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No.353

栗林

朋美さん

「おんがく教室 エチュード」主宰

孤独にがんばるだけじゃない
ピアノの楽しさを伝えたい

文・写真 坂西孝美

3歳からスズキメソードに触れ、武蔵野音楽大学ピアノ科卒業―。栗林朋美さんは、園児や児童を中心に17年余りピアノ指導に携わってきました。その間、2児の母として子育てに奮闘しながら、自ら「おんがく教室 エチュード」を開室。マンツーマンでレッスンを行う一方、ピアノデュオとしての演奏活動を通じ、ピアノの楽しさを地域の人たちに伝えようとしています。

「やめたい」を乗り越えて、今がある

長野市小島田町の新興住宅地、小島田ピュアタウン。その一角に、栗林さんの自宅兼おんがく教室「エチュード」があります。教室生は2016年現在、下は年中園児から上は20歳の保育士まで40名ほど。3歳までの幼児向けにピアノリトミック(リズム運動など音楽的要素を培うためのプログラム)の教室も開いています。

自身のピアノとの出会いは3歳。母親に誘われるまま見学に行ったスズキメソードに入室したことがきっかけでした。

「幼稚園から小学校時代は、スズキメソードでお世話になりました。小学校の歌の伴奏が大好きだったことをよく覚えています」

ですが中学から高校時代にかけては、次第に自分の視野や興味が広がり、ピアノをやめたいという気持ちが膨らむ一方。

「中学のころ、親にもはっきり『やめたい』と言いましたが、引き止められました。でもそのおかげで今があると思っています。ここで歯をくいしばったことが大きかった。高校では吹奏楽を始め、クラリネットもそれなりに吹けるようになったけど、進路に悩むなか『この先も音楽に関わりたい』と思ったときに、やはりずっと続けてきたピアノを生かすべきだと気がついたんです」

そして音楽大学のピアノ科受験を決意。原点回帰というべきか、「高校の吹奏楽は自分にとっての転機だった」と栗林さんは振り返ります。

レッスン用の部屋にはグランドピアノが2台。親子レッスンもできる。取材当日レッスンにやってきたのは、年長さんの女の子。ピアノを奏で歌いながら、おかずを選んでお弁当をつめていく―というユニークなウォーミングアップからスタート

幼児教育との出会い―ふくらむ独立の夢

栗林さんが初めてピアノを教えたのは、大学4年のとき。都内の私立小学校に通う女の子の元へ、音楽の家庭教師として通いました。大学卒業後は地元・長野市へ戻り、市内の幼稚園で音楽教諭を5年間務めました。

「外に出て、いろんな現場に行って、もっと社会を見てみたい。音楽を通じて、子どもたちともっとふれあってみたいという思いが強くなったんです」

日中は合奏や合唱、リトミック指導で園児と関わり、夕方からは併設のピアノ教室で卒園児などに教えたりしながら、次第に独立を夢見るようになります。

そして2006年(平成18)、自身の教室を開きました。最初は市内若里の実家と、吉田に借りた場所を拠点に往復する日々。途中、妊娠・出産の時期も家族のサポートで何とか乗り越えながら、5年ほど前から現在地へ。教室名は、高校時代に衝撃を受け大好きになったというショパンの『エチュード』にちなんでいます。

「エチュードとは、練習曲という意味。でも本当に練習曲なの?と思うくらい難しく、聴けばかっこいいけれど弾き手泣かせの曲なんです。諦めたいという自分の気持ちをはねのけ、少しずつ練習を重ね、弾けるようになったときの大きな喜び。初心を忘れないように―という思いも込めて、教室名に掲げました」

オリジナルの小物がたくさん!「100円ショップもよく巡ります。これは使えるかな、どう使おうかなと考えるのがけっこう楽しい」とニッコリ

レッスンのモットーは、「楽しく」

指導歴17年、独立して10年―。幼稚園教諭時代のピアノ教室で教えた年少児はもう高校生になり、「今でも部活の定期演奏会に呼んでくれるのがうれしい」と、教え子に寄り添い続けるマンツーマンレッスンのやりがいを実感しながら、栗林さんは自身の歩みを思い返します。

「自分が『お教室』の厳しい世界で育ちました。力がついたけれど、やはり楽しみがないと続かないし、ストイックにもがんばれない」

エチュードのレッスンは“楽しく”をモットーに、「自分を出して表現する、声を出す」。元気なあいさつから始まって、ごほうびのような楽しみを要所に設けながら、ステップアップへと導きます。音符を学ぶ「魚つりゲーム」、指番号を覚えるボール遊びや、指の力を鍛えるクリップ遊びなど、教室には小物もたくさん。いずれもとことん子ども目線で、栗林さんがオリジナルで考案したものです。

「楽しいが過ぎるとなれ合いになるし、基本は必要ですから、ストイックにやるべきところはもちろんあります。ツェルニーやハノンも、音大を目指すようになって大事さに気づかされました。あのステップを踏む意味は大きいのだと。最初は『楽しい』から始まって、大きくなるにつれ、がんばること、がんばった先に楽しいことが待っているということも伝えたい」

栗林さんの明るく朗らかな人柄に触れ、こんな先生のアットホームなレッスンだったなら、子どもたちも無理なくがんばれる―そんな気がしてきます。

音符を覚えるための魚つりゲーム。カードは栗林さんのお手製

『妖怪ウォッチ』のフィギュアは指番号を覚えるアイテムとして活用。「息子たちのを拝借しました」

自ら表現し、ピアノの楽しみや可能性を伝えたい

一方で栗林さんにはいま、自身の演奏活動というもう一つ大きな目標があります。2016年、幼稚園教諭時代の先輩と、互いの子育てが一段落したタイミングで「ピアノデュオ・ハピネス」として活動を始めました。

ピアノ1台での連弾。しかしハピネスが目指すのは、ただ2人で弾くのではなく、見ても楽しめるパフォーマンスであること。そこにも、孤独でストイックに思われがちなピアノのイメージを払しょくしたいという栗林さんの思いがありました。

「『トルコ行進曲』や『アラベスク』など、みんなが知っている曲を多彩なアレンジで披露しながら、演奏中に2人の場所をスイッチしたり、ピアノはこんなに自由で楽しいんだと伝えながら、会場一体型で楽しめる演奏会にしたいんです」

本格的な活動はこれからですが、実は「もともとトリオで活動するはずだった」と栗林さん。転勤で今は遠方に住んでいる“3人目”のメンバーがいつか戻ってくる日を夢見ながら、しばらくはデュオとして、幼稚園・保育園や子育て施設を中心に巡っていく予定です。

ピアノデュオ・ハピネスのパートナーは、大学の先輩でもある関 亜佳里さん(長野市吉田で「コンチェルトピアノ教室」主宰)。これから本格始動(写真提供:栗林さん)

(2017/01/16掲載)

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会える場所 おんがく教室 エチュード
長野市小島田町
電話
ホームページ https://etudeongaku.jimdo.com/
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