長野市復興だより

地域の人たちに愛されるパンを創りたい

ベーカリーホッペパン 天利若葉さん

ベーカリーホッペパンは、5月14日に赤沼地区にオープンしたパン屋さん。被災以前は国道18号線(アップルライン)沿いのスーパーにテナントとして出店していました。店主の天利若葉さんに開店までの経緯と再起にかける思いを伺いました。

生活再建に向けて

2009年から10年間、ユーパレット赤沼店内で営業をさせていただいていました。国道沿いの便利な立地で、朝から晩まで多くの買い物客が足を運んでくださるので、毎日たくさんのパンを焼き、忙しい日々でした。水害でスーパー全体が浸水し、パンを焼く機械や型など全てが使えなくなってしまいました。赤沼の自宅も肩まで水に浸かり、しばらくは泥出し作業に必死で、パン屋のことを考える余裕もありませんでした。その後、家族でみなし仮設住宅に入居。自宅の復旧の目処は立たないものの、まずは生活を再建するためパン作りを再開しようと、出店先を探し始めました。他地域も検討しましたが、やはりこれまでのお客さまがいるこの地域を拠点に営業をしたいと思い、補助金を利用して自宅の横にパン工房を増築しようと決意しました。

スーパー店内で営業していた当時のホッペパン

 

待望の開店

増築には補助金を足がかりとしつつ、機械類の購入費などに多額の費用が必要なため、資金繰りに奔走しました。昨年8月に着工し、4月下旬に一通りの工事が終わり、徐々にパン作りを再開しました。豊野郵便局のご厚意で、移動販売させていただいたり、以前からお付き合いのあった病院などでもお声がけいただき、卸売からスタートしました。1年7ヶ月もブランクがあったので、不安もありましたが、5月14日に開店すると、テレビや新聞で取材していただいた影響もあり、予想以上のお客様にご来店いただけています。以前の常連さんが「元気だった?待ってたよ!」と開店を喜んでくださって、皆さんの笑顔にスタッフも励まされてありがたいです。自宅の復旧はまだまだ先になりそうですが、ボランティアの方のおかげで、きれいに蘇った庭と縁側を開放しています。アクセスしにくい場所にわざわざ来ていただいたお客様に、少しでもゆっくりしていっていただければと思います。

自宅右側に増築したホッペパンの店舗

 

 

地域の方に喜ばれるパンを

現在、お店は週3回(水・土・日)営業しています。お客様の数や来店時間もスーパーの頃とはまったく違うため、パンの量など調整しながら、まずは軌道に乗せることが目標です。パンの種類は厳選して以前の半分以下に減らしたので、時間的には余裕ができ、父が自家栽培しているりんごや野菜なども取り入れて、この地域ならではのパンを作ってお客様に提供できればと考えています。売上げ回復とまではいかないまでも、この地で営業を続けていくために、卸売なども積極的に行い販路を拡大する必要があります。集客のためにSNSでの発信も始めました。まだまだ課題は山積みですが、地域のお客様に喜んでいただけるように、おいしいパンを作り続けたいと思います。

できたてのパンの写真を撮ってinstagramで発信

 

 

 

ベーカリーホッペパン

住所 長野市赤沼86-1
TEL 090-2251-0363
営業日 毎週水・土・日曜
営業時間 10:00〜売り切れまで
URL https://www.instagram.com/bakery_hoppepan/