第2弾では、オープン後に経験できたことや飲食店経営を夢見ている若者に向けてのメッセージについてお話をお聞きしました。
この記事のPOINT!
- 自分のペースで考えられる
- 個人経営だから直接的な意見が聞ける
- 気づかいしすぎない心がけが大切だ
- 悩んでいるならやってみる
お店を始める前のイメージとは違って…
お店を始める前に思い描いていたイメージと比べて、始めた後に感じたギャップや発見はありますか?
最初、ここを大衆居酒屋っぽくしようと思っていたんですよ。お客さんは40~60代の方や近所の方が来てくれるかなと想像していました。でも、実際にお店を始めてみたら、他の年代の方や、カウンターでおひとり様で利用してくださる方、小料理屋みたいな雰囲気で利用してくださる方が多くて、想像と少し違ったのですが。でもやってみたらその方が自分にはあっているのかなって思ったり。おかげさまで、近所の方が帰り道にちょっと寄ろうとか、今日は外で食べようかなとか、そういう時にちょうど良いお店になってきていて嬉しいです。
1人で経営されていますが、プライベートな時間はちゃんとあるのですか?
月に7日以上はお休みを取ろうと心がけています。1人だと休みを取らないで、ずーっと働くこともできますけどね。実際、最初は、日曜日しかお休みをとっていなかったんです。けれど、それだとちょっと疲れちゃったので、お店をやる日は営業して、休みは休んで、ちゃんとメリハリをつけようと今は意識しています。なので、日曜日以外にも平日にお休みをとったり、代わりにランチを週3日やってみたりしています。
プライベートな時間も、仕事のことを考えてしまうものですか?
考えますね。次のメニューどうしようかな、とか。他のお店にご飯を食べに行っているときも勉強になるので、そういうところで考えたりしますね。会社勤めの時は、会社に提出する物の締め切りなどがありましたが、今はあまり「いつまでにやらなきゃいけない」とかはないので、自分のペースで、お店のことだけを考えることができています。それは個人経営だからこそ出来ているのかもしれないですね。
会社で働くことと個人で飲食店を経営することを比べて、メリット・デメリットはありますか?
1人で働いていると、相談できる人が近くにいないので、上司みたいな。第三者目線での意見でストップがかかることはないので、自分の判断にかかってきます。
でも、直にお客さんの反応を見ることができたり、ご意見をいただけるのは、個人でやっているからこその良いところですね。
お客さんによってその日の“色”が変わる
オープンから1周年。オープン前のことを思い出して、感じることはありますか?
1年たった今、常連さんが結構いらっしゃいます。やはりそれがすごい励みになっていますね。来てくださるお客さんによって、その日の営業の“色”が変わるので、そういうのもすごく楽しいです。お酒も、あのお客さんがこれ好きって言っていたなとか思い出して、仕入れを変えてみたり、お客さんに合わせて対応できるのが、楽しいです。
常連さんはおひとり様が多いのですか?またお客さんに対して心がけていることは何ですか?
そうですね。最初はおひとりで来られて、次来るとき、知り合いの方を連れてきてくださることが多いです。あと、カウンターで、常連さん同士が知り合って仲良くなっている姿をみるのも嬉しい光景ですね(笑)
お客さんには居心地よくいていただきたいので、「気を遣いすぎない」というのを心がけています。たとえば、お客さんのグラスが空いた時。すぐに「次何飲みますか?」と聞かれると焦っちゃうと思うので、お客さんのペースで頼んでもらえるように、声をかけるタイミングは大事にしています。
あと、お客さんのことは覚えておくようにしていますね。お名前とか、お勤め先とか。次来てくださった時に、もっとお話しができると思うので、そういうのを心に留めておくようにしています。
お客さんと触れ合う中で嬉しかったことはありますか?
シンプルですけど、帰るときに「美味しかった、また来ます」って言ってくれることですね。また来たいって思ってもらえることが一番嬉しいです。
それと、店名の「まほろば」には「落ち着ける場所」という意味があります。「落ち着くお店だね」とか「居心地良い」と言ってもらえると、やはり嬉しいですね。
悩んでいたら、まずやってみる
今後の目標や計画はありますか?
長くお店を続けていきたいですね。一番は近所の方や、「鶴賀」という町の1つのお店として馴染めたらいいな、浸透していけたらいいなと思っています。そのために知ってもらうことが一番だなと思うので、自分自身も近くのお店に行ってみたり、知り合いと繋がっていったりと、知ってもらうための輪を広げています。
お店を経営するうえで、社会の一員として、女性として考えていることはありますか?
自分に何かあったらお店ができなくなってしまうので、もちろん体調管理は大事にしています。それと、私のイメージ=お店のイメージにつながるので、いつどこで誰に見られていても恥ずかしくない振る舞いをするというのは気を付けていますね。
今はもうあまり女性店主とか、1人でお店をやっている方とか、そんなに珍しくないとは思います。でも、これから居酒屋というカテゴリーでの起業や、女性1人でお店をやりたいなって思っている方がいたときに、「こういう人もいるんだな」って、ちょっとした参考になれるように頑張っていきたいなと思っています。
一年前の倉澤さんのように、1人で何かやってみようと考えている人にアドバイスをするとしたら、何を伝えますか?
なんでしょう…やってみてください!という感じですね(笑)とにかく始めたほうが良いです。やりたいと思っているのなら、やったほうが絶対良いので。悩んでいるならやったほうがいいです、絶対に。独立をしてみても、その後にまた違うことをやってもいいし。始めるのは早いうちが良いと思います。
- 出身:
- 長野市
- 経歴:
- 1992年生まれ
岐阜の大学→愛知で医療事務
→長野で医療事務などのアルバイト
→野沢温泉村でカフェ→飲食店勤務→「まほろば」開店
- 好きな季節:
- 春
人間学部文化学科3年(2022年度)
フィールドワークや地域の企業、行政と連携したプロジェクトを通して、日々学んでいます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
今回倉澤さんのお話をお聞きし、長野市という場所を選んで働くことの意義を学びました。また、一度県外での生活や仕事を経験した倉澤さんだからこそ、戻ってきてから感じる長野市らしいところや魅力について知ることができました。
そして「悩んでいるなら、やったほうがいい」という倉澤さんの言葉は、これから社会進出する私たち大学生だからこそ、心に刻んでおくべきものであると感じます。
いま、自分の働く場所や働き方で悩んでいるあなたに、長野市という選択肢が一つ、増えていれば幸いです。