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No.096

高橋

元康さん

IVY products オーナー

長く使えるシンプルなものを
革小物のアトリエ兼店舗がオープン

文・写真 Takashi Anzai

使い込むにつれてデザインされていくアイテムを

8月1日、南県町に革製品の製造・販売を手掛ける「IVY products」がオープンしました。オーナーの高橋元康さんは、7年間バッグメーカーで革製品を扱い、革の持つ魅力に惹かれて自身のアトリエを持つことを決めたといいます。

「革の良さは、使い込んでいくと味が出るところですね。長く使えるところもそうです。小物や財布などを作っていますが、そういったものを育てていく、そこが一番面白いですね」

デザインのコンセプトは「無」。その裏にはこんな思いが隠れています。

「極力ムダを省いて、機能的で長く使えるモノを目指しています。こちらからデザインを提案するというよりも、使い手が使い込むにつれてゆっくりとデザインされていくような、そんなアイテムになるように心を込めてつくっています」

それだけに、上手に使われている革製品を見ると、気持ちも高揚すると言います。

「使う人によって全然違うんですよ。すごくきれいに使っている人もいますし、きれいじゃなくてもそれはそれで味があったりするんです。逆に、一番悲しいのは手入れしすぎてしまったものを見たときですね。大事にしすぎてオイルをたっぷり入れてしまうと革がクタクタになってしまうんです」

必要な人には技術的なことも教えてあげたいという高橋さん

つくっているその場所で売る

IVY productsは店舗とアトリエが同居しているので、店先に立つと奥にある革用のミシンが目に入ります。希望すれば、高橋さんがミシンを扱っている姿を見ることもできます。

「つくっているその場所で売っているという、ひとつの空間として見せたかったんです。自分がお客さんだったらつくっているところを見てみたいなという気持ちがありました。それと、アトリエがここにあることで、もし糸がほつれてしまった場合などに、来やすいスペースになればいいなと思いました。修理でもお手入れの相談でも気軽に立ち寄れるように」

「他にも革製品のつくりなどを、興味がある人には教えてあげたいと思っています。自分でレザークラフトを始めてみたいという人にも、力になれることがあれば出来ることはしてあげたいですね。革ってどうやって扱っていいか分からない人も多いと思うので」

子どもの頃から細かい作業が得意で、時計を分解して組み立て直したりして遊んでいたという高橋さん。お母さんが縫製工場で働いていたため、ミシンにも小さなころから親しみがあったといいます。そのため、職人に対する憧れはずっと持ち続けてきました。しかし、悪い意味での”職人タイプ”にはなりたくないと話します。

「無口で無愛想な職人にはなりたくないですね。閉鎖的ではなく、開かれた場所を作っていきたいなという思いはあります」

そう話す高橋さんは終始、柔らかい笑顔。心配は要らないでしょう。

店舗内観。奥にミシンが見える

長いスパンで使えるものへの愛着

長く使えるモノに惹かれる高橋さん。革と古布を合わせた「BORO」というブランドも展開し、鞄などをつくっています。松本の古布のパッチワーク作家さんから素材を譲り受けているとのこと。元々、何に使われていた布なのかを考えながら、生まれ変わらせるのが好きだといいます。

アトリエ兼店舗も古民家を改装したかなり古い建物。築年数は不明ながら、改装に入った大工さんによると100年近く経っている可能性があるとのこと。ミシンも中古で購入した古いものですが、高橋さん曰く「ちゃんとメンテナンスすればほとんど壊れない、長持ちする代表みたいなもの」だそうです。

「長いスパンで使えるものに魅力を感じますし、やっぱり愛着も湧きますね。革製品を修理するところってあまり長野にないので、請け負える範囲でですけど、やっていきたいなとは思っています」

今後は企業のノベルティグッズやセレクトショップのオリジナル商品なども請け負いたいと話す高橋さん。工場的な機能と、店舗の機能をバランスよく発揮していきたいと考えています。

「他では扱っていないような革だったり、長く使える革だったり、職人さんから買い付けて売っている商品もあります。良い革製品がほしいと思ったら、まずここが頭に浮かぶという場所になれたらいいですね」

高橋さんの製品。手前が古布を利用した鞄

(2014/09/17掲載)

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会える場所 IVY products
長野市南県町1137
電話 026-477-2010
ホームページ https://www.facebook.com/ivyproducts
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