"七年に一度"の盛儀 「善光寺前立本尊御開帳」
御開帳とは
言わずと知れた善光寺ですが、では善光寺「御開帳」のことはご存知でしょうか。
善光寺の御本尊様である一光三尊阿弥陀如来様は絶対秘仏なので、誰も(ご住職でさえも)直接拝むことはできません。その御本尊様のお身代わりとして、まったく同じお姿の前立本尊(まえだちほんぞん)様が、そのお姿を現すのが「御開帳」です。「御開帳」の時にだけ前立本尊様は本堂に安置され、その扉が人びとに開かれます。
「御開帳」は数え年で7年に一度しかありません。この貴重でありがたい機会を求めて、平成27年(2015年)の4月5日から5月31日までの57日間にわたって行われた「御開帳」では、約700万人もの方が参詣されました。
シンボル「回向柱(えこうばしら)」
御開帳では、現在の本堂建立の際に松代藩が土木工事の管理などを担う普請奉行にあたったというご縁から、毎回、松代町から「回向柱」が寄進され、本堂の前に立てられます。
「回向柱」に結ばれた白い布は、五色の糸にかわり前立本尊中央の阿弥陀如来の右手からのびる金糸につながっています。つまり「回向柱」に触れることは前立本尊様に触れるのと同じこと。「回向柱」に触れることで、人びとは如来様とありがたい縁が結ばれるといわれています。
「回向柱」は長さ約10m、重さ3トンにもなります。
この「回向柱」を建立するのが回向柱建立式です。いまでも伝統的な技法によって行われていて、木遣り(きやり)という職人の唄に合わせながら、神楽桟(かぐらさん)と呼ばれる木製の道具でワイヤーを巻き上げて柱を立てていきます。
立てるまでにかかる時間はおよそ30分。
人びとはその様子をかたずをのんで見守り、迫力と緊張感に満ちた空気が張りつめます。
最大の儀式「中日庭儀大法要」
御開帳された前立本尊様を讃えるために行われる、御開帳中で最も重要で最大の儀式です。色とりどりの衣装を着たかわいい子供たちが歩く稚児行列からはじまり、善光寺の僧侶など総勢800名にもなる行列が、雅楽の演奏を伴って練り歩き、回向柱の前や本堂で盛大な法要を行います。煌びやかな法衣をまとった僧侶たちに朱色の傘がさしかけられた様は、厳粛さと華やかさが同居し、極楽浄土を思わせるかのような美しさです。
また、儀式においてハスの花をかたどった五色の「散華」が僧侶によってまかれますが、この「散華」は邪気を払い清めるともいわれています。
善光寺は宗派、性別、身分を問わない誰でも参拝できるお寺です。「遠くとも一度は参れ善光寺」と古くから全国の人びとの信仰を集めてきました。そしていつのころからか、地元の人は親しみを込めて「善光寺"さん"」と呼びます。
御開帳の期間はまち全体が華やかになり、公的なもの私的なもの、大きなものから小さなものまで様々なイベント等が開催されます。まち全体が一体となって全国からの善光寺への参詣者を「おもてなし」するのです。そんなまちの姿がみられるのは、人びとに愛されてきた「善光寺"さん"」だからこそかも知れません。
この他にも御開帳に関連する行事はいくつも行われます。善光寺御開帳の公式ホームページをチェックしてみてください。
- 善光寺御開帳の公式ホームページ
- 善光寺の公式ホームページhttp://www.zenkoji.jp/
(2017.07.19 掲載)