ナガラボ ながの市の元気研究所

ナガラボとは!?

<故郷である長野市を拠点に>

落語家の林家さん歩さんは、2014年8月から、故郷である長野市を拠点に活動を開始しました。2011年11月、二ツ目に昇進して3年目。これからを嘱望される若手が故郷へ戻って落語を続けることはめずらしいといいます。

「落語界の評価は、やっぱりイコール東京での評価なので、離れてしまうことに不安はありました。でも、落語がまだ身近な存在になっていない土地だからこそ、やれることはあるんじゃないかということで、長野に住むことにしました」

9月に竹風堂大門ホールで開かれた「ひとり会」。会場は満員となった長野に戻ることは、東京で生まれ育った奥さんの意向だったといいます。

「僕自身は長野が大好きなので、嫁さんが長野で子育てをしたいと言ってくれたとき、すごくうれしかったですね」

9月6日に長野市の竹風堂大門ホールで開かれた「林家さん歩ひとり会」は満員になりました。

「知り合いが多かったんですけど、それでも地元だからあたたかい目で見守ってくれるし、ちいさいときから僕を見ている人もいたし、そういう共通点があると、なおのこと応援しようという気持ちになってくださるみたいなので、それはありがたいですね。正直、そんなに集まらないかなと思っていたので、ひとり会は僕の中でちょっとした自信になりました」


<芸人を目指して上京、挫折を味わい落語の世界へ>

さん歩さんが芸の世界を目指すようになったのは高校時代のことです。

「文化祭で司会をしたんです。自分が言ったことで人が笑ってくれる、喜んでくれるというのが楽しかったんですね」

二ツ目昇進のときにつくった手ぬぐい。出囃子で流れる「うさぎのダンス」があしらわれたデザイン卒業後はお笑い芸人を目指し、文化祭で一緒にMCをした同級生と上京、コンビで吉本興業の芸人養成所NSCに入ります。しかし、1年で現実を思い知らされて挫折。コンビは解散となります。

このままピン芸人として生きていくか、他のプロダクションの門を叩くか迷っていた、さん歩さん。そんな時に見に行った落語に心を惹かれます。

「コンビでやっていたとき、ウケなかったら相方のせいにしてしまっていたんです。落語だったら、舞台に立ったら1人だけです。当然、お客さんのせいにもできないし、全部自分の責任。落語自体も面白かったんですが、すぐに人のせいにしてしまう自分の性格を直せるかと思って、決めました」

こうして2006年、林家しん平師匠のもとへ入門。5年目となる2011年に二ツ目に昇進しました。しん平師匠は、映画監督の経験もある、落語界でも異色の経歴を持つ噺家です。

「前座修業中、ある師匠に『はさみとってくれ』と言われて、持っていたら、『はさみを使ったらごみが出るだろ、ごみ箱も一緒に持って来い』と言われるんです。そういう先のことも考えられるようにならなければいけないよ、ということなんですね。いろんな経験をさせてもらいました」


<ホッとできる噺家を目指して>

現在はまだ、月の半分が東京での活動となっているさん歩さん。徐々に長野での活動を増やしていきたい考えです。そして、活動の幅も広げようと、先日は神奈川県二宮町が主催する認知症予防のための落語会に出演するなど精力的です。

趣味で集めている甲冑。「古いものが好きだし、鎧兜は日本の美意識を結集したものだと思っています」「笑うことは健康にいいし、噺を聴いて想像してもらうことは脳の活性化に繋がるので、落語を聴いて元気になってもらえるような活動を進めていけたらいいなと思っています」

12月19日には善光寺門前の宿坊・常智院主催の落語会が予定されています。ここでは善光寺を舞台にした新作落語を準備しているそうです。

「僕はもともと新作落語をやりたいと思っていたんですけど、特に地方の場合は、お客さんの中で受け入れづらいという人がいるんです。でも身近な善光寺さんの話なら、すんなり受け入れてもらえるかなと思います」

今後、さまざまな場所で落語会を開いて、顔を知ってもらいたいと話すさん歩さん。

「僕が出てくると、ホッとするような噺家になりたいですね。ここに住んでいる以上、長野を盛り上げていきたいです。噺家だからできることは、この街にいっぱい転がっていると思っています」

キャッチコピーは、「落語家らしくない落語家」。その言葉の裏にはこんな気持ちがあります。

「落語を伝統芸能の一つとして、遠い存在だと思っている人も多いです。もっと気軽で楽しいものなのに。だからもっと皆さんの手の届く、身近な存在でありたいと思っています」

(2014.11.12 掲載)

会える場所:「甲子大黒天縁日の集い」

場所:常智院 住所:長野県長野市長野元善町478
日時:2014年12月19日11時30分受付開始 
ホームページ http://three-step.jimdo.com/
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フェイスブック http://facebook.com/nemurenaipo

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