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No.71

善光寺表参道

ナガラボ編集部のマイフェイバリット

雨降りの夜、善光寺表参道

文・写真 小林 隆史

雨の夜。善光寺の南方、善光寺表参道(長野市大門町)のこんな風景を見たことがありますか?
 
雨に濡れた石畳の光、霞がかった信号の明かりが染める空気の色合い、今も残る古い建物の陰影。いつか見たフランスの映画のワンシーンにも似た佇まいを見つけることができるのです。
 
長野に住む人でも、夜の善光寺周辺というのは、なかなか見たことがないのではないでしょうか。多くの方が日帰り観光を目的に来ているでしょうし、夜になると仲見世が閉まっていますから、あまり来る機会はないかと思います。
 
まして、雨の日ともなれば、駅からも駐車場からも、しばらく歩きますので、「こんな夜こそ、善光寺の辺りへ行こう」と、真っ先に候補に上がることはあまりないでしょう。

けれど、近所に住む私には、とっておきの夜の散歩道。
 
観光客で賑わうお昼の様相とは打って変わって、人気の少ない静かな空気に包まれた善光寺表参道の夜は、雨の日は特に、幻想的な雰囲気を醸し出しているので、好きな長野の風景の一つです。

あまり知られていないかもしれませんが、長野市は降水量が少ない地域です。実は、長野県内で、上田市に次いで2番目に雨が少ない街(気象庁調べ)。
 
だから、雨に慣れていないということもあって、長野市に住む私自身、雨の日というのは、あまり好きではなかったのです。
 
雨降りの日というのは、荷物は増えますし、歩きにくいですし、気持ちのいい洗濯もできないですから、どうにも好きになれなかったのです。
 
しかし、まるで映画のワンシーンのような、雨の日の善光寺表参道の美しい風景に出会ってからは、雨が好きになってしまいました。

こんな風景を見に行くには、夜遅くまで長野市内にいるしかないので、日帰り観光ではなく、2日をまたぐ滞在をしてみるのもいいかもしれません。幸いなことに、近くにはゲストハウスもたくさんありますから。
 
雨の日というのは、たいてい予定を狂わせるもの。しかし、そんな時こそ予定を変えて、雨の風情を味わってみるのも、きっと楽しいはずですから、出かけることに億劫にならず、雨降りの善光寺周辺を、ふらりと散策しに来てみてはいかがでしょうか。

<INFO>
善光寺表参道
長野市長野大門町中央通り
長野駅から善光寺へ続く中央通りを北方へ徒歩15分ほど、「大門」の交差点から「善光寺」の信号までの間

(2018/03/08掲載)

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