まちの縁側 ぬくぬく亭春原圭太さん
「まちの縁側 ぬくぬく亭」は、被災した地域の人々が気軽に集える交流の場、必要な情報や物資が集まる場として12の福祉団体※の協働で開設されました。2019年の12月12日にオープンし、被災住民への毎日の炊き出しや、中学生の学習支援などが行われてきました。3月1日からは拠点を豊野支所西側駐車場に移転。
コンテナハウスの中に、寛げるテーブルや椅子が置かれ、誰もが気軽に利用できる交流拠点となっています。
リーダーとしてこの場所の運営を担うのは、社会福祉法人賛育会豊野病院の介護士・春原圭太さん。親身になって話を聞き、大変な状況でも笑顔を絶やさない人柄で住民からの信頼も厚い若きリーダーです。
 「この地区は高齢者が多く、独居の人も多いので、そいう情報弱者の方を守るためにこのサロンができました。最初の頃は、暗い表情で弱音を吐く方が多かったですが、徐々に復旧が進んで来て、最近は皆さんの表情もコメントも明るくなってきました」
 
コロナウィルスの影響で現在はサロンの利用者が減っていますが、多い日には10名ほどの市民の方がお茶を飲んだり、世間話をしたりと思い思いに過ごしています。
 
※豊野地区住民自治協議会、地縁団体豊野区、社会福祉法人賛育会、とよの被災者支援チーム「集落元快」、 長野市社会福祉協議会、長野県社会福祉協議会、 長野県災害対策本部ボランティア班・NPO支援チーム、長野市災害ボランティア委員会、 NPO法人レスキューストックヤードYMCA、災害NGO結(ゆい)、長野ワイズメンズクラブ、豊野高等専修学校(順不同)
ぬくぬく亭では、サロンの運営や配色サービス(6月からは食材サービスに移行予定)を行うだけでなく、豊野地区の要請を受け、住居の泥出しや清掃、家財道具の片付けなど様々なボランティア活動を並行して行っています。
「豊野地区では民間のボランティアさんを受け入れていないので、私たちが毎日3チームぐらいに別れて活動しています。5ヶ月ほどが経ちましたが、これから片付けを始める家もあったりと、まだまだ人手が足りない状況です」
特に急務なのが、豊野地区の被災住宅を把握する「ローラー」とよばれる作業。高齢者が多く、独居世帯も多い豊野地区では、復旧の目処さえ立たない家もあります。そこでスタッフが手分けをして一軒一軒を周り、家族構成や環境を記録。家主がいなければ連絡を取り、公費解体するのか、リフォームかなど、配食や定期的な訪問の必要性などを色分けしながら地図に書き込んでいるそうです。
「1階が浸水し、壁がない状態で2階に住んでいる人もまだいらしゃいます。そういう人たちの健康を守り、課題を解決していくこと、災害関連死をゼロにするために、社協さんたちと協力しながらやっています」
春原さんが勤務する社会福祉法人賛育会豊野病院も、水害で1階部分が浸水。完全復旧までにはもう少し時間がかかると言います。半年以上、本業を離れてボランティアに勤しむ春原さんは、2016年の熊本地震の際に、一番被害が大きかった益城町の避難所に災害派遣職員として出向し、3000人の被災者と生活を共にした経験が生きていると言います。さらに、休日には、重機オペレーターの資格を生かし、小布施町の農地の泥出しボランティアにも参加しているそう。
 「被災された皆さんの生活をこれからも守っていきたいので、サポートをできるところは全力でしていきたいですし、豊野だけではなく、被災された地域の皆さんに利用していただければと思います」
“地域の復興なくして福祉事業所の復興はあり得ない”と語る春原さん。今日も地域の復興のために走り続けます。