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わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

長野では進学や就職をきっかけに、東京に出て行く若者も多くいます。
 
地元を離れて数年、東京で暮らす20代の若者は「長野」とどう付き合っているのか、また「長野」は彼・彼女らにとってどんな存在なのか、聞いてみたくなりました。
 
今回お話を聞いたのは、岡根谷実里さん。長野市で生まれ育ち、現在は都内で日本最大の料理レシピサービスを運営する「クックパッド株式会社」に勤めています。聞き手は、都内在住のナガラボライター・小林拓水です。

東京に出てから、毎年リンゴがないとダメなんですよ

—岡根谷さんはいつ長野を出られたんですか?
   
「大学進学の時ですね。就職先も都内だったので、大学以降はずっと東京を拠点に生活しています。」
 
—長野にいたときと、東京に出たときで「長野」への印象って変わりました?
  
「東京に出る前は特に『長野』ってものをそれほど意識していなかったんですよね。中にいると比較するものもないし、なかなか客観的に見れないじゃないですか。
 
でも、大学進学で上京してスーパーで野菜を買うようになってから『長野ってやっぱり野菜美味しかったな、食が豊かだったんだな』って気づいたんですよね。
 
その感覚が仕事選びや今の活動にもつながっているのかもしれません。」

 
—長野の食べ物ってやっぱり美味しいですもんね。食べられなくなってからわかることもあるというか……。
    

「そう。あと不思議なのが、毎年リンゴがないとダメなんですよ。昔は『好きな果物何?』って聞かれたら『マンゴー好き!』とか『桃食べたい!』とか答えていて。
 
でも、東京で暮らしている内に気づいたら、好きとか嫌いとか、食べたいとか食べたくないとかの次元じゃなくて、とりあえずリンゴが欲しい。リンゴがないと落ち着かなくなってきたんですよね。」

 
 
—わかります(笑)。積極的に選ぶ訳ではないんだけど、なかったらないでどうも収まりが悪いというか。
    
「そうそう。あと、昔は『蕎麦かうどんどっちがいい?』って聞かれると、『うどん、あるいはパスタ』みたいな感じだったけど、今は断然蕎麦派。
 
やっぱり自分の根っこには長野があるんだなって長野の外に出てから感じるようになりましたね。」


ふとしたときに感じる自分の「根っこ」

—お仕事やご自身の活動で、その「根っこ」を感じるときはありますか?
    
「今は『食』に関する仕事をしているんですが、ふとしたときに長野に「根っこ」があると感じることはありますね。
 
たとえば、私は『食』を通じて見えてくる人の考え方や暮らし方に興味があって、個人的な活動としてよく地方を訪ねているんです。そのときに惹かれるのは、やはり山間地とか寒冷地の文化。
 
そういった場所は、保存の文化があるから刹那的ではなくて長い目で物事を考えるようになったり、身の回りにあるもので生活をまかなったり……
 
そういう考え方や暮らし方に魅力を感じます。やはりそこには自分の根底にある『長野』が影響を与えてくれているなと思いますね。」

 
—長野のそうした雰囲気に惹かれるのはわかる気がします。
「今は、田舎の環境で育つことができて豊かな経験をさせてもらえたなと感謝しています 。だって蓮根の生え方知ってるってかっこよくないですか?地に足がついているというか、生きる知恵を持っているというか。
 
よく東京の友だちに小学校のときに育てていたときのことを『蓮根って縦じゃなくて横に生えてるんだよ。水が冷たくて、ヒルに噛まれて。知ってる?』なんて自慢げに話してます(笑)。」

 


何かを生む側ではなく、加速させる側として長野に貢献したい

 
—長野に戻る予定などはありますか?
 
「んー……今のところはないですかね。まだ『自分が長野に戻って何ができるか』というビジョンがはっきりしていないし、とっかかりがないので。だからこそ長野に残ったり、Uターンしている同世代を尊敬しています。
 
私が東京に出ている間も、経済活動を支えて、帰ったら温かく迎えてくれる『地元』を守ってくれている。本当に頭が上がりません。先ほどお話ししたような、豊かな食や長い目で物事を考える文化を享受しながら暮らしている姿も憧れるしかっこいいなって思いますね。」

 
—「維持する」ことや「残す」ことの難しさ・尊さって働き始めてから実感できるようになることかもしれませんね。岡根谷さんの目には最近の長野はどう映っていますか?
 
「最近、自分の身の回りで長野に関する動きが活発だなと思います。同世代でも長野で家業を継いで地元を盛り上げている人や、都内と長野を往復しながらイベントや事業を立ち上げている人がいて、そういう人たちの姿を見ると焦りますね。
 
長野の周辺には、”自分”を活かして、その人だからこそできる仕事をする人が多くてかっこいいと思うし、コンプレックスすら感じます。『自分も独立しないといけないのかな』って思ったり(笑)。」

 
—たしかに長野に行くと、いつの間にかゲストハウスができていたり、面白そうなイベントが立ち上がっていますよね。僕の周りの友人も会社を辞めて独立したり、何かを立ち上げる人が増えてきました。
 
「ただ、長野に軸足を置いて新しい何かを生み出す人に憧れる一方で、最近は『自分はそうしたすごい人になれなくてもいいかな』と思うようになったんです。特に家業がある人は既に負うものがあって、長野に戻る必然性もあるけど、自分の場合それがない。
 
ゼロから物事を起こすことも、自分よりすごい人はたくさんいる。そこは人それぞれの持ち場なのかなと思っていて。自分には長野で新たに何かを生み出すことはできないけれど、その代わり、その人たちが生み出したことを加速させることはできるかもしれない。
 
長野と東京、もしくは別の地域をつないで、ゼロから生まれた1を、10とか100とかにできる可能性はあると思う。そういう関わり方もありかな って。」

 
—なるほど。僕自身「ライター」という職業ということもあって、共感するところがあります。
 
「私の場合、『長野の食の知恵をこの地域に伝えてみたらどうなるんだろう』とか『こういった切り口で世に出したら面白そう』とかよく考えるんですよ。
 
人にはそれぞれ得意なことや持ち場があるし、それを活かして長野に貢献できたら良いのかなって思います。今はまだやりたいことを考えている段階ですが、いつか何かの形で実現したいですね。」

 
 
—今日はありがとうございました。

東京で活躍する今も、「自分の根っこには長野がある」と語る岡根谷さん。
 
一度離れたことで、「自分にとっての長野」を再認識でき、東京にいる自分だからこそできることを模索していました。
 
上京して数年。今、長野とつながり直そうとしています。

小林拓水
小林拓水(コピーライター)

ライタープロフィール1990年生まれ。松本市出身。京都大学在学中、上田市内のマルシェイベント「LOPPIS UEDA」の立ち上げに参加。大学卒業後は都内の大手求人媒体社や広告制作会社にて総務やADとして従事。会社勤務の傍ら、長野県内のカフェ等の取材記事をメディアへ寄稿。2017年5月より都内のコピーライター事務所にて幅広くライティングを行っている。

 

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