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 2015年、松代初のゲストハウスがオープンした。代表の山本薫さんは建築士として十数年前、仕事で松代に関わった際、辺鄙な田舎だと思っていた松代が、実は真田家本家が統治した信濃の国最大の藩で、今も江戸時代の建物が多く残る格式高い城下町と知って衝撃を受けた。その後、2010年に「松代イヤー実行委員」への応募を機にまち歩きガイドやインターネット放送局などのボランティア活動で再び松代と関わり、伝統文化や人とのつながりを大切にする住民の姿を見てさらに松代が好きに。こんな素敵なまちが知られていないのはもったいないとブログで積極的に発信するも、思った効果はなく、「もっと起爆剤的な何かを」と考えるうちにゲストハウスにたどり着いた。

 「松代には温泉も商店街もある。素泊りの宿があればまちも潤う。それにゲストハウスは学生時代にたびたび利用して馴染みがあったので、自分にもできるかなと思いました」

 そこで創業を決心し、長らく空き家だった明治期の町家を100人以上のボランティアと改修し、開業した。いざ始めると観光だけでなく、仕事やコンサート、病院の見舞いや墓参り等、さまざまな目的で訪れる人がいることに驚いたという。そうしたなか、後継者不在の商店の増加など、次第にまちへの危機感を覚えるようになってきたそう。

 「私は今の松代の雰囲気が好きで、リピーターもきっと同じ。最初は松代を訪れる人の増加を願って開業しましたが、今のままのまちを継承していくためにも、若い世代に地元の魅力を伝えるのも私の仕事かなと思います。焦りもありますが、じっくりやっていくしかないですね」



松代市街地にあった古民家を自ら改修した山本さん。「松代に新たに外の人の受け皿ができて、少しはまちに貢献できたかな」と話す。開業後、建物は国登録有形文化財に指定された。宿泊客は年齢層も幅広く、リピーターも少なくない。

 

profile

建築士として松代地区街なみ環境整備事業に携わったことを機に松代に興味をもち、「NPO夢空間松代のまちと心を育てる会」や地域の人々、家族の応援を受け、2015年4月4日、善光寺御開帳前日に「松代ゲストハウス布袋屋」を開業。「布袋屋」の由来は建物のかつての屋号。

長野市松代町松代504
TEL 026-214-2837

 

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