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わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.098

峯村

元造さん

みねむら もとなり

信州新町肉めん羊生産組合

さぁ!フォークを使ってサフォークを召し上がれ!

文・写真 Yuuki Niitsu

サフォークとの出会い

「サフォークが長野市の新しい看板になってほしい」
こう話すのは、長野市信州新町で唯一サフォークを飼育・繁殖させている峯村元造さんです。
現在、峯村さんの一家が中心となり長野市から借り受けた繁殖センターで、サフォークの世話をしています。

サフォークとは、羊の中で唯一の肉専用種、黒毛和羊のことで昭和56年に信州新町に持ち込まれました。
峯村さん一家とサフォークとの出会いは30年以上前のことです。

「うちの父が生き物がすごい好きな人で、ウサギやら羊やらを飼っていてずっと酪農をやっていたんです。昭和56年に地元のジンギスカン屋さんがサフォークを雄雌各1頭ずつ譲り受けたんですが、飼い方がわからないということで、誰か飼える人はいないかって探していたところ、近所の人が『生き物好きの人がいるよ』って紹介してくれたらしいんですよ」

こうして峯村さん一家はサフォークと共に生活を始めます。
そしてそれまで”信州新町はジンギスカンの町”として定着していましたが、この頃、羊が町にほとんどいなくなったため、もう一度羊を復活させようと町も動き出していました。
翌年の昭和57年には繁殖センターが設立され、信州新町の新しい歴史が始まります。

人間を警戒するというサフォークですが、カメラを向けるとこちらに愛おしい表情を向けてくれました

サフォークに合わせたライフサイクル

繁殖センターでの峯村さんの一日のスケジュールは以下の通りです。

「毎日5:30に起床して繁殖センターで6:00から7:30まで餌をやります。8:00には家に戻り、9:00から繁殖センター、もしくは飼育センターで毛刈りやその他の雑用。午後は、15時頃から餌をやり、15:30から放牧している羊のところへ行き、餌をやり頭数と健康状態を確認します」
最盛期には450頭ほどになるサフォークを峯村さんが中心となり、毎日世話をしています。

また、サフォークは秋に繁殖期を迎えるため、それに合わせたワークサイクルとなっています。
「8月のお盆過ぎに、交尾が始まって、妊娠期間は人間の半分の5か月。1月から3月にお産を迎えて、4月に毛刈り。5月末には親と子どもを分けて放牧します。そして3年お産をすると食用になります」
生活は完全に羊中心だという峯村さん。ここまで手塩にかけて育てたサフォークだから自信たっぷりに世に送り出せるといいます。

「うちは、ホゲットという生後12か月から24か月までの羊を食用にしているんです。ラムより成熟度があってマトンよりもクセがないんです。羊独特の臭みがなく一番良い肉なんですよ。ラムが中心の北海道からは、今うちは注目されているんですよ」
胸を張って話す峯村さんは、このサフォークに観光資源となるよう期待を寄せています。

「今、サフォークを飼育しているのは北海道、山形県、そして長野県なんです。特に関東や関西の方は日帰りでも来れるので是非、信州新町にサフォークを食べに来てほしいですね。サフォークが長野市に来るきっかけになれば最高」

と峯村さんは言います。

サフォーク定食2000円。峯村さんの育てた自信のサフォークは信州新町さぎり荘で食べられる

不況を乗り越えサフォークを全国へ提供

サフォークで長野市の明るい未来を見据える峯村さんですが、過去には大変な時期もあったそうです。

「バブル崩壊後、取引先への出荷量も低下して、サフォークの数が増えてしまったんです。毎年50頭ずつ余ってしまい処分するわけにもいかず、そんな時期が何年か続きましたね」

苦悩の時代を味わったという峯村さん。しかしインターネットで色々調べている中で、ある存在に出会います。

「食品バイヤーという存在がいることを発見したんですよ。早速連絡をしたら、生まれたばかりの子羊なら全国的にも需要があると教えてもらったんです。それで、100頭くらいバイヤーに出荷して、その年はなんとかピンチを乗り越えました」

こうして全国的に需要があることを知り、地元だけでなく日本各地と取引をしていくようになります。色々なニーズに応えるため品質を改良していった結果、より良質なサフォークが提供できるようになったといいます。

そしてサフォークを育てるうえでの大変な点を聞いてみました。

「サフォークは子育てが上手くないんですよ。というか、生まれたばかりの子羊が母親の乳を飲もうとしないんですよ。野生感がないというか。だから、他の羊と比べて手がかかりますね。それに暑さと湿気に弱いんですよ。元々、羊はモンゴルのような砂漠の乾燥地帯で生きてきたので。なので、風通しを良くすることは心掛けていますね」

サフォークは意外に繊細な生き物だと、峯村さんは言います。
続けて草食動物の習性を教えてくれました。

「羊は肉食動物から身を守るため、4つある胃のうちの一番上にある大きな胃に、まず草を流し込みます。それから安全な場所に行って、胃から戻し咀嚼するんですよ。だから、彼らが咀嚼しているときは安心しきっているときなんです」
ただ休んでいるように見えている状態は、そうではなかったと教えられ驚きを隠せませんでした。

「日本一うまい信州サフォーク」をキャッチフレーズに、サフォークを育て上げている峯村さんに今後の目標を聞きました。

親のサフォークを繁殖に備えて足腰を鍛えさせるために放牧している。期間は5月末から8月お盆過ぎまで

「とにかく先代たちが築いてきたジンギスカンの町としての食文化を維持し、発展させること。これが何よりの恩返しになると思います」
 
今後は地域おこし協力隊の二人とも協力しながら、サフォークと触れ合う場所なども作る計画をしているとのことです。

町の未来を担う峯村さんの責任ある言葉を聞き、編集部・新津の背筋はピンと伸びました。
きっとここのサフォーク達もそう感じているに違いない!そう確信し振り返ってみると、ほぼ全頭が咀嚼していました。

サフォークの妊娠期間はおよそ150日。人間の半分だという。しっかり食べて丈夫な子を産んでほしい

(2014/09/19掲載)

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