長野市復興だより

地域の農家とお客様をつなぐ直売所

農産物直売所アグリながぬま 所長 田中浩介さん

国道18号(通称アップルライン)沿いの農産物直売所「アグリながぬま」は、JAながのが展開する9つの直売所で最大規模の直売所。令和元年東日本台風の被災、コロナ禍での営業再開を経て、2021年11月に開店20周年を迎えました。これまでの取り組みと今後の課題について、所長の田中さんに伺いました。

仮設店舗営業と復旧作業を並走

令和元年東日本台風では床上1.3mまで浸水し、商品・什器・機材など施設内の全てのものを失いました。
当時はちょうど贈答用りんごのご案内準備の時期でお客様への状況説明にも追われました。データ登録のあるお客様全てにダイレクトメールを送り、管内の共撰所、直売所と連携して対処しました。
被災していない農家さんもたくさんいらっしゃったので、その方たちの出荷先として、長野市富竹のJAファームながの中部店の一角をお借りし、11月9日から仮設営業を再開しました。
一方で、所属していた10数名の職員は連日で店舗の片付け、清掃作業を行い、翌年1月頃までかかりました。また、駐車場は信州農業再生復興ボランティアプロジェクト(農ボラ)の受付会場となり、連日大勢のボランティアの方に駆け付けていただき、被災したりんご畑の片付け作業などを行っていただきました。

被災直後は、農ボラの受付会場となった

 

コロナ禍での再出発

2020年4月に復旧工事が終わり、施設の引き渡しとなりました。 施設はできたものの、中身が空っぽの状況で、事務所の備品など、何を揃えれば被災前の状況に戻せるのか、ひとつひとつ思い出しながら書き出し、揃えていく過程は、想像以上に大変でした。店舗は以前店舗内にあったりんごジュースの加工所を外に出すことで、売り場を広くし、より多くの商品を扱えるようにしました。
その後、4月29日に営業を再開。地域の方をはじめ、多くのお客様からおめでとうと声をかけていただき、中には、農ボラで手伝いに来て、その後を見に来られたという方もいました。
しかし、緊急事態宣言が発出する状況で、こんな時期に開店するのはどうなのか、という厳しい意見も寄せられました。本当なら大勢の方に来ていただきたいところでしたが、感染対策のため、来店人数の制限を呼びかけなくてはならず、複雑な思いを抱えながらの再出発となりました。

広々として品揃え豊富な売り場

 

20周年の感謝を込めて

2001年の開店から20年の節目を迎えた11月3日に、感謝祭を行いました。
オープニングセレモニーでは地元の有志による獅子舞の披露、午後は長沼こまち太鼓の演奏など、コロナ対策を行った上で賑やかに開催することができました。延べ1,000人ほどのお客様に御来店いただき、キッチンカーやガラポン抽選会も好評でした。
コロナ禍で試食や振る舞いサービスが全くできていないのが現状ですが、最近は、お客様との接点をできるだけ増やせるように、公式LINEでの情報発信やプレゼントキャンペーンなどにも取り組んでいます。
また、11月13日には荻原市長に地元産りんごの販売をお手伝いいただきました。厳しい状況ではありますが、今後もスタッフ一同、お客様に喜んでいただけるようなお店づくりに励んでいきたいと思います。

20周年感謝祭の様子

 

 

 

農産物直売所「アグリながぬま」

住所 長野市穂保274-1
TEL TEL:026-295-1093
営業時間 9:00~17:00