場所だと強調します。
「屋根付き公園だと思って来て下さい!」
誰でもいつでもウエルカムだという島田さんの開かれたスタイル。
雨が降ろうが槍が降ろうが、子育て中のお母さんにとって、頼れるつよい味方になるでしょう。
篠ノ井こども広場は、篠ノ井駅から歩いて5分ほどのところにある。ポップな「このゆびとまれ」の文字が目印に
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会える場所 | このゆびとまれ 長野市篠ノ井こども広場 長野市篠ノ井布施高田1021 電話 026-293-8860 ホームページ http://s-konoyubitomare.com/ FAX 026-293-8870 |
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