No.296
ハラ
アダムさん
H•ADAM'S 英会話教室 代表/英会話講師
英語で楽しくコミュニケーション!
長野から世界へ、世界から長野へ
文・写真 合津幸
長野市風間で英会話教室を営むハラアダムさん。子どもから大人までを対象とした少人数制のクラスやプライベートレッスンを行うほか、市が主催する各種講座でも英会話講師を務め、多忙な日々を過ごしています。そんなアダムさんから見た長野市や長野で英語を学ぶ人々のこと、そして将来の夢についてお伝えします。
自宅で英会話レッスンを開始
オーストラリア出身のアダムさんが長野県との縁を得たのは2007年のこと。須坂市内の小中学校でALTとして働き始めたことがきっかけでした。
2008年にはTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages = 英語を母国語としない人々への英語教授法)を履修。同年に長野市出身の綾那さんと結婚し、2013年にH•ADAM’S英会話教室を開校しました。
「長野市で教室を開いた一番の理由は、家族でここに暮らしたいと思っていたからです。それに、長野市にはその好機があると感じていました」
最初の生徒さんとの出会いは、まだ教室の看板もなければ生徒募集すら始めていなかった頃のことでした。
「引っ越して間もなく、私を見かけたご近所さんが『あなたは英語の先生ですか? 私の2人の娘にぜひ英語を教えてやってくれませんか? 』と話し掛けてくれたんです。驚きましたが、嬉しかったですね」
そこから綾那さんが手作りの案内を作成してご近所に配るなど、地道に生徒さんを募りました。徐々に口コミで評判も広がり、興味を持った方が自宅を訪ねてくれることも増えたそうです。
靴を脱いで上がる教室は適度にリラックスした雰囲気。この時期はクリスマスデコレーションが施されている
「当初は自宅2階の1室を使ってレッスンを行っていました。でも、生徒さんが増えたり私たちに子どもが産まれたりして、自宅では賑やか過ぎるということになって(苦笑)。2013年に今の教室(建物)を増築して、いい環境で学んでもらえるようになりました」
アダムさんがレッスンにおいて最も大切にしているのは、コミュニケーションと発音です。理由は、「子どもたちが誰にでも気兼ねなく自由に質問を投げ掛け、質問に対して答えられるようになれば、外国人に話しかけられても恥ずかしがったりせず会話を楽しめるようになるから」です。
教室にお邪魔した日も、子どもたちの目を真っ直ぐに見て熱心に指導するアダムさんがいました。
アダムさんの質問に英語で答えようと奮闘する子どもたち。こうしてコミュニケーション力が磨かれる
市内各地でも講師として活躍
さらに2012年、若里にある中高年齢勤労者福祉センターサンライフ長野での講師依頼を受けたのをきっかけに、自宅周辺以外にも活躍の幅を広げることに。現在はサンライフのほか、北部勤労青少年ホーム、柳町働く女性の家、南部働く女性の家で英会話講師を務めています。
「生徒さんの中には1998年の長野冬季五輪でボランティアを経験した方や期間中に外国人との対話を楽しんだ方も多く、その経験が長野市民に外国人や英会話でのコミュニケーションに対する意識を変えたんじゃないかな、と感じます」
ただしそうした素地がありながらも、アダムさんが長野に来たばかりの頃は大都市と比べて英語教育に対する興味・関心はそれほど高くなく、あまり重要視されていない印象を抱いたそうです。
柳町働く女性の家のクラスにて。参加者の皆さんから「楽しみながら学んでいます」との声が聞かれた
しかし、ここ数年の間に変化が生じています。
たとえば、小学校高学年で英語学習が必修化するなど、教育現場に積極的な姿勢が見られるようになりました。これは、子どもたちの意識・認識に大きな影響を与えることでしょう。
世界各地から訪れる外国人観光客の急増もまた、コミュニケーションツールとしての英語を意識する良い機会になっています。
くわえて2019年のラグビーワールドカップや2020年夏季五輪の日本開催決定を受けて、ボランティアとしての参加を希望する人たちが増え、英会話習得への興味・関心が日本国内で高まっています。
「長野市では、冬季五輪を経験した年代をはじめとする幅広い年齢層の方が、こうした国際的な大イベントでのボランティア活動に意欲を持っているように感じます」
英会話を学ぶことは世界と世界の人々に自ら歩み寄ること。ほんの少し距離を縮めるだけで、見えて来る景色や得られるものも変わるのかもしれません。アダムさんが市主催の講座を大切にしているのは、市内で暮らす身近な人たちにもそんな素晴らしい体験を得てほしいと願うからなのです。
「とてもシャイな日本人のみなさんにも、自信を持って英語で話しかけられるようになってほしい」と、アダムさん
英語でコミュニケーションを!
アダムさんは日本のいくつかの都市で暮らしたことがあるそうですが、中でも長野がベストだと言います。
「長野に住んだり長野を訪れたりした多くのオーストラリア人が良く口にするのは、『長野はオーストラリアによく似ている』『オーストラリアを感じさせてくれる』ということです」
人がフレンドリーで温かく、同時に長野駅・市役所・芸術館などの象徴的な建物は建て替えられて近代的で洗練された印象を受けるそうです。
そんな長野で家庭を築き、根を下ろしたアダムさん。将来の夢を尋ねてみました。
「英会話を教え続けること。たくさんの人に英語でのコミュニケーションは難しくないのだと知ってもらうこと。そして、世界中を旅したり、英語でのコミュニケーションを楽しんでもらいたいと思っています」
この夢は、アダムさんを公私ともに支える奥さま・綾那さんの夢でもあります。綾那さんは看護師としてパートタイム勤務をこなしながら、英会話教室の運営をサポートしています。
教室の入口に掲げられた看板。開講当時小学4年生だった初めての生徒さんは今も通い続けている
「私は特別英語が得意というわけではなかったので、今も英検に挑戦するなど努力しているところなんですよ」
そう話してくれた時の生き生きとした笑顔から、綾那さんもまたアダムさんとの出会いによって英語での対話の魅力を知った1人であることが伝わってきます。
そんなアダムさん一家の趣味はキャンプと旅行です。週に一度の休日に近場の高原に出掛けたり、まとまった休みには県外に足を伸ばして小さな旅を楽しんでいるそうです。
そういえば、綾那さんがこんなことも話してくれました。
「子育てがひと段落したら、アダムと一緒に日本や長野から世界へ目を向けている方と世界から日本や長野に目を向けてくれる方のサポートをしてみたいです。留学や旅行など目的に合ったアレンジを担いたいです」
そう遠くはない未来に、今ご家族が体感している各地の魅力を知る喜びや感動が、「世界と長野」「世界と日本」を結びつける彼らの後押しになるのかもしれません。
綾那さん、あいりちゃん、あいきくんと一緒に。子どもたちは元気いっぱい! 笑顔あふれる仲良し家族
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会える場所 | H•ADAM’S 英会話教室 長野市大字風間1363-8 電話 026-222-0086 |
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