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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.35

箱膳体験会

クッキングコーディネーター 浜このみさんのマイ・フェイバリット・ナガノ

「食べごとの心」を探すひととき

文・写真 合津幸

箱膳で味わう、松代の旬の味

城下町・松代で催されている「箱膳体験会」。昨年春の初開催時は「真田邸」で、同年秋からは長野市の指定有形文化財に指定されている「寺町商家(旧金箱家住宅)」を会場に、春と秋に3〜6回ずつ行われています。

箱膳とは、江戸時代から60年程前の戦後あたりまで、一般家庭で広く使われてきた食器を仕舞っておく箱のことを指します。食事の際は上蓋を返し、膳として食器を並べられるようになっている優れものです。この体験会では、その箱膳を使って食事をいただきます。

かつての私たち日本人の食事は一汁三菜が基本で、使われる食材も地元産のお米や野菜が主体のシンプルなものでした。しかし、命をつないでくれる自然や食に携わるあらゆる人への感謝の気持ちに満ちた、ある意味豊かで意義深いものでした。この「箱膳体験会」は、それらの感謝の念や思いやりの心=「食べごとの心」をはじめ、食事作法や歴史・文化等を美味しく楽しく学ぶことを目的としています。

全員の膳に料理が揃ってから、「いただきます」と唱和して食事が始まる。こうして背筋を伸ばし手を合わせると、食の尊さや人の労のありがたみを実感する。

有志による心尽くしのもてなし

会を主催しているのは、地元・松代町の有志(ボランティア)の集まりである「松代箱膳の会」の皆さんです。そもそもの始まりは、会を主宰している白石芳久さんが友人と意見を交わす中で、たびたび話題に上がる食についての懸念や地域への想いでした。

「カタカナ料理ばかりが注目される現代日本。和食が世界文化遺産に登録される一方で、現実には肝心な日本の伝統的な食が忘れ去られつつあるのではないか? 大切な我が町・松代はどうだろうか? 」と。

このままでは日本や地域の食文化が危ない。そんな危機感を抱きつつ、当時、自治協議会役員などを務めていた白石さんが、地域活性化の取り組みのひとつとして「おもてなしの箱膳体験会」を考案。まずは「松代箱膳の会」メンバーを募集しました。現在15名が会に在籍し、メニュー決めや食材の仕入れ、下ごしらえ等の事前準備、当日の調理や料理提供を含むおもてなし、会終了後の片付けなど、会の運営のすべてを担っています。

体験会で進行役を務める白石さん(写真中央)と指南役の池田玲子さん。お二人ともユーモアを交えた、ためになるお話でたっぷり楽しませてくださった。

価値ある発見・体験を提供するために

「地元の食材をふんだんに使った食事を美味しく召し上がっていただくだけではなく、食や地域に対して何か感じてもらい、価値や魅力を発見していただける体験を提供したいんです。そのために私たちは、人や物はもちろん文化や歴史に至る松代が誇るものを総動員して、お客様をお迎えしています」と、白石さん。

その言葉通り、体験会ではまず真田信之の妻・小松姫の菩提寺である大英寺などを参拝しながら会場へと向かい、歴史ある松代の町の雰囲気を体感。「寺町商家」到着後は、一人ずつ用意された箱膳に次々とお料理が運ばれます。使われている地元食材の紹介やかつての食事の慣しなど、松代ならではの食や歴史にまつわる楽しくてためになるお話しを聞きながら、手作りのご馳走をたっぷり味わいます。

歴史ある建物の重厚感、迎えてくださる会の皆さんの温かなもてなし、心尽くしの料理の数々。これほどまで心もお腹も満たされるひと時は、望んでもなかなか得られるものではありません。そして、あらためて“食べられる”ありがたさや、食の喜びや感動を誰かと分かち合う幸せに気付かされた気がします。

なお、今年の催しは終了しましたが、来年もまた開催予定とのこと。しばし、春の回を楽しみにお待ちくださいね。

一汁三菜のほか、大皿から取り分ける「とりまわし」3品とお茶&甘味が供された。写真はこの日のとりまわしのひとつ「長芋のオリーブ焼き」。

「しのばせもの」として箱膳の中に地元菓子舗の最中とメンバー手作りのしおりが! 慎ましやかながら心のこもった演出に皆感激しきりだった。

<お問い合わせ>
長野商工会議所松代支所(担当:今井さん)
TEL:026-278-2534

松代箱膳の会(白石さん)
TEL:026-278-4736

(2016/12/13掲載)

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