ナガラボ ながの市の元気研究所

ナガラボとは!?

<正しいラジオ体操>

ようやく信州も厳しい寒さが和らいだ感がある3月初旬。長野市篠ノ井にある高齢者施設からは、春の訪れを喜ぶかのような活気ある声が響き渡ります。取材のため中へお邪魔すると、椅子に座りながらのラジオ体操が行われていました。その大勢の参加者の前で指揮をとるのは、一級ラジオ体操指導士の平出勲さんです。
大石さん(中央奥左)の身体を使い動きを説明する。参加者にはわかりやすいと好評だ

「いつでも、どこでも、誰でもできる。これがラジオ体操の魅力です」
 
生き生きとした表情で話す平出さんは、御年75歳。ピンと伸びた背筋は年齢を感じさせず、背丈は180センチもあります。対して、現在35歳の私は猫背と慢性的な腰痛。75歳になった自分を想像すると、地を這って歩いているのではないかと思うくらい、自分の将来が不安になりました。

「座位のラジオ体操は、足腰の弱い人をはじめ、寝たきりの方や車いすの人でもできるんです。椅子に座ってやることで、跳ねた時の音の心配がなく、集合住宅でも気軽に出来るのもメリットの一つ。座っているからといって全然力を使わないわけではなく、きちんとした姿勢でやれば筋力もつくし、健康維持にもつながります。とにかくきちんとした姿勢や動きがポイントです」

終始、「きちんとした姿勢や動き」ということを強調していた平出さんですが、そのスマートな体型を見れば、効果は一目瞭然。そのため平出さんの講座は毎回大盛況で、参加者からは、「ポイントをおさえて教えてくれるので、短時間で吸収できます。とにかく無駄なものがない。先生の体型のようです」とうまいことを言われてしまいました。
正しいラジオ体操をモットーにしている平出さんは、一人ひとりに対し丁寧に指導する

NPO法人全国ラジオ体操連盟によると、ラジオ体操の指導には、ラジオ体操指導員、二級ラジオ体操指導士、一級ラジオ体操指導士と三種類の資格があります。

平出さんの持つ一級ラジオ体操指導士はその頂で、優れた技能と指導力を持って従来から継続的に普及推進活動にあたり、多方面にわたる活動と高い実績を有し、全国を対象に普及推進活動ができる者とされています。現在、県内では6人ほどしかおらず、県内初の一級指導士になったのが平出さんです。

<きっかけは中学3年生>

現在、長野市の高齢者施設や障害者施設を中心にラジオ体操を指導している平出さんは、根っからの体育会系。指導員になる前は、38年間の体育教師人生を歩んできましたが、そのきっかけにもラジオ体操の存在がありました。
 NHK体操のアシスタントをしていた大石美雪さんと。二人そろえば恐いものなし!

「私が中学生だった時代は、全校朝会で毎日ラジオ体操がありました。それで、中学3年生のある日、全校の前で体操をする5人の代表に選ばれたんですよ。その時に、大勢の前でやったのが気持ち良くてね。それから体育を指導する仕事をやりたいと考えるようになりました」

高校卒業後は、信州大学の教育学部で保健体育を学び、県内で体育教師となります。そして、退職を控えた校長時代に、今後の健康面のことも考えた時、思春期に味わったあのステージが脳裏に浮かびます。

「中学3年生の時の絵が頭に浮かんできましてね。自分の健康もそうでしたが、多くの人に健康でいてもらいたいという思いも重なり、ラジオ体操の指導員になりました」

 

NPO法人全国ラジオ体操連盟が発行するマニュアル書。常に持ち歩き確認を怠らないという <素敵なパートナーと今日もそれ、1、2、3>


平成16年からは、毎朝6時30分に市内の神社で、小学生から最高齢95歳のお年寄りの前に立ち、ラジオ体操を一人で教えている平出さんですが、県内でラジオ体操を教える際には強力なパートナーを伴って指導にあたります。

「平成23年8月に『1千万人ラジオ体操会』というイベントをやったのですが、その時に東京でNHK体操アシスタントとして活躍していた大石美雪さんが、見に来ていたんです。彼女も長野市出身でしたし、結婚後、アシスタントもやめていたということもあり、一緒に長野県でラジオ体操を広めていこうと意気投合しました」

取材当日も、颯爽とした風姿で指導する平出さんの傍らでは、大石さんがしなやかな身体に正確な動きをつけて表現していました。この最強のタッグが、県内を飛び回り、正しいラジオ体操を広めている限り、『健康長寿日本一の長野県』の功績は破られることはないでしょう。

(2015.03.23 掲載)

会える場所:信越地方ラジオ体操連盟事務局

住所:長野市栗田681
TEL:026-226-8020

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