No.151
戸谷
雅史さん
まいさぽ長野 相談就労支援員
相談者に寄り添いながら
粘り強く悩みごとの解決へ導く
文・写真 Takashi Anzai
友人の代わりになるぐらい深い関係を
2014年4月、生活や就労の困りごとや悩みを抱えた人たちの相談窓口として、長野生活・就労支援センター(通称・まいさぽ長野)がオープンしました。生活困窮者が自立した生活を送れるよう、地域のさまざまな機関や制度などを紹介したり、一緒に生活の問題を解決する方法を考える機関です。
まいさぽ長野で相談就労支援員として自立をサポートしているのが戸谷雅史さんです。戸谷さんはこれまで、養護学校や地域若者サポートステーションなどで就労支援に携わってきました。そうした経験を生かして、利用者にとって懐の深い相談相手となっています。
「病気など仕事を辞めざるを得ない事情があった人や、家族と絶縁状態になっている人などもいます。友人の代わりにはなれないんですけど、そのくらい深いところまで話してもらえる関係づくりを目指しています。話してくれるまで待つというスタンスなので、時間がかかることもあります」
センター長の土屋ゆかりさんは戸谷さんの仕事ぶりをこう称えます。
「相談者に寄り添いながら、流されずに問題を整理する力があります。寄り添いすぎてもいけないので難しいところなのですが、クールなところとホットなところを持っている。そして解決の糸口を見つけ出す粘り強さに一目置いています」
土屋センター長は「粘り強さに一目置いています」と戸谷さんを称える
社会に出ていく人のために
戸谷さんは長野市生まれ。高校は定時制を選び、えのき工場などで働きながら通学しました。早くから自立心が芽生えたのは母親の影響が大きかったといいます。
「中学校時代、僕は学校にいる時間より家にいる時間の方が長かったんです。でも口酸っぱく言うこともなく、あたたかく見守ってくれていたので、できることなら早いうち自分でできることは自分でやろうと思ったんです」
高校卒業後は幼児教育を学べる短大に進学。その後、養護学校に就職し、高等部の担当になりました。
「生徒さんは、施設に行くか、障がい者雇用で働くかという選択がほとんどです。生徒さんもご家族も、ひとまわり変化が見えたとき、少しでも自分が関わることができたかなと思えました。そういうことの積み重ねで、そのころから、社会に出ていく人のための役に立ちたいという方向性が見えてきました」
その後、障がい者就労支援事業所、若者サポートステーション、パーソナルサポートセンターと、活躍の場は変わり、相談を受ける人の年齢層や背景は幅広くなってきました。
相談員は全員で7名。「経験豊富で物腰もやわらかです」と戸谷さん
いろんな視点を持った相談員に
就労相談員の仕事はバランス感覚が最も重要だと考えている戸谷さん。日々、自問自答しながら業務に当たっています。
「前の事業から3年間関わりがあって、ずっと3年間状況が変わっていない人もがいるんですが、ちゃんと寄り添えていたのかなと考えてしまったりしますね。逆に寄り添いすぎてもいけないので、距離感をつかむのが難しいところです」
そんな戸谷さんの心の支えとしているのは「目は前方に、手は後方に、心は寄り添って」という言葉。
「何かに書いてあった言葉です。常に周囲の情報に気を配りつつ、手を出すのは最小限で、でも気持ちは寄り添っている、そんなサポートができたらいいと思っています。これまで幼児、生徒、障がいがある人、若者と、さまざまな方々と関わってきましたが、今は年齢や背景を問わずです。私は30代前半で独身ですから不足している視点もあるかもしれません。職場の先輩に勉強させてもらいながら、いろんな視点を持った相談員になりたいと思っています」
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会える場所 | 長野生活・就労支援センター(まいさぽ長野) 電話 026-267-7088 ホームページ http://nsyakyo.or.jp/ |
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