千曲川と浅川に囲まれた低平地にある長沼地区は、歴史的に水害に見舞われており、地域住民の防災意識が極めて高い地域です。平成26年度に内閣府の「地区防災計画モデル地区」に選ばれたのを契機に、これまで活発な防災への取り組みが行われ、平成27年4月には「長沼地区防災計画」が策定されました。策定から3年後の見直しを計画していた最中、令和元年東日本台風による水害が発生。地区内で2名の尊い命が犠牲となりました。
その反省に立ち、令和2年度から西澤清文区長(現相談役)らを先頭に、地区防災計画の見直しに着手。10月13日には長沼4区(大町・穂保・津野・赤沼)の区長と市消防団長沼分団など関係者による「防災減災まちづくり座談会」を立ち上げ、まず、台風災害の統括を徹底的に行いました。そして、西澤さんが試作した「東北三地区洪水対応タイムライン(長沼地区版)」をもとに「長沼地区コミュニティタイムライン(本部試行版)」を作成。流域警戒ステージに沿って、誰が、どんな情報を、どんな手段で伝えるのかを時系列で整理しました。
例えば、「流域警戒ステージ2(災害発生の概ね2日前)」では、台風説明会の内容伝達を受け、災害対策本部設置、個人財産(車・農機具等)の待避先を確認。「流域警戒ステージ3(概ね1日前)」では、本部長は早期避難を呼びかけるとともに、他の自治協と災害対策本部移転について調整、「流域警戒ステージ4(当日)」では警戒レベル3及び4の情報を受け、災害対策本部の移転指示、地区内からの避難指示を徹底。伝達手段には従来の同報無線に加え、誰もが聴き逃すことのないように、サイレン、軽トラ車載アンプ・スピーカーを用いることとしました。
「コミュニティタイムラインの作成は目的ではなくて手段。今年8月中旬の豪雨の際には実際に運用し、新たな課題が見えました。今後も運用と検証を繰り返し、改善していきたいと思います」と、西澤さん。改訂版の「長沼地区防災計画」は令和3年10月に地区内全戸配布予定です。