No.23
ひなたぼっこいち
グラフィック・デザイナー 宮下えりさんのマイ・フェイバリット
手作りの温もり伝えるマーケット
文・写真 みやがわゆき
雨が降ってもひなたぼっこ
朝市、蚤の市、びんずる市…世に「市」と呼ばれるものは数あれど、「ひなたぼっこいち」は世界にひとつだけ。その言葉が表すとおりの、シンプルで、あたたかく、居心地の良い空間が、そこにあります。
6月下旬の週末。飯綱高原・大座法師池のほど近くにあるGallery Solitude(ギャラリー・ソリテュード)で、第7回ひなたぼっこいちが行われました。取材に伺った日は、梅雨の雲に覆われたあいにくのお天気。
「このイベントのときは、台風が来たり、秋なのに雪が降ったりと、だいたい悪天候なんです」と楽しげに話すのは、主催者のひとり、麻ひも雑貨ユニット「ひなたぼっこ」の一員・渡辺和(のどか)さん。
ギャラリーの中に一歩足を踏み入れると、ひとつひとつ愛情の込められた、かわいらしい手仕事の数々に迎えられました。それは、まさに宝箱を広げたようなキラキラとした空間。
「嬉しいことに、どんなに天気が悪くても、わざわざ足を運んでくれるお客様がいるので、ここまで続いてきています。」
アクセサリーから通園用の小物まで、ひとつひとつゆっくり眺めたい作品たち。
子どもと麻紐がつないだ縁
そもそも、「ひなたぼっこ」は渡辺さん、斎藤美穂さん、阿部理恵子さんの3人の主婦の手で立ち上げられました。趣味で麻のかごバッグなどを作るうちに、作品がだんだんと増え、より多くの人の手に、という夢が膨らみます。とはいえ、小さな子どもを抱えながら、イベントに出るのは大変なこと。それなら、“自分たちでやってみよう。より幅広く楽しんでもらえるように、麻だけでなく、いろいろなハンドメイド作家さんを呼んでみよう”。そんな思いから始まったのが、ひなたぼっこいちだったと、渡辺さんは振り返ります。
3人の住まいは長野市街地にありながら、飯綱高原を会場に選んだのはそれぞれのお子さんが飯綱高原の幼稚園に通っていたことから。Gallery Solitudeとのご縁も、ママ友を介して結ばれました。
手に持つだけで、わくわく感が増すお買い物用バッグ。
ゆるく、長く、喜ばれるイベントに
初めはパン屋さんの一角を借りて、こじんまりと行われていたひなたぼっこいちでしたが、その確かな手仕事の魅力は口コミやSNS等を通じてどんどん拡がっていきました。Gallery Solitudeで開催するようになってからは、フード販売も始まり、委託販売の作品数もぐんと増えたそう。友人のデザイナーに頼んで作っているフライヤーの宣伝効果もあり、飯綱周辺だけでなく、長野市内外から、多くの人が足を運ぶイベントに成長しました。
3年目を迎える今年は、スイーツやお弁当などのフードを含め、18名の作り手たちが参加。そのほとんどが、長野市とその周辺に住む子育て中のお母さんたちです。
「委託販売なので、イベント当日に来られなくてもいいし、子供さんを優先してもらって大丈夫。そんなゆるい感じでやっています。作家さんにも、お客さんにも喜んでもらえるようなイベントを目指しています。」と語る渡辺さん。無名の主婦の手仕事に、光が照らされ、売る人も、買う人も心が温まるイベントは、「ひなたぼっこ」そのものと感じました。
次回の開催は、10月7日(金)〜9日(日)Gallery Solitudeにて。時間など詳細はブログにてご確認ください。
ひなたぼっこいちのスタッフの皆さん(左から2人目が渡辺さん)
<info>
ひなたぼっこいち
ブログ:http://hinataboccoichi.naganoblog.jp/
お問合せ:hinatabocco.2012@gmail.com