<どこへでも駆けつける自由な存在>
まぶしいピンク色の髪で、ひときわ目立つ女の子のキャラクター・亞璃紗さん。
いろんなイベントに出没しているので見たことがある人も少なくないでしょう。
以前、ナガラボの中でもアクション監督の柄澤功さんの記事(No.160)に登場していたので印象に残っている人もいるのではないでしょうか。
ご当地キャラは数あれど、亞璃紗さんは敢えてどこにも所属せず、ご当地キャラのサポート役を買って出ている「フリーキャラクター」なのです。
「作ったまま、あまり生かされずご当地キャラが埋もれてしまったりしないようにすくい上げて救いたいと思って活動しています」
自分の立ち位置はあくまでも補佐だと言い切る亞璃紗さん。構造的に体が動かしにくいご当地キャラをサポートしたり、ご当地キャラがいないイベントに参加したりしています。
「ご当地キャラを呼ぶほどではないイベントにも、亞璃紗が参加することで次はご当地キャラを呼んでみようとか自分たちも作ってみようって思ってもらえたらいいなと思っているんです」
衣装も自由なので、スポーツチームのユニフォームを着用したり、夏のイベントで
は浴衣になったり、その場に応じた格好でPRできます。
「亞璃紗本体としての宣伝要素は何もないんですが、いろんな場所のお手伝いキャラでいたいです。大勢の人に会う機会を増やして、『亞璃紗ちゃんまたいるね』って安心感を持ってもらえるようになったらうれしいです」
<亞璃紗が生まれた理由>
亞璃紗さんが誕生したのは2011年11月22日。
名前は、亞空間の「亞」、浄瑠璃の「璃」、糸で繋ぐことを表した漢字「紗」から成っています。
「誕生日は、亞璃紗の"顔"が届いた日です(笑)。東京にでも行けば、私と同じような顔の女の子がいっぱいいるんですけど、普通の女の子の一人として見てもらいたいから、敢えて量産された顔でいいんです(笑)」
亞璃紗さんは、亞璃紗として活動する以前からさまざまな場所で多くの人と出会う仕事をしていました。
「誰かに仕えたり、支えたりすることが前から好きだったんです。人が集まる場所、地元も好きなんです」
人を楽しませたい、喜ばせたいという思いから、キャラクターショーにも関わりました。そのうち、ある思いが芽生えていきました。
「街の活性化につながることがしたいと思っていたんですが、来てくれた人に見てもらうことよりも、来てくれた親子がもっと仲良くなるようなつながりを生むことをしたいと思ったんです」
より多くの人と近くでふれあいたい、もっと新しい交友関係を広げたいという気持ちが亞璃紗を生み出していきました。
<握手やハグ大歓迎♪>
亞璃紗さんは、おしゃべりはできません。ほとんどの場面でアテンド(付き添い)をつけていませんが、それにも理由があります。
「言葉がなくても分かり合いたいという思いがあるからです。たとえアテンドの人に言われなくても、小さな子どもがいる親御さんには亞璃紗をネタにして、女の子だから優しくしてあげようということや写真を撮る順番を待とうということなどを、子どもに教える材料にしてもらいたいと思うし、言語障害がある人とも言葉の壁を越えて分かち合えます」
そして、おしゃべりができない分、ふれあいを大切にしています。
「便利な世の中になった分、人と人のつながりが薄くなったのを感じているので、握手やハグでのふれあいを大切にしたいんです。最近、『人』という漢字は右側のほうに負担がかかってしまっている感じがするので、ヒューマンの『H』という考え方がいいなと思っています。そこからの派生で、『エロは地球を救う』ってわけじゃないんですが(笑)、女の子だけどおさわりOKってことにしているんです」
<亞璃紗がいなくても"プロジェクト亞璃紗">
キャラクターを通して人とのふれあいや温かさを伝えたいという思いは、亞璃紗さん1人にとどまらず、「プロジェクト亞璃紗」というかたちで広まっています。
地道な活動を続けるうちに、さまざまな市民団体とのつながりが増えた亞璃紗さん。ときには、自らほかのキャラクターの"血肉"となり、はた目には亞璃紗さんがその場にいないように見えるときもあります。
「プロジェクト亞璃紗の思いとしてはご当地キャラが最優先。だから、きてくれる人がいなくて困っているキャラクターがいるのなら私がなります!逆に亞璃紗になってみたいという人がいたら、こちらは大歓迎です(笑)」
最近は特に篠ノ井のご当地キャラのおしのさんと一緒にいる亞璃紗さん。興味のある人は「亞璃紗」の一員になってみてはいかがでしょうか。
「ご当地キャラは、ただ着ていればいいというものではないと思うんです。最近、着ぐるみだけを貸し出しているところもありますが、慣れない人は着方が崩れてしまっていたり、動き方も分かりにくかったりするのが気になります。また危ない行為をして子どもたちに真似されたら困るような悪い見本にもなりたくないです。市や町の看板を背負ったご当地キャラは高貴なものであってほしいし、多くの人の思いが詰まって誕生したご当地キャラを支え続けたいです」
どこにも属さない風来坊でありながら、どこの色にも染まり、その場所を華やかにする亞璃紗さん。表情は変わらなくても、声には出さなくても、伝わってくる温かみがあるのは、こんなにも熱い情熱が秘められているからなのだということがわかりました。
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