銭湯から出てくる人は、誰もがいい顔をしている気がします。
一日の疲れをすっきりさっぱり洗い流して「また明日もがんばろうね」と自分をねぎらう顔。
銭湯って前向きになれる場所だと思いませんか?
鼻歌交じりで石けんの香りをまとう人々が歩くこの道、
私はとても好きなのです。
門前あたりに宿泊するときには、必ずといっていいほど立ち寄る「亀の湯」。
日が沈んでから歩くことの多いこの道。
まだ外が明るい時間に街を見てみることにしました。
スタートは「大門南」の交差点から。
交差点を右に曲がると現れる道。
合同庁舎まで伸びる、この横道を歩きます。
晴れやかな気分になる青い看板に「TORIKIYO」の文字。
シャッターが閉まっているけど、きっとお肉屋さんでしょう。
店舗の横に置かれたケース。
やっぱりお肉屋さんだ。
よく見てみると「ハム」の字がソーセージ!
こちらは「寳源堂(ほうげんどう)武道具」さん
武道具屋さん、初めてお目にかかります。
チラッと覗いてみると、剣道の防具を持ち込むお客さんがいらっしゃいました。
向かい側には漢方を取り扱う「信龍堂本舗」さん。
サメ軟骨、まむし、すっぽんなどなど…鼻血がでそうなラインナップ!
効能がびっしり!
ヘビのぬいぐるみが親しみ満点。
懐かしい「ヤマザキショップ」の看板が。
残念ながらお店は閉まっていましたが、
軒先に並んだ自動販売機で、誰かがマックスコーヒーを沢山飲んでいるようでした。
看板の大家族を見つけるとわくわくしてしまいます。
大きさも違えば、フォントも違う。
私のお気に入りは「コーポ パールハーバー」の看板です。
映画に出てきそうな雰囲気。
少し小腹がすいたところで見つけた和菓子屋の「池田屋」さん。
「おやき」と書かれたのぼりが気になります。
ふるさとのおふくろの味、のびろのおやき。
お店によって、味も皮の食感も違うおやきはいつも気になる存在です。
残念ながら完売でした…。
手書きの張り紙に店主の優しさを感じました。
他にも気になる看板やサインが。
「このお店はどうしてこの名前なんだろう」と店主の気持ちになってみたり、
街の人との関わり方を考えたりと、看板に思いを巡らせた時間になりました。
帰り道、上機嫌の「亀の湯」から石けんの香りをふんわりまとったおじいちゃんとすれ違いました。
「おっと、いけない!忘れ物、忘れ物」と踵を返したおじいちゃんは、鼻歌まじりでリズミカルに肩を揺らしている。
「明日もがんばれそうだなぁ」
やっぱり前向きになれた横道でした。