「継承される酒造りの技 ―― 現場の経験から紐解く日本酒醸造の工程と役割」(信州・信州新町) 2026年10月15日
笠原 俊秀 信州新町地区担当
今年も新米の季節を迎え、酒蔵では新酒の仕込みが始まろうとしています。
日本酒造りは多くの工程が連続し、互いに影響し合いながら品質が作られていきます。私自身、実際に現場で酒造りの各工程を経験する中で強く実感したのは、単に目の前の作業をこなす(今何をしているか)だけではなく、「なぜその作業を行い、次の工程へ何を引き渡すのか」という前後関係や作業の意図を理解することの重要性でした。
今回の実践の場となったのは、信州新町の町なかを流れる犀川のほど近くにある「株式会社尾澤酒造場」様です。ここでの現場体験を踏まえ、各工程の具体的な手順や管理基準をまとめた「手順書」を作成しました。
第〇章 名称(工程名〇〇〇)
1.工程の位置づけ
2.工程フロー
3.前準備
4.作業手順
5.標準測定・分析
6.管理・判断基準
7.記録・様式
8.後処理・次工程引き渡し
ここでは全体の流れとして、各工程の「位置づけ(役割)」を一覧として記載しました。
地域の歴史や日本酒図造りの技術を街の資産として未来へ継承していく、その一助となれば幸いです。
【関連リンク】
尾澤酒造場 公式サイト:http://www.misuzunishiki.co.jp/
「十九」公式Instagram:https://www.instagram.com/jyuuku19_official/
~新酒初しぼり~ (信州・信州新町)ブログ https://nagano-citypromotion.com/local_pr/5965/
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酒造り全体概要・工程理解
原料米の処理から発酵、上槽、出荷に至るまでの一連の流れと各工程の相互関係を把握し、酒造り全体の設計図と方向性を確認する基礎工程です。
原料保管庫/精米所
原料米管理、精米、水管理
玄米の受入・保管から、外層の雑味成分(たんぱく質・脂質等)を削り落とす精米、および仕込み水の品質確認を行い、酒造りのベースとなる原料を整えます。
洗米場
洗米、浸漬、水切り
白米表面の糠(ぬか)を急速に洗い流し、米に最適な水分を含ませる工程です。米の条件や気温・水温に応じた秒単位の厳格な吸水管理を行います。
蒸米場
蒸米作業
浸漬後の米に蒸気をとおして殺菌するとともに、麹菌が繁殖しやすく消化されやすい「外硬内軟」の状態に蒸し上げます。
麹室(こうじむろ)
製麹、温度管理
蒸米に種麹を振りかけ、温湿度を厳密に管理した部屋で麹菌を繁殖させます。米のデンプンを糖に変えるための各種酵素を生成・蓄積させる最重要工程の一つです。
酛場(もとば)・酒母室
酒母育成、酵母管理
優良な清酒酵母を安全かつ大量に培養・育成する工程です。雑菌を淘汰しながら健全で力強い発酵の基盤を築きます。
造り倉
三段仕込み全体管理
仕込みを「添・仲・留」の3段階に分けて仕込む日本酒特有の技法全体を把握し、酵母の急激な希釈を防ぎつつ安全に増殖を進めるための工程です。
造り倉
添仕込み作業
三段仕込みの第1段階。酒母に最初の蒸米・麹・水を加え、酵母が周囲の環境に順応して活発に増殖し始めるよう促します。
造り倉
踊り期間管理
添仕込みの翌日に仕込みを一切行わず、1日休ませる工程です。仕込み液中の酵母密度と発酵力を十分に高め、次工程の希釈に耐えられる状態をつくります。
造り倉
仲仕込み作業
三段仕込みの第2段階。添仕込みの約2倍の仕込み量を投入し、酵母の勢いを維持しながら仕込み規模を段階的に拡大していきます。
造り倉
留仕込み作業
三段仕込みの第3段階(最終段階)。さらに仕込み量を増やして目標のタンク容量・成分バランスを完了させ、本格的な長期発酵へと移行させます。
造り倉
発酵管理
糖化と発酵が同時に進む「平行複発酵」の品温経過や日本酒度・酸度を厳密に管理し、目標とする香気や味わい(酒質)を形成していく中心工程です。
槽場(ふなば)
圧搾、酒粕分離
発酵が完了した熟成醪に圧力をかけ、液体(原酒)と固体(酒粕)に分離させる工程です。搾るタイミングや圧力のかけ方で味わいが変化します。
調整場・随所
おり引き、ろ過
搾ったばかりのお酒を静置して微細な浮遊物(おり)を沈殿・分離させ、さらに必要に応じてろ過を行うことで、透明感と澄んだ味わいに整えます。
洗瓶場
洗瓶、瓶状態確認、乾燥管理
お酒を充填するガラス瓶を丁寧に洗浄・乾燥し、キズや異物の混入がないかを厳重にチェックして衛生的なボトリング環境を用意します。
瓶詰場
瓶詰、打栓、充填管理
洗浄済みの瓶に清酒を正確な容量で充填し、ただちにキャッパーで密封(打栓)することで、空気との接触による酸化や品質劣化を防ぎます。
火入れ場
火入れ処理
お酒を60〜65℃程度に加熱殺菌することで、酵素の働きを止めるとともに火落菌などの雑菌繁殖を防ぎ、酒質を長期間安定して保てるようにします。
冷蔵庫
貯蔵管理
低温のタンクや瓶の状態で一定期間静置し、新酒の荒々しさを和らげ、味わいをまろやかな状態へと熟成・調和させます。
製品貯蔵庫
ラベル貼付、梱包、出荷
表ラベル・裏ラベル(法定表示事項)を正しく貼り付け、ケースに梱包して、品質管理を徹底した状態で市場へと送り出します。
洗浄・乾燥室等
洗浄、消毒、衛生管理
全工程に共通して、使用する器具・ホース・タンクの洗乾・殺菌消毒を徹底し基礎環境を維持します。
(2026/10/15掲載)
【戸隠の暮らし】収穫と播種
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