1弾!!

地域おこし協力隊
Spicana代表
小野寺 可菜子さん

今回は地域おこし協力隊として、長野市に移住し「革細工ブランド『Spicana』」を起業した小野寺可菜子さんにインタビューをしてきました!
第1弾では地域おこし協力隊の活動や起業についてお話を聞いてきました。

この記事のPOINT!

  • 夏にイベントと革細工・冬に狩猟
  • 起業は楽しい面が大きい
  • 仕事は「好きなこと」だけではなく「できること」
  • 起業をする時は誰かの役に立つことが必要
  • 人に相談することも大切

狩猟は冬がメインで
やっています

小野寺さんは2021年から地域おこし協力隊として若穂地区で有害鳥獣と地域イベントを中心に活動していますが、その活動について詳しく教えてください。

地域おこし協力隊は、長野に移住をしようとしている時に銀座NAGANO(移住相談センター)の方に勧められました。私は、長野市のお試し協力隊という制度を使って2つの地域を見て、若穂で活動することに決めました。活動内容は、狩猟か果樹か、あとは地域イベントなど、幅広い!って感じでしたね。逆にそれ以外のことでも、ちゃんと報告や相談をすればできることが多いです。他の地域では違う所もあるんですけど、私は、有害鳥獣をやらせてくださいとお願いしました。

小野寺さんの活動としては狩猟だけですか?

実は狩猟は期間が決められていて、それ以外は自治体で任命された人じゃないと狩っちゃいけないというのがルールになっているんです。一応私も1年狩猟をしてもいいんですが、若穂は夏は狩猟をしないので、冬は狩猟、夏は革細工や地域のイベントをやる、という風に分けてやっています。
最初は自分で獲ったシカや、若穂地区で獲れたシカを革細工で使うつもりだったんですが、今は中条にある長野市の加工施設から、革の原皮を年間400~500枚くらい程購入し、飯田の工場で革に加工したものを、卸販売するのをメインでやっています。400枚あっても、私はまだ小物しかつくれないので、Spicanaとしては、革細工の販売より革の卸販売がほとんどになりますね。

仕事が面白くないこと
の方が怖い

小野寺さんは長野市に移住して、革細工ブランドのSpicanaを起業されていますが、私達は、起業をするということがとても怖いことに感じてしまいます。なぜ小野寺さんは起業にチャレンジすることができたのですか?

元々母親が美容室をやっていて、何かのお店をやりたいなと子供の時から思っていました。高校を卒業後上京して飲食店などで色々働いてみて、長くどこかで働くというより、やっぱりいつか独立したいなっていう頭になってきて、夫婦でペンションを切り盛りする会社に就職しました。
それがすごく楽しくて、自分で形にできるっていうのが実感としてあったので、多分その時に何かやろうっていうのは強く決めたという感じはありますね。
その後に、地元で1度飲食店を開いたんですが、家の事情で地元を離れなくてはいけなくなり、普通の事務員として勤めました。元々仕事はとても好きなので、楽しくできれば勤めでもなんでもいいと思っていたのですが、やっぱり会社なので、こうやったらいいのに!ということがあって提案しても、「まあいつかね」とか、そういうことが積み重なっていったんです。このままだと一生楽しくないなっていう。せっかく週5日も仕事に費やしているのに、思った通りの仕事ができないのが面白くなくて、やっぱりそこで起業した方がいいな!と。
そもそも怖いのベクトルが違くて、起業することよりも私は仕事が面白くない事の方が怖いです。自分で借金するのとか怖いし、リスクもあると思うんですけど、それは多分自分の頑張りで何とかなる。でも、そうじゃないところでもやもやする方が嫌ですね。
夫もそういうタイプだったので、そういうふたりがくっついちゃうとそういう風にしかならない(笑)

手仕事も好きなんですか?

それも大きいですね。やりたいことがポンポン出てきたときに、いちいちそれをビジネスに変えられるのがいい所かなと思っています。やりたいことをそのまま直結でできる、仕事だからと決めずに色んなジャンルでできるのがいい所でもありますね。

何ができるかなということを
常に探している

小野寺さんのお話を聞いているとお仕事とプライベートの境目が無いように感じたのですが、そのバランスはどう考えているんですか?

境目はないですね。逆に私はそれが理想でもあるんですけど、マンガを読んでいるとき以外全部仕事のことを考えている気がしますね。
ストレスがあるから仕事とプライベートを分けたいなってことはあると思うんですけど、私の場合は仕事にストレスが無いから分ける必要がないし、楽しいです。

お金のために働くという感覚ではないですか?

お金のためにしていないというのは変かもしれない。お金は必要ですけど、儲けようとかはあまり思ってないです。起業家の人とかよく儲けたら悠々自適の生活とか言う人いますけど、多分私は永遠に仕事をしてしまうと思います。なのでそんなに意味がなくて、浮いたお金で新しい機材を買ってしまったり(笑)

生活の中で1番楽しいことが仕事という感じですか?

