No.2
社会福祉法人ながのコロニー
長野市障害福祉課の皆さんのマイ・フェイバリット・ナガノ
地域で暮らし、社会の一員として生きるために
文・写真 合津幸
障害のある人の尊厳を守るために
「社会福祉法人ながのコロニーは、障害のある方々が、必要な支援・サービスを受けながら、イキイキと張り合いや生きがいを感じて暮らすことを目指しています。今回訪ねた「ワークサポート篠ノ井」をはじめ、複数の施設を運営しています。
昭和35(1960)年、若槻徳間の地籍に「長野コロニー協会」の名にて創立。その2年後には生活保護授産施設である「コロニー作業部」が、その後身体障害者授産施設「コロニー訓練部」、身体障害者「長野福祉工場」、重度身体障害者授産施設「重度授産部」が順次開設され、働く場と生活の場を提供して来ました。
「私たちは、その方のニーズ・目的に合ったサービスの提供を大切にしています。まずは利用者の皆さんに毎日を楽しく過ごしていただく。そして、心身の状態に応じて労働や創作活動を担っていただき、社会の一員としての誇りや喜びを感じてもらえるよう努めています」(ワークサポート篠ノ井の宮崎史郎所長)。
自身に与えられた役割を果たそうと、各自真剣に取り組んでいる姿が印象的だった(「ワークサポート篠ノ井」にて、JRAゼッケン製作担当者の作業風景)
適正・能力に応じた働き方を選ぼう
つまり、「ながのコロニー」が目指しているのは、単なる支援ではなく、障害のある方々の意向を尊重し、能力や適正に応じた就労の機会や生活の場を提供するための環境づくりや仕組みを整えることです。そして、自身の存在意義を感じたり生きる喜びを感じたりできる、そんな場や機会を地域とともに創造することなのです。
そんな同法人が運営する施設は長野市篠ノ井と若槻の2拠点に分かれていて、それぞれに就労支援や日常生活の支援等を行っています。
たとえば「ワークサポート篠ノ井」では、日本中央競馬会(JRA)のゼッケンの転写を担うほか、菓子箱折りやお土産品の箱詰めなど、さまざまな生産活動を行っています。特にJRAのゼッケンは、計12名の利用者さんがほぼ専属で作業にあたり、多い時では1日に300〜400枚を製作するというから驚きです。
JRAのゼッケン製作の様子。抜群のチームワークで着々と仕上げてゆく。丁寧な作業で質の高い製品づくりを続けている点が高く評価されている
地域との絆を大切に歩み続ける
施設内での生産活動や創作活動にくわえて、近年殊に力を注いでいるのが飲食店やNPO法人等で行われる外部実習です。良い意味での緊張感に包まれながら学び、実践を重ね、時に社会の厳しさを知り、時に社会の一員であることを強く実感します。すると、ある種の自信が得られて、これまでにない成長が促されます。
ただしそれらは、社会全体の理解の深まりと地域との結び付きがあってこそ叶えられる、と宮崎所長。「少しずつ、障害者のある方にとって過ごしやすい社会になりつつあると思います。また、この施設では、周辺住民の皆さんの理解や協力によって支えられている側面が大きく、感謝の気持ちでいっぱいです」
最後に展望を尋ねると、「利用されている皆さんがその人らしく暮らすために必要な支援を、これまで同様にしっかり提供し続けること」と、キッパリ。創立以来貫かれてきた想いの強さを感じました。
重石を使って、片手で器用に箱を仕上げていた方も。初めからできないと決めつけず、工夫を凝らしてできることを増やし、可能性を広げることが大切だ