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No.075

花岡

宏樹さん

株式会社一休さんのはなおか代表取締役社長

世代を超えて繋がる「ワッショイ」の輪

文・写真 Rumiko Miyairi

懐かしい祭りの味「砂糖入り麦茶」

「神輿を担いだあと、父兄の皆さんが作ってくれた砂糖入りの麦茶が美味しくて。大きなヤカンで作ったからでしょうか、今でも思い出すと、あれは格別な味でしたね」

各地域で夏祭りが盛んになるこの時期、真っ先に思い出すのが、子どものころの神輿を担いだときだと話す、株式会社一休さんのはなおか代表取締役社長の花岡宏樹さん。会社創業40周年を迎えた2003年から毎年一基「あなたのまちへ お神輿贈呈」と銘打って江戸神輿を地域の自治会育成会や育成会などに差し上げる事業を始めています。

花岡さんは千曲市稲荷山で生まれ育ちました。

由緒ある神社が多いその地域は、古くから夏祭りが盛んで見物客も多く賑わいを見せていました。その祭りの引立て役でもあった、地区の自治会や育成会、特に児童が主役の子ども会は、ほとんどの地区でそれぞれ立派な子ども神輿を所有していたくらい活発でした。子どもの数も今に比べると多かったので、神輿を担げたのは上級生になってからがやっと。担ぎ棒すら触れないくらい人気が高かったといいます。

「ワッショイ、ワッショイって神輿を囲むと、お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、子どもたち、みんなで自然に会話が弾み分かり合えたような空気がありましたね」

「地域の特別な連帯感のような、家族を越えた人たちが世代を超えて盛り上がれるというか…。それが子ども心に特別に感じられてね。だから、うちで飲む麦茶よりも格別おいしく感じたのでしょうかね(笑)」

「あなたのまちへ お神輿贈呈」で差し上げている江戸神輿

変えてはならないものと変えていきたいもの

昔の夏祭りと神輿への思いを今もなお熱く語る花岡さんは、長野市内外にわたり仏事の専門店6店舗を構える会社「一休さんのはなおか」を経営。

「一休さん、一休さん、はなおかの一休さん、ともしび、灯す心、一休さんのはなおか♪」のCMフレーズで長野県下に馴染みの深い仏具の専門店として知られています。

「仕事では、供養したいという人の想いを第一に、毎日お参りしたくなる仏壇や墓作りを目指しています。どんな人もその人なりの境遇がありますから、そのときの背景や希望に応えられてこそ、本物の仕事だと思っています」

「相手に寄り添って仕え、喜んでもらえることを自分も喜んでする。そんな、相手も自分も喜べることがシアワセと思える気持ちにつながると感じています。シアワセは『仕合わせ』と書けますから。仕えることを意欲的に進んでやれるときが、シアワセなんですね」

この「相手に喜んでもらえること」は会社の経営理念の一つ。

一休さんのはなおかは、会長(花岡さんのお父さん)が家具を中心に扱う家具センターとして創業し、空いたスペースに数本だけ仏壇を並べたことが仏具を扱う始まりだったそうです。そしてその頃、会長が体験したあるお婆ちゃんとの縁が理念の原点になっているといいます。(※お婆ちゃんとの縁の話は会社ホームページに詳細が載っています)

「売れるなんて期待せずに置いた小さな仏壇でしたが、あるお婆さんが、亡くされたご主人の供養がやっとできると涙を流して喜んで買っていってくれたことがあったそうです。そのとき、会長が人に喜ばれ感謝されることを仕事にしたい、と強く感じたそうです。それがきっかけで本格的に仏壇を扱うようになりました」

店に来たお婆ちゃんが涙して喜んだその光景。

喜ばれることを、誇りに思えるような仕事をしていきたいと花岡さん。お客さんとの一期一会を重んじ相手の身になれることが自身のやりがいになるという会長の気持ちは、社長の花岡さんに変わらず引き継がれています。

花岡さんは理念を基にさらに供養の形を安心して選んでもらえるように、今までの仕事の進め方を見直しながら構築していきます。

店頭にはお馴染みの、はなおかの一休さんがおもてなし

「亡き人への供養の気持ちは、表したいと思っても知識や情報がないうちに、言われるままに進められがちでした。その体質で経過の端を折られることも多かったので、わかりやすく見て分かるように、見本(墓展示場)を提示して見積書や設計図、あるいは工程写真まで撮ります。後々、わかりやすい形に残ることは、安心につながると思っていますから」

「喜んでもらえることが喜び」と話す花岡さんは、いつでも熱心に対応してくれる

世代をつなげる神輿の輪

安心してもらえる仕事を見出した花岡さんは2003年、創業40年を迎え、世代を超えて伝えていきたいと思える事業を始めようと動きます。

「最近は地域のつながりが薄れてきている気がしていたので、会社の節目をきっかけに地域に密着した事業をやりたいと思い、社内で話し合いました。すると、地域のゴミ拾いをしよう、とか自治会の活動などに率先して参加しよう、とか色々案が出ましたね。このとき地域の行事を振り返る場面があり、自分自身が子どものころ神輿を担いだことも思い出しました。お爺ちゃんお婆ちゃんも、父さん母さんも、子どもたちもみんな楽しめた夏祭りを思い出して、これだ!と思いました」

花岡さんにとって楽しかった神輿を担いだ経験が「あなたのまちへ お神輿贈呈」という会社の地域文化活性化事業として形になります。

そして、神輿がほしいという地域から募集を始めます。新しくできた地区などは子どもたちに喜んでもらいたいと、お爺ちゃん世代も加わり、神輿や地域への思いが込められた作文や、子どもたちが自ら書いた神輿の絵など素晴らしい応募作品が多く集まりました。

「初回は48件の応募がありました。募集は地区単位ですから、何世代かで集まって神輿への思いをみんなで書いて応募してくれるので、気合が感じられました。だから1つだけ選ぶのが申し訳ないくらい、どの地区も素晴らしくて。受賞した地区は、みんなが一つの目標に向かって勝ち取ったという連帯感が感じられて、私も嬉しいです」

今年5月、今年度の受賞チームは長野市川中島の自治会、宿組(しゅくぐみ)。

子ども神輿贈呈祝典が賑やかに開かれ、地元の子どもたちが法被姿で満面の笑みを浮かべながら新しい神輿を囲みました。

「日本の祭りで神輿を担ぐという文化は、いつの時代も世代を超えて楽しい気持ちにさせてくれると思います。人と人との輪も広がりますしね。そして、地域での良い思い出は、歳を重ねても変わらないもの。そんな思い出を、多くの子どもや地域の人に作ってほしいですね」

今年贈呈が決まった長野市内の自治会は宿組。神輿贈呈祝賀会で「ワッショイ」と担ぐ嬉しそうな子どもたち

(2014/08/18掲載)

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会える場所 株式会社一休さんのはなおか
長野市川中島町原463-6
電話 026-283-6300
ホームページ http://www.ikkyuu-san.co.jp/

FAX 026-283-5100

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