No.85
清泉女学院大学山貝ゼミ インフルエンサー・マーケティング・プロジェクト
ナガラボ編集部のマイフェイバリット
ゼロから企画して約3万いいね!を獲得 黒子として活躍した学生たちの半年
文・写真 安斎高志
インフルエンサーとは、世の中に与える影響が大きい人のこと。そうした人たちの発信を利用して宣伝する手法をインフルエンサー・マーケティングと呼びます。
実は「ナガラボ」の本年度事業でも、学生によるインフルエンサー・マーケティング・プロジェクトが進められてきました。
企画から運営までを行ってきたのは、清泉女学院大学山貝ゼミの3年生4人。小沼千咲さん、平野陽香里さん、丸山アリサさん、宮嵜舞衣子さんです。
結果を先にお伝えすると、彼女たちは長野市を題材にしたインスタグラム投稿で約3万の「いいね!」を獲得することに成功しました。
2018年7月から2019年1月まで、紆余曲折を経て進められたプロジェクトについて取材しました。
「自由に長野市のプロモーションを」という丸投げ
もともと、ナガラボ編集部から学生たちへ出されたお題は漠然としていました。予算だけが知らされ、あとは自由に長野市のプロモーションにつながることを企画、運営してほしい、というものでした。ムチャぶりに近い丸投げです。
最初は何をしていいかわからなかったと振り返る4人。さまざまな意見を出し合い、「結局は、自分が会いたい人に会えるような企画にして、自分の欲望を満たすことにしました」(宮嵜さん)。発信力のある人たちをピックアップし、協力を得るためのオファーを出し始めます。
まず、最初に企画したのは、有名ユーチューバーを招いた「発信」についての授業。受講した学生が、地元・長野市の身近なネタを、おもしろおかしく発信できるようになる、というのが企画意図です。
ユーチューバーの側も「大学に呼ばれて一コマ授業をする」ということは箔がつくから、謝礼が少なくても、引き受けてくれるだろうという思惑もありました。
ユーチューバーに振られ続けた5ヶ月
ところが、交渉はなかなかうまく進みません。そもそも反応がない、ギャラの交渉前から断られるなどで、著名なユーチューバーからは連続して袖にされてしまいました。
こうして3組に振られた時点で、少し学生たちの意識に変化が生まれます。「とりあえず来てもらって、中身を考えてもらう」のではなく、「こちらから企画を出して、乗ってもらう」というスタンスに変えて、オファーをしてみました。
それは、焼きりんごをつくる動画が人気のユーチューバーに、長野市のりんご、調味料とメンバーおススメのレシピも添えて送って、調理してもらう、というもの。しかし、これも熱意は伝わりません。
結局、計5組のユーチューバーに振られてしまいます。
年度末(3月)までに何らかのカタチにしなければいけない4人は、ここで企画を方向転換させることにします。
おもしろ路線からおしゃれ路線へ
おもしろ路線のユーチューバーを捨て、4人が選んだのは、おしゃれなインフルエンサー。モデルの上原梓さんです。インスタグラムのフォロワーは9万人を超えます。
知り合いの伝手を頼りにオファーしたところ、快諾を得て、上原さんは12月下旬、長野市を訪れてくれました。
撮影場所と被写体は上原さんに任せました。「フォロワーは上原さんの感性が好きなんだから、上原さんのセンスを大事にしたほうが反応はいいはずだと考えました」(小沼さん)。
上原さんが選んだのは、善光寺の門前にある「平野珈琲」やシェアショップ「wonderlust」内の花屋さん「flumina-flumira」など。「#長野市」と「#ナガラボ」をつけた写真計14枚、3投稿で約3万以上の「いいね!」を集めました。
投稿を見たメンバーは「上原さんに頼んでよかった」と口をそろえます。「切り取り方で、ちょっとした景色がとてもおしゃれに見える」と丸山さん。
ゼミ生のメンバーは全員長野市出身。平野さんは「長野市は渋いものが多い印象だったけど、アンテナの立て方と見せ方によって、若い世代に評価されるものもたくさんあるという再発見になった」と話します。試行錯誤の末、企画をかたちにした4人の表情が、半年前より頼もしく見えたのは気のせいではなかったと思います。
上原さんの投稿はこちら
その1
その2
その3
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上原梓さん インスタグラムアカウント @niwatorigoya