No.107
Nubow×Adorer(ヌボーアドレ)
ナガラボ編集部のマイ・フェイバリット
花とグリーンと、おいしいスイーツ
文・写真 石井 妙子
フランス語で「新しいこと」を意味する「ヌボー」。ちょっと不思議な響きですが、長野市に暮らす人ならピンとくるはず。1974年に創業し、現在は市内に5店舗を構える老舗フラワーショップ「ヌボー生花店」があるからです。
路面店だけでなく駅ビル「MIDORI」や「ホテル国際21」にも店舗を持ち、普段のテーブルに飾る花からハレの日の花まで、あらゆるシーンに合う花とグリーンを提案。「結婚式の装花はヌボーさんにお願いした」「ここぞというときの花束は、ヌボーさんが定番」という声も多く聞きます。
そんな同社が2019年、既存店舗をリニューアルしオープンしたのが、稲里町の「Nubow×Adorer(ヌボーアドレ)」。日常に寄り添う花とグリーン、そしてカフェのあるショップです。
今日、買って帰りたくなる花とグリーン
宝石箱のように華やかな切り花ゾーン、みずみずしい観葉植物ゾーン、そしてドライフラワーをふんだんに使ったカフェスペース。以前は複数のテナントが入っていた横長の建物の壁を取り払ってひとつながりにした「Nubow×Adorer」には、ゾーンごとに趣の違う空間が広がっています。
▲ヌボーといえば切り花。定番から海外の珍しい花、仏前用まで安定の品揃え
▲ホームセンターでは売っていない珍しい観葉植物も豊富。育て方も教えてくれます
▲オリーブやシマトネリコなど大きな植物も販売。希望すれば庭に植え込む有料サービスも
客層やニーズに合わせて、店舗ごとに仕入れを決めるのがヌボー生花店のこだわり。
「Nubow×Adorer」はスーパーマーケットの敷地内という立地もあり、自宅に飾る花やグリーンを購入するお客さんが多いのだそう。そのため日常的に取り入れやすい切り花や、育てやすい観葉植物が充実しています。なかでも切り花は、「楽しみながら選んでいただけるように、色のバリエーションを豊富にそろえるようにしています」と、マネージャーの久保田瑠美さん。
▲国家資格である「フラワー装飾技能士」の資格を持つマネージャーの久保田さん。技術があるからこそ、ブーケ作りもデザインとスピードを両立します。ブーケはお客様と相談しながら作りたいので、できるだけ作りおきはしないのだそう
並んでいる切り花には一つひとつ、産地と生産者名、入荷日を書いたPOPが添えられています。買い物で野菜や魚を選ぶときのように、いつどこで誰が育てたものか、さかのぼれるということ。同社の品質と鮮度への誇り、そして生産者との信頼関係を感じます。
▲産地は長野県内から海外まで多彩。産地も入荷日も分かるから、選ぶヒントになります
長野県内で育ったフレッシュな花を豊富に
POPを見ていて気づくのが、長野県内で生産された花が多いこと。
「たとえば中野市はバラ、千曲市はトルコキキョウ、飯山はヒペリカムといったように、各地で懇意にしている生産者さんから仕入れさせてもらっています。
通常の仕入れは東京の市場から箱詰めで送られるので、どうしても収穫から店頭に並ぶまでの間に数日たってしまうんですが、県内の生産者さんは直接店舗に持ってきてくださる方もいたりして、前日に収穫したフレッシュな花が並ぶこともあるんですよ。ヌボーのスタッフが生産者を訪ねて研修を受けさせてもらったり、顔の見えるお付き合いを続けています」
▲中野市の「荒井バラ園」から毎年入荷するバラなど、生産者の顔が見えるのが特徴
切り花の鮮度。それは、同社が大切にしていることの一つです。フレッシュであればあるほど、買った後に長く楽しむことができるから。そんなこだわりを体現するのが、同社独自の「5日間の鮮度保証」制度。お客様が切り花を手にとってから5日以内に枯れてしまった場合、 無償で交換するというものです。切り花の入荷は週2~3回。月曜に入荷した花は金曜には売り場から引き上げるなど、常に新鮮な花が並ぶように徹底しています。
