No.52
往生地公園
ギタリスト 宮田康佑さんのマイ・フェイバリット・ナガノ 往生地公園
善光寺平を一望する高台の公園
文・写真 合津幸
配水池跡地を利用して整備
善光寺さんの西側の高台にある長野市往生地地区。町名は、刈萱上人と石堂丸との親子伝説で知られている刈萱上人が、この地で入寂した(亡くなった)ことに由来すると言われています。今回ご紹介する往生地公園はこの地区の一角にあります。
公園は配水池の移転に伴い、その跡地を利用して整備されたもの。園内には子ども用の遊具、芝生広場、藤棚、ベンチ、彫刻作品等が配され、同じ敷地内にトイレ(冬期間は閉鎖)と公民館もあります。
公園には南北に2つの入口がありますが、比較的道程がわかりやすいのは南の入口でしょうか。若松町の交差点から北へ向かい、横沢町の信号を左折。初めのカーブ手前右手に公園があります。北の入口は、善光寺北西の門から湯福神社前を通る細い坂道(往生寺に続く参道)を真っ直ぐ西へ進み、しばらく上った左手に見えてきます。
写真が南の入口。草木が芽吹く前なので少々寂しげだが、季節が変われば緑に覆われて気持ちが良いことだろう。北の入口脇には公民館の建物があり、その前面にいくつかの遊具が配されている
慣れ親しんだ街を見下ろす絶景
これまでにも、本コーナーではいくつかの公園を紹介しましたが、それらに比べるとこの往生地公園はコンパクトかつ、穏やかで落ち着いた雰囲気があります。周辺地域に暮らす住民の皆さんが徒歩でふらりと訪れる、もしくは何かのついでに立ち寄るという印象です。
推薦者の宮田さんも、「何をするでもなく、ふと散歩に出掛けたくなるお気に入りの場所」としてこの公園を挙げてくださいました。とは言え、高台の立地ゆえ、善光寺さんを含む長野市街地の眺望はなかなかのものです。
特に公園沿いの道路や南の入口脇の階段を上った広場からの眺めが抜群で、場所によっては善光寺平を一望することができます。こうしてなじみのある街を普段とは違った視点からあらためて見渡してみると、思った以上に新鮮な気持ちになるものです。
傾斜地にある公園なので、園内にもいくつかの階段がある。南の入口が一番低く、北の入口が一番高い。写真にあるような桜の巨木脇にベンチが配されている広場は北の入口と同じ高さにある
4月、桜が咲いたらのんびりお花見へ
眺望のほか、これからの季節は観桜の楽しみも加わります。
前述の宮田さんも、桜の季節は特に印象深い風景に出合えると言います。「花を眺めるのはもちろん、散り始めの頃も園内が花びらで満たされてすごくキレイです。風の強い日は一段と美しいですよ」とのこと。往生地公園でのお花見は、近くに住む方々の毎春恒例の楽しみのひとつなのかもしれません。
今回、本記事のために桜の写真を提供してくださった堤郷子さんも、往生地のすぐ下の桜枝町でピアノ教室を営む“ご近所さん”の一人。ある年はこの公園を含む数カ所の桜巡りをしたり、また別の年には園内の満開の桜の中に響く鶯の声に耳を傾けたりと、この地区・この公園でこそ体感できる春を楽しんでいるご様子です。
ただひとつ心配なのは、近年殊に園内の桜の一部に樹勢の衰退が見られるようになったことです。公園管理を担う長野市公園緑地課でも、樹木の保護に取り組んでいるそうです。
桜の樹齢は不明ですが、公園が完成した昭和58(1983)から推定してもまだ35年ほど。こうして住民たちの日常を見守るように美しく咲く桜を次代に受け継ぐことができるよう、大切にしてゆきたいですね。
広場に植えられている桜。写真[上]:この木々は園内では比較的細めの幹ながら、立派な枝ぶり。堤さん曰く、「お弁当持参で訪れるのもいいかも」とのこと。写真[下]:可憐な花の向こうに街並みが見える(写真提供:堤郷子さん、2015年4月撮影)
長野市公園緑地課(公園管理) TEL:026-224-5054
長野市HP内
https://www.city.nagano.nagano.jp/site/toshikouen/11667.html
※ 駐車場は南の公園入口に2台分(1台は身障者専用)のスペースのみ。車でアクセスする方は善光寺周辺のコインパーキング等を利用し、徒歩での来園にご協力ください
長野市人物図鑑
宮田康佑さん ギタリスト