長野市復興だより

被災した地域の文化財を救い、後世へ。

ながはくパートナー文化財保存ボランティア

「ながはくパートナー文化財保存ボランティア」は、令和元年東日本台風による千曲川堤防決壊の影響で浸水した地域のお寺や個人宅、地区の公会堂などで被災した資料の保全活動「文化財レスキュー」を行うボランティアグループ。代表の森多毅夫さんにこれまでの活動や今後の課題などについてお伺いしました。

長野市立博物館の「文化財レスキュー活動」とは?

台風により浸水被害にあった掛軸、屏風、仏像、古文書、典籍など各種文化財の応急処置を行い、保全する活動です。被災地から搬入された資料の多くは、劣化を防ぐため業務用の冷凍庫に一時保管されています。現在いる12名ほどのメンバーのほとんどは、これまでこのような活動に携わったことのない素人ですが、各方面の専門家の指導を受け、解凍の手順からカビの処置、乾燥まで、細かい技術や知識を習得して、徐々に作業ができるようになりました。博物館の所蔵品ではない民間資料を対象に、ボランティアが中心となって活動している例は全国的にも稀です。歴史資料を保存し、後世に伝えることの大切さを感じています。

専門家による資料の応急処置ワークショップ

 

活動のやりがいは?

被災直後に現場で応急処置がされているものも、再度処置が必要だったり、絵図などノリで貼ってあったものがバラバラになってしまっていて、開いた後に合わせたり、本当に細かい作業で、気が滅入ることもあります。ただ、江戸時代から現代まで地区の“歴史そのもの”を扱っていることは面白く、こういう作業が好きな人たちが、楽しみながらやっています。使命感だけではなく、楽しいから続けられているのだと思います。松代のお寺の資料の処置が完了し、お返しにいった際には、とても喜んでいただけて、達成感がありました。

貼りついた和紙を1枚1枚剥がす作業

 

今後の課題は?

3つの冷凍庫の中にはまだまだたくさん資料が詰まっています。全部を処置するためには少なくともあと2〜3年はかかるでしょう。一方で、地域のどこにどんな資料があるかを把握することも重要で、その調査のための人員も必要です。事前に所在がわかっていれば資料を高いところへ避難するなど減災が可能になるからです。地域の人たちに歴史資料への関心を持っていただき、興味がある方にはぜひ文化財レスキュー活動に参加していただければと思います。

 

 

 

ながはくパートナー文化財保存ボランティア

活動場所 長野市立博物館(長野市小島田町1414)
活動日時 毎週金曜・土曜 10:00〜16:00 (お盆・年末年始は休み)
お問合せ 長野市立博物館 Tel. 026-284-9011
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