No.092
桜井
弥生さん
Mam's Style実行委員長
子育てと仕事、どちらも楽しむ
お互いを応援し合うママの輪
文・写真 Chieko Iwashima
ママがママのために考える
子育てを大切にしながら働きたい・働くママたちを互いに応援する任意団体「Mam’s Style(マムズスタイル)実行委員会」。自分のライフスタイルに合った仕事のありかたを模索しているママや、子育てがひと段落した先輩ママが集まっています。
「目的の1つは、子どもが小さく一番働きにくいお母さんたちの自己実現を応援することです。現在14名いる会員のうち、約半数が自営業者や将来は自営業を希望していることもあって、この会の活動の中で自分のお店を作る準備やいろんな人とのつながりを作っていくことも同時にできればいいですね」
そう話してくれたのは、マムズスタイルの発起人で委員長を務めている桜井弥生さん。
普段の子育ての輪の中ではできなかった経験や交流をするため、フリーマーケットやイベントに出店しているほか、環境問題や食育など会員の興味のあることをテーマに講師を招いて勉強会を企画しています。また、年に4回発行しているフリーペーパーには子育てや趣味、仕事にまつわる情報が詰まっています。
「ママさんの集まりではありますが、子育てサークルとは少し違います。教えてくれる先生がいて何かをやるというのではなく、1人が考えたことをほかの人も協力して、アイデアを出し合って実行していきます。新しくやりたいことを否定しないで、みんながポジティブな方向に進んでいる感じがすごくしますね」
出産について取材する会員。取材に子どもを連れて行くこともある
産後のママたちが抱える葛藤
桜井さん自身も3歳と5歳の息子さんのママ。10年前、旦那さんの転勤で埼玉県から長野市に越してきて以来、美術教師として働いていた経験を生かして子どもと大人のための造形教室「NAGANOアートチャレンジ教室」を開いていますが、当初はプライベートではほとんど知り合いがいない状態でした。そこで、上の子どもが1歳になる前に、気分転換と友だち作りを兼ねてママのための英会話サークルに入りました。
「同じくらいの小さな子どもがいるお母さんたちと話す中で、子どもを預けて働いても慌ただしさと稼げる額が相殺されてしまうから、それなら3歳まで家でみようと思うってことをよく聞いて。でもその3年間、社会と隔絶していると感じる人は多いし、自分の収入がないことに引け目を感じる人もいます」
この先、どうやって働こうかと自分の能力の生かし場所が見えずにモヤモヤしているお母さんたちのためにできることはないだろうかと考えた桜井さん。2012年の秋に、友人数人でマムズスタイルを立ち上げました。
「私は子育てのために仕事量を調節しながら自営業をしていたし、ほかにも自営をしている人が周りにもいたので、悩んでいるほかのママさんも自分のできることを生かして自営業って方法もいいんじゃないかって。働き方の1つの選択肢を伝える場所がほしいと思ったところから、マムズスタイルが始まっていきました」
フリーペーパーの最新号(2014年6月)は16ページと読み応えたっぷり。「ネットでの情報も便利ですが、やさしい紙の読み物を大切にしたい」と桜井さん
1人ひとりの持ち味を生かすことが社会を良くする
マムズスタイルの特徴は、会員が受け身ではいられないということです。決まった活動を繰り返し行うのではなく、ゼロから考えます。
「それぞれに違う目線があるからできることがあります。自分1人ではできないことも、みんなでならできる。だから、自分の興味のあることがほかの人のためにも役立つことだと説明することが最初のステップです」
自分の意見を言うことは、なかなか勇気がいることなのでは?と尋ねると、マムズスタイルでは、そうすることのほうが当たり前になっているといいます。
「会員のなかには私の以前からの友人もいるんですが、活動を通して初めて知る部分もありました。友人同士の集まりって、人に合わせていて意外と自分の本音を言わないこともあるから、ここは自分を正直に出せる場なんじゃないかなと思います」
忙しくて自分と向き合う時間もないお母さんたちの毎日に変化を与えているマムズスタイルの活動。それは、自分だけでなく人の思いに寄り添うことが、一回りも二回りも大きな意味を持っているように感じました。単なる「ママ友」の関係からは得られないものがそこには詰まっているのだと思います。
信州新町西山地区産の竹パウダーを使った段ボールコンポスト作りの様子。勉強会には会員以外の人も参加できる。2014年8月末には、3社の企業からゲストを招いて「子育てママ応援企業と交流ランチ会」を開催した
「会員の皆さんが、会の価値を感じてくれていることが私のやりがいですね。以前、私が勤めていた中学校は荒れていて教師として悩みは尽きなかったんですが、そこの校長先生が私の意見をちゃんと受け止めてくれる方だったんです。ほかにも、サポートしてくれる人がいました。そういった自分の経験もあるので困っているママさんたちにもやりたいことをやってほしいし、うまく進んでいけるように支えたいんです」
「それに、いい子育てをしたいとか、自分を輝かせる仕事をしたいって願っている人たちの社会活動自体が仕事につながってくれたら社会全体もよりよくなると思うんです」
年に1回、大きなイベントを開催。昨年は篠ノ井の「このゆびとまれ」で開催した
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会える場所 | Mam's Style マムズスタイル 長野市稲里町下氷鉋465‐2(NAGANO・アートチャレンジ教室内) 電話 090‐6008‐3934(桜井さん) ホームページ http://mamsstyle.naganoblog.jp/ |
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