「お客様から、“ヌボーさんの花は長持ちするね”と言っていただくことも多いです。花は身近なものですが、毎日のように買うかと言われたら、やっぱり難しいですよね。だからこそ一度買ったら長く楽しんでもらえるよう、質のいいお花の提供を目指しています」
▲店頭に並ぶ切り花の花瓶はすべて鮮度保持剤入りで、みずみずしさを保っています
コロナ禍で披露宴や歓送迎会などの花の需要は落ち込みましたが、自宅で過ごす時間が長くなったことで、家に花を飾ることを始める人が増えています。大きな花束でなくても、「いいな」と感じた花を数本買って飾るだけで、毎日が少し楽しくなる。ヌボー生花店の花は、そんな時間を提供してくれるのです。
植物に興味を持つ入り口となるカフェ
そうは言っても、花を買うのはなんとなく敷居が高い。そう思う人にぜひ行ってほしいのが、ショップに併設されたカフェです。観葉植物売り場の先に広がっているのは、天井一面にドライフラワーが吊り下げられた絵本のような世界!
▲天井一面を彩る色とりどりのドライフラワーとランプの光が幻想的。ドライフラワーは販売もしていて、5店舗で一番の品揃えを誇ります
▲エディブルフラワーのビオラをあしらった夏季限定ドリンク「ターコイズ」(税込630円)はカシスシロップとサイダーをミックスした爽やかな味。ローズマリーの香りがアクセントに
「花に囲まれた空間でゆっくり過ごせる場所は、意外に少ないですよね。ここで花に囲まれながらゆっくりコーヒーや甘いものを食べて、心を癒してもらえたら」
花をかたどったラテアートやエディブルフラワー(食べられる花)を使ったドリンクなど、フラワーショップならではのメニューも。特に人気なのが、長野市のお菓子工房・CocoChouChou (ココシュシュ)が提供する「ヴィーガンローケーキ」と「ヴィーガン生チョコレート」です。
3大アレルゲンである卵・乳製品・小麦や白砂糖を使っていないから、食物アレルギーを持つ人や健康に気をつけている人も安心。「ヴィーガンのお菓子は味気ないのでは?」と思うかもしれませんが、食べてみると驚くほど風味豊か。生チョコレートはラズベリージャムとバラの花びら、ドライイチジク、ジンジャーなど厳選した素材の味が際立っていて、ヌボー生花店の花に対するこだわりと通じるものを感じます。目で楽しいデザインも魅力。
▲手前が「ヴィーガン生チョコレート7ピース(よくばり全7種類セット)」(税込450円)。奥が「ヴィーガンローケーキ 抹茶・ストロベリー」(各税込390円)
ドライフラワーに囲まれた空間と目にも楽しいメニューはインスタで人気を集め、カフェにはフラワーショップとは違う10~20代のお客様が多く訪れているそう。
「カフェをきっかけに、花やグリーンに興味を持ってもらえたら嬉しいですね。もちろん、何も買わなくて全然構わないんです。お店をのぞいて、こんな場所があると知ってくれるだけで嬉しいです」
もっと多くの人にこの場所を知ってもらいたい、と話す久保田さん。家で過ごす時間が長くなったからこそ、日常に花やグリーンを取り入れてみるのも楽しそうです。
▲ツルヤ長野南店の敷地内にある店舗。カフェとショップは中でつながっているので、行き来しながら楽しめます
<info>
Nubow×Adorer(ヌボーアドレ)
<お問い合わせ>
長野市稲里町中央1-23-1 ツルヤ長野南店隣
電話 026-286-6187
ホームページ https://nubow.co.jp/shop/nubow-adorer
営業時間 10:00~19:00
定休日 ツルヤ長野南店に準ずる