ドーンと立派な門構えでいつも長野市を見守る善光寺。
私たちよりずっと昔の人たちは、善光寺の元で一体どんな生活していたのだろうかとふと思うことがあります。今回はその片鱗を知ることができる道をご紹介。
善光寺から長野駅側へ向かって少し西に下ったところ。
西町の信号の横道を歩いてみました。
昔ながらのガラス戸が渋いあの建物はなんだろう?
曲物屋さんのようです。
「ふるい」の文字の脱力感がなんとも素敵。お店の看板やポップは、今みたいにパソコンで打ち出した文字ではなくひとつひとつ手で書いていたのでしょうね。
曲物の「山田屋商店」の隣には和菓子屋「豆暦」があります。
あんみつ、まめかん、水ようかん。
この夏食べたい甘味がずらり。
(人物図鑑:和菓子豆暦店主 小山紗地穂さん)
少し名残惜しいけど、立ち止まらず先へと進みます。
ここにも味のあるガラス戸が!
白い文字でなにやら書き込まれているようですね。
「箱の中のもの、ご自由にお持ちください♪」
戸の前に置かれたベンチにもこんな表記が。
残念ながら、今日は自由に持っていけるものはない様子です。
自分の持ち物を整理して、次の持ち主に託すこと。
インターネットもいいけれど、もっと気軽で楽しい方法かもしれません。
持っていってくれた方とコミュニケーションもとれそうです。
そのお隣には戸が開いたままの建物が。
なんて不用心な!と近づいてみると…
「1166 backpackers」。日本各地、世界各地から旅人が集まるゲストハウス(素泊まりの宿泊施設)です。
「パン、クッキー、ハーブティの販売もあります。ご近所さんもぜひ。」ですって!
ふらっと立ち寄って、各地からきた旅人との会話を楽しめそうです。
通りの中腹にさらさらと涼しげに水が流れる用水路がありました。
火災が多かった江戸時代、町の延焼から善光寺を守るために設けられた「善光寺町防火水路」のなごりです。
家庭にあった「畳」を差して水の流れる方向を操作していたそうです。なんて大胆な!
何気ない風景に、意外な歴史。
きっと普段歩いている道にも、意味があって、歴史があって今の形があるんだと思います。
いつものこの道、気になっていたあの道、私たちよりずっと昔に暮らしていた人たちの足跡が、確かに残っています。
いつもよりちょっとゆっくり歩いて、たまに立ち止まって。門前に息づくロマンを感じてみるのもおもしろいかもしれません。