<大事なかじ取り役として>
2月7日(土)から9日間にわたり、冬の善光寺と門前町を幻想的なあかりで照らす「第12回長野灯明まつり」が開催されます。今年は、宿坊通りや仁王門通りにも灯明が飾られる予定で、新たな一面を見せてくれそうです。
その灯明まつりの実行委員会で事務局長として準備に駆け回っているのが、若麻績秋嘉(しゅうか)さん。宿坊・堂明坊の住職です。若麻績さんは、広報や警備など8つの部会の調整を取りながら、協賛やボランティアを募り、準備を進めています。
「会期が長く、多くのスタッフがいるので、大事なかじ取り役だと思っています。実際は部会長が一番動かなければならないので、そこをうまく補佐できるよう心がけています」
今回の灯明まつりでは、灯籠が飾られる場所が大きく変わります。
「街をもっと周遊していただくようにしました。これまで中央通りだけだったものを、東と西に1本ずつ灯籠を飾る通りを増やします。それに加えて、歩くことを楽しんでいただけるようなイベントも企画しました」
協賛企業の灯籠の中に、ながのシティプロモーションで使用している「縁」のマークが施された灯籠を紛れ込ませ、それらをすべて見つけた人には福引き券をプレゼントしようというもの。これまでとはまた違った楽しみ方ができそうです。
<18歳で仏門へ入ることを決断>
若麻績さんは生まれも育ちも京都市。親はサラリーマンという、いわゆる"普通の家"で高校生までを過ごします。
転機は大学受験のときに訪れます。祖母が堂明坊の生まれだったため、親戚筋から宿坊を継いでくれないかとお願いされます。
高校時代、ラガーマンとして鳴らし、スポーツ推薦で進学も決まっていた若麻績さん。しかし、善光寺の魅力を聞いて、悩み抜いた末、堂明坊を継ぐことを決めます。
「推薦を蹴って、別の仏教系の大学に進みました。善光寺は人との繫がりが多いお寺で、しかもたくさんの方がお越しになるということなどを説明され、やりがいのある仕事だと思ったんです。今、振り返ると、18歳でよく決めたと思いますけど(笑)」
卒業後は、横浜と京都のお寺で修行を積み、そして堂明坊へ入りました。
<人との繫がりが多いお寺で>
毎年、訪れるリピーターが多いという堂明坊で、若麻績さんは一期一会の精神をもって顧客に接しています。
「毎年、これが最後かもしれない、という気持ちで迎えています。そして充実した1泊2日を送っていただきます。これが、本当のおもてなしだと思っています。人間はいつ何事があるかわからないので、この出会いが最初で最後と思うと、おのずと接し方が変わってきます」
灯明まつりは毎年、目の前で繰り広げられてきたイベントですが、主催者側として迎えるのは初めてです。
「善光寺は2宗派でお守りしている、全国でも稀有な寺院です。また、さまざまな人たちに開かれたお寺でもあります。そのことを知っていただく機会にもなればいいと思っています」
善光寺という存在を介してさまざまな人と繋がることができ、堂明坊に来てよかったと笑顔を見せる若麻績さん。そして今、多くの人と善光寺、そして門前町を繋ぐ仕事が大詰めを迎えています。
会える場所:第12回長野灯明まつり
期間:2015年2月7日(土)~2月15日(日)午後6時~9時
堂明坊
長野市元善町466
026-232-5805