No.28
犀川
都内釣具店勤務 鈴木正好さんのマイ・フェイバリット・ナガノ
通年狙えるトラウトの聖地
文・写真 飯島悠太
スーパーレインボーの川
渓流釣りを愛する者にとって、10月は寂しい季節。多くの河川が禁漁期を迎えるからです。長野県内では、おおむね翌年2月中旬~3月の解禁まで遊漁はおあずけ。しばしの間、イワナ、ヤマメといった美しく精悍な鱒族に出会えない日々が続きます。
そんななか、10月を迎えると逆に注目を集める川があります。信州を代表する一級河川、犀川。その一部が、キャッチ&リリース区間として通年釣り人に開放されているのです。
エリアは、上流が長野市大岡地区と大町市八坂地区を結ぶ大八橋~下流は長野市信州新町の更科橋まで。急流の奔る瀬に深い淵、カーブが連続する流れは変化に富み、アングラー垂涎のポイントが次々と出現。大自然に囲まれたロケーションの良さは多くのファンの心を掴み、年間を通して釣り人の姿は絶えません。
彼らが狙うのは、もはや犀川の代名詞ともなった“スーパーレインボー”ことニジマス。なにがスーパーかというと、その魚体です。大型のものでは、なんと80cm級。放流魚のほかに自然繁殖したネイティブ個体もおり、奔流に揉まれてヒレが発達した、美しくかつ力強い魚が生息しています。そして本流の鱒族としてニジマスと肩を並べるブラウントラウト。こちらも大型の個体が流れに潜んでいます。
真冬に釣れたブラウントラウト。イワナ、ヤマメのオフシーズンはここで彼らと勝負しよう
釣りをはじめるその前に
7月下旬、県外から訪ねてきた学生時代の後輩と、この犀川トラウトゲームに出かけてきました。
まずは、当該エリアを管轄する犀川殖産漁協が発行している遊漁券を購入します。楽しく釣りができるフィールドが維持されているのは、資源管理を行う漁協があってこそ。1日券は1000円、年券は5000円。2月16日~9月30日までは、キャッチ&リリース区間内外の両方で使用できます。流域に沿ってはしる国道19号線沿いの道の駅・長野市大岡特産センターや信州新町のセブンイレブンなどで購入でき、無料でポイントマップもゲットできます。
次に身支度。ウェーダーという長靴+防水オーバーオールのようなものを着用します。岸際からだけでは攻めきれないポイントが多いので、川のなかへ立ち込んで釣りをするのです。上には小物を収納するポケット付きのベストを着用。浮力材入りのものがオススメです。トラウトフィッシングでは、まだまだ浮力材なしベストの人も見受けられます。犀川は見た目以上に流れの押しが強く、落水は一歩間違えば命とり。自分の命は自分で守りましょう。
準備はバッチリ。犀川ではエサ釣り、ルアー、フライと様々なゲームが楽しめますが、今回はルアーで攻略しようと思います。
川の流れに立ち込み、ルアーをキャスト。装備は万全で挑みたい。ちなみにここはC&R区間外
いざ、ゲーム開始!
まずは、区間の中間地点に位置する児玉橋下流へエントリー。大小の淵と瀬が入り交じり、流れの当たる岩が点在する、いかにもなポイントです。左右二手に分かれて攻略を開始します。
橋下の大淵を攻める後輩に対し、私は瀬へと向かいます。ルアーを投入し、漂わせるように流すとわずか数投でヒット!サイズは40cmほどですが、流れに乗ってグングン引きます。すごいパワー。これが80cmだったらどうなってしまうのでしょう。何度も繰り返すジャンプをかわして、足元まで寄せます。が、ここで無常にもフックアウト。ノーキャッチ&リリースを決めることに・・・。
その後は反応が得られず、移動。先ほどより上流に位置する、瀬が中心の場所です。白波の立つ瀬が幾筋も入っているいかにもなポイントを攻めますが、ウンともスンともいいません。ルアーを替える。立ち位置をずらす。下流の淵も一応チェック。しかし、状況は変わりません。
するとここで、フラットな瀬で釣っていた後輩にヒット!見事、40cmなかばのサイズをキャッチしました。銀色に輝く魚体が美しいこと。思わず見惚れてしまいます。彼は、なおもそのポイントで竿を曲げ、結果5ヒット2キャッチ。サイズはどれも同程度だったようですが、まったくアタリすらなかった筆者には羨ましいやら悔しいやら。
「これは通うしかないな・・・」
こうしてまた1人、この川に魅せられた釣り人が生まれるのでした。
後輩が釣ったニジマス。小型ながら、精悍な顔つきがカッコイイ
<info>
お問い合わせ:犀川殖産漁業協同組合
TEL:026-262-2212
HP:www.ngn.janis.or.jp