長野市復興だより

食を通して地域を元気づけたい

チームH(アッシュ)副代表星野良和さん

令和元年東日本台風の災害直後から被災地に入り、主に食を通した支援活動を行ってきた星野さんは、夫婦でボランティア活動を続ける傍ら、被災地の店舗を修復し、2020年2月に焼肉料理店を開店。その経緯と思いを伺いました。

約4万食の炊き出し救援

災害があった2019年10月13日に北部レクリエーションパークでの炊き出しに駆け付けました。避難所で家のことやこれからのことが心配で泣いている方も、わたしたちの作った温かい料理を食べている時だけは笑顔になってくれるので、できるだけのことはしてあげたいという思いが募りました。10月20日に仲間とともに炊き出し救援チーム“Hundred Hands(ハンドレッドハンズ)”を結成し、お弁当作りを始めました。管理栄養士である妻が被災者の健康に配慮した栄養満点の献立を考案。当初は材料などほとんどが自前でしたが、次第にお米や食材などの救援物資を頂けるようになり、心温かいボランティアの方からのカンパで、お箸やパック代なども賄えるようになりました。その後12月28日まで合計で約4万食を作り続けられたのは、ボランティアの皆さんの支援と家族の協力のおかげだと思います。

被災者の皆さんに一番人気だった唐揚げ弁当。唐揚げは現地で揚げたてを提供した

 

チームアッシュとしての活動

Hundred Handsの一員でもある宮腰貴洋さん(上写真左)が2020年1月に新たなボランティア組織“チームH(アッシュ)”を設立し、私たちも様々なボランティア団体と連携しながら支援活動を行ってきました。私自身は、7年前に妻の実家である信州新町に移住し、名物のジンギスカンを焼きそばの上に乗せた“ジンめん”を移動販売車で販売していたのですが、災害以降は祭事やイベントが激減し、コロナの影響もあって店は休業してボランティアに専念してきました。阪神大震災や東日本大震災の時もボランティアをしましたが、こんなに長くボランティアを続けたのは始めてです。被災地の子どもたちのために野外上映会“ドライブインシアター”を開催した際は、多くの子どもたちの笑顔を見ることができ、大変やりがいを感じました。

太田神社(赤沼)で開催した野外上映会

住民の皆さんが気軽に立ち寄れる店を

ボランティア活動を通し、住民の皆さんと話す中で、災害でカラオケ酒場もなくなり、お酒を飲める場所がないとか、PTAや消防の集まりの後に会食する場所がないという声が聞こえて来ました。そんな折、炊き出しの際に会場(駐車場)をお借りしたラーメン店のオーナーが被災した店舗を工費解体するか悩んでいると聞き、それなら自分たちが直し、長沼地区の町おこしの拠点、ボランティアの拠点なるようなお店を作ろうと、宮腰さんの賛同も得て開店準備を進めることにしました。メニューは、長沼産のりんごのタレで漬け込んだ信州新町のジンギスカン。両地域のPRになればと思っています。ランチには炊き出しの際に一番人気だった唐揚げなど救援メニューも提供予定です。家族とともにこの地に引越すことも決めました。これからは住民の一人として、食を通して、町おこしに貢献したいと思っています。

焼肉ジンギスカンもんも

住所 長野市穂保679
TEL 026-217-5176
営業時間 11:30~14:30(L.O. 14:00)
17:30〜22:00 (L.O. 21:30)