そうですね。楽しいな。逆に文句言いながらずっと仕事をしている人はすごいなと思ってしまいます。私は楽しくないと続かないので。なので、何が出来るかなということは常に探しています。自分に興味があることで自分が出来そうなことを。

やりたいこととできることどっちの方が重要ですか?

難しいですよね。でも、若い時はやりたいことをやった方がいい気がします。今私は、やりたいことよりやれることをやっている感じなので。できることは年を取ってからでもできます。好きなことは若いうちにやっておいた方がいいと思います。だんだん好きなだけじゃできなくなってくるので。

女性として、20代から30代でできる事の内容に変化はありましたか?

私は多分没頭すると仕事しかやらなくなってしまうんですよね。家事とかできなくなるんです。でも、夫は真逆で家のことがきっちりしないと仕事ができないので、結婚したらそうじゃダメだなと。うちは子供がいないんですけど、子供がいたらもっと出来なかっただろうなと思います。もし、子供とか結婚とか考えているなら、ライフプランにそれを入れて、ある程度女性は逆算しておいた方がいいと思います。私が出来なかったので(笑)しない楽しさもあると思うんですけど、した方が目標もできて良かったなと思います。

好きなだけではなく、できることで誰かの役に立つこと

起業を2回経験した小野寺さんだから感じる、起業するときにやっておいた方がいいこととかってありますか?

起業するときに、自分本位ではなく、周りの人のことも考えた起業をした方がいいなというのは思いますね。1回目は、飲食店が好きだからという理由だけで始めたんです。やっぱそうすると全く注目されないというか。普通なんですよね。プラスαが必要だったんです。なので今回は地域のためになる、三方よしみたいな。そういうのをひとつのテーマにして考えていました。できることで誰かの役に立つことをやったり、好きなことを地域貢献に結び付けたりが大切ですね。自分のモチベーションにもなるし、地域の人の目も意識できるので。やっぱりそうやって動いていくと、色んな人が興味を持ってくれるんです。特に移住者にとってはそれがすごく大切だと思いますね。馴染み度が全然違うというか、「よく知らないけど何かやっている」と応援してくれます。
今度飲食店を開くんですけど、そこもお肉を全部ジビエ肉しか使わないということをテーマにしていたりするので。そこらへんで違いが出てくると思います。

それをすることでビジネス的に手ごたえはあると思うんですが、小野寺さん自身がよかったなと感じる事はありますか?

害獣駆除の話に戻るんですが、元々それは誰かがやらないといけないことで、しないことで自然災害が増えたりする可能性もあるので、根底にそれを知ってほしいなという想いがあります。なので、それに関われているという事が嬉しいみたいなのはありますね。長野が好きで引っ越してきたから、多少なりとも長野に恩返しできているなみたいな。ただ自分の好きなことで起業していたら得られなかったことではあると思います。

2回目の起業ではこれやればよかったなー!ということはありますか?

なんだろう、今の所順調ですね。でも、1回目は人にあまり相談しなかったのですが、今回はいろんな人を巻き込んで聞きました。銀行や商工会議所、移住者相談所に行ったり、大事なところは自分で決めるんですけど、相談はするようにしました。やっぱりそうすると色んな人に私の目が届かないところの情報ももらえるような感じになっているので。
なので色んな人と知り合うように意識はしてますね。とりあえず名刺交換と、自分はこういうことをしています!と言えるようにしておくことですね。その辺は割と得意な方で良かったです。人付き合いは大事だなあと。でも、自分のいいなと思った人とだけ関われるところもいいところです。
あとはお金かな(笑)起業をするならそのためのお金は必要です!

小野寺可菜子
出身:
岩手県
経歴:
1987年生まれ。
高校卒業後上京。

飲食店を経営したり、マッサージ店で働いたり、いろんな地域で様々な仕事を経験。
2021年、地域おこし協力隊として長野市の若穂地区に移住し、有害鳥獣の駆除、利活用と地域イベントをメインに活躍中。

好きな食べ物:
ラーメン
作成者
川北ゼミ
清泉女学院大学
人間学部文化学科3年(2022年度)
地域貢献や公共政策について学ぶ川北ゼミに所属する6人。
フィールドワークや地域の企業、行政と連携したプロジェクトを通して、日々学んでいます。
インタビューを終えて

読んでいただきありがとうございました。私はインタビューを通して、今まで想像の中でしか分からなかった起業することや移住をすることについてリアルに知ることができました。この記事を読んで長野に移住することや起業することに少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。また、小野寺さんの生き方・お仕事への向き合い方を知り、やりたいことに挑戦する為の勇気をもらいました。この記事が何かに挑戦することを考えている方の力になっているといいなと思います。