長野市復興だより

りんごの産地・長沼を盛り上げたい

長沼林檎生産組合 ぽんど童

遊休農地が増加する長沼地区で、りんごの産地を守ろうと、2010年に結成した「長沼林檎生産組合ぽんど童(以下、ぽんど童)」。2019年の台風被災後は同地区の広大なりんご畑の復旧のために農業ボランティアさんの調整など、復興においても重要な役割を担ってきました。組合長の徳永慎吾さん、組合員の田中克樹さん・宏樹さん、小林俊夫さんにお話を伺いました。

ぽんど童では、どんな活動を行っていますか?

現在18名の組合員がいて、高齢化などで続けられなくなった先輩方の畑を皆で管理し、りんごの産地を維持していく活動を行っています。共同で管理している畑の面積は、約2ha。メンバー各自の畑と繁忙期を分散させるために、収穫時期が早い夏あかり、紅玉、秋映、スリムレッド、グラニースミスの5品種を栽培しています。2019年の被災直後は、大勢の農業ボランティアさんに泥出し作業などを行っていただき、被災翌年の2020年からりんごの栽培ができるようになり、大変感謝しています。被災によって離農した方の畑を引き継いだり、更地にしてしまった土地にりんごの苗木を植える活動にも取り組んでいます。苗木からりんごが収穫できるまでには数年かかり、その間は収益が見込めませんが、更地にしたままにするよりは、少しでも多くのりんごの樹を植えることで、りんご産地としてのブランド力を高めていきたいと思っています。

新たに植樹したりんご(グラニースミス)の苗木

 

被災前後で変わったことは?

ぽんど童の畑で収穫したりんごは、基本的に農協経由で市場に出荷していますが、被災により注目が高まったこともあり、“ぽんど童のりんご”ということで、私たちの活動を理解していただけるような場所に出荷できる体制が徐々にできてきました。そうやって、付加価値を付けることで単価もよく取引させていただき、活動がしやすくなったことはありがたいことです。

収穫したりんごを農協に搬入

 

今後の課題と目標は?

最大の課題は、農家の後継者問題です。今後、今いる人たちだけではカバーしきれない部分も出てくるので、ぽんど童が新規就農者を迎え入れる受け皿となり、私たちと一緒に地域を盛り上げてくれる人を増やせればと思います。そのためにも、いいりんごを毎年作り続けること。“被災地”という認識ではなく、“おいしいりんごの産地”として、長沼を盛り上げていきたいと思います。

「ぽんど童」の名前は英語のpond(沼)と童(こども)から。「長沼っ子」の象徴としてりんご畑を守っていこうという思いが込められている。

 

 

 

長沼林檎生産組合 ぽんど童