No.071
島田 裕生さん
小寺 章洋さん
信州新町地域おこし協力隊
都会と田舎からの二人の挑戦者
文・写真 Yuuki Niitsu
生粋の都会っ子の覚悟
以前ナガラボで鬼無里地区の地域おこし協力隊の方をご紹介しましたが、先月7月1日には長野市信州新町に2名の地域おこし協力隊が赴任しましたのでご紹介したいと思います。
島田裕生さんは横浜・東京育ちの生粋の都会っ子。東京では新築物件を販売する不動産業界のサラリーマンをしていました。そんな島田さんがなぜ、信州新町に移住を決めたのでしょうか。
「都会にいる時も長野県への移住志向はあったんです。ただ具体的な行動には移していなくて。それで、ある時妻に有楽町で開催された移住フェアに参加してもらったら、妻がすごく信州新町を気に入ったんです」
決め手となったのは、「緬羊飼育」だったそうです。
「うちは外食が好きで夫婦で羊を食べる機会が多かったんですよ。それと妻の実家が富山県の稲作農家だということもあり、妻にとっては田舎暮らしはお手の物。動物が大好きな妻はここしかないと思ったんでしょうね」
奥さまには最高の場所だった信州新町。しかし、都会育ちの島田さんに不安はなかったのか尋ねました。
「不安はありました。でも、田舎暮らしの経験がある妻がいることで心強いですし、田舎で仕事をするにも年齢的、体力的なものもあると思うんですよ。今45歳なんですが、50歳になってからとか定年後のスタートだと遅すぎるんじゃないかと思ったんです。それで、今しかないと決断しました」
熟慮の末に選んだ田舎暮らしですが、それまでサラリーマンとして生活してきた島田さんにご両親は反対したといいます。それでも、貫いたのには一つの思いがあります。
「私は田舎暮らしを体験するつもりで来たんじゃなくて、ここに移住する覚悟で来ています。信州新町にしっかり根を下ろしたいと。もっと言えば、田舎暮らし経験0の都会の人間が、ここまでできるんだという証を創りたいんです」
とその胸の内にある熱い思いを語ってくれました。
島田さんお気に入りの上の平展望台からの眺め。アルプスまで眺めることができる (提供:島田さん)
信州新町は都会!?
今年3月に大学を卒業したばかりの新社会人の小寺章洋さんは、京都府美山町出身。信州新町に移住してみての印象を伺うと
「コンビニがある!ってめちゃくちゃテンションあがりましたよ。僕が住んでいたところは、町にコンビニがなかったですし、川の源流があるような場所でしたから。だから僕にとっては田舎暮らしというより、都会暮らしですかね(笑)」
もともと山村振興や林業に興味があったという小寺さんは、高校時代に林業を学び、卒業後大学が開設している施設で1年間畜産を、そして大学では山村振興を専攻してきた、信州新町にとっては頼もしい存在。
自身は今後、野菜や果樹栽培の仕事をしていきたいと抱負を語ってくれました。
思いは一つ。サフォークの町
生まれも育ちも年齢も仕事も全く違う二人が縁あってこの信州新町に移住してきましたが、
「信州新町を自分たちの力で盛り上げたい。特にこの町のシンボルであるサフォークを後世に残していきたい。土用の丑の日ならぬ、『羊の日』を作るのが目標」
という思いは一緒です。
赴任してから取材した7月31日で、ちょうど1か月が経過しました。
これまで2人で町内にあるジンギスカン屋を全軒制覇するべく食べ歩き、信州新町の食文化に積極的に触れているといいます。
「この町の人は、自分たちを気持ちよく受け入れてくれるのが嬉しいです。湿気も少ないし過ごしやすい。いい時期に移住しましたよ。あっ、ただ、寒い冬はまだ経験していないですけど(笑)。でもそれも楽しみ」
と島田さんはこれからの田舎暮らしに期待を膨らませています。
そんな二人は今、来る8月15日に開催される「信州新町花火大会」で使用する灯籠の作成の手伝いや案内看板の設置マニュアルを製作する忙しい毎日を送っています。
「信州新町花火大会」の目玉は犀川を流れる灯籠を眼下に新町橋から流れ落ちるナイアガラの滝。
さらに今年から、音楽と花火の競演「ミュージックスターマイン」を試みるそうです。
花火大会でも住民の方と積極的に関わり地域に溶け込んでいきたいというお二人。
なんと地域おこし協力隊として、当日に花火を1発提供するそうです。
夏の夜空に高く打ち上がる花火のように、ここ信州新町で大輪の花を咲かせてほしいと願ってやみません。
信級地区学校跡地。日本の田舎の風景がここにはある (提供:島田さん)
信州新町花火大会の様子。今年はどんな花火が打ち上げられるのでしょうか (提供:信州新町支所)
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会える場所 | 信州新町支所 長野市信州新町新町1000番地1 電話 026-262-2202 第62回 信州新町納涼大会 |
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