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No.047

山田

康弘さん

NHKアナウンサー

ニュースに思いを込めて
故郷・長野市で夕方の顔を務める

文・写真 Takashi Anzai

「あなたにとって明日がよい一日でありますように」

NHK長野放送局のアナウンサー・山田康弘さんは、担当する番組の最後に、こう挨拶をして締めくくります。その言葉の裏側にはこんな気持ちが隠されています。

「ニュースは人の生き死にだとか不幸を扱っていることが多くて、どちらかというと幸せじゃないことが話題になります。だから、どうしてもやるせなさがあります。今日もこんな人が亡くなった、火事になった、といった切ない話をしてしまったんだけど、明日は見ている方にとっていい一日になってほしいな、という気持ちで伝えています」

山田さんは長野市出身です。
一般的にアナウンサーという職種は人気が高く、場合によっては倍率1000倍以上になるとも言われています。その高倍率に加えて、NHKのアナウンサーは転勤族。47都道府県に放送局があるわけですから、故郷で仕事をする可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

そのきわめて稀な地元出身のNHKアナウンサーとして、山田さんは2012年から、夕方6時10分から放送されている「イブニング信州」のキャスターを務めています。

「インタビューをしていて、同級生の親に『山田くん!』と声を掛けられたり、取材に行ったら同級生に会ったりとか、他のアナウンサーではありえないことが結構ありますね。故郷に帰ってきたと実感させられます」

そう山田さんは笑います。
山田さんは長野市の中心市街地・権堂の生まれ。3歳で西長野へ引っ越し、その後は三輪と、高校を卒業するまで長野市の中心部で過ごしました。

デスクにて原稿チェック。NHK長野放送局では約100人が番組制作に携わっている

大学時代、試験に落ちてゼミに入れなかったという山田さん。失意の中、高校の先輩が楽しそうにアナウンサーの仕事をしているのを見て、同じ世界を志します。そして高倍率の試験に通りました。

山田さんはアナウンサーという仕事の魅力についてこう語ります。

「飽きの来ない仕事だとつくづく思います。辞めたいなと思ったことはありませんね。楽しいんですよね。やっぱり同じことが一回もないからでしょうか。自分は、比較的飽きっぽい性格なんですが、仕事に関してはもういいやと思うことはないんですよ」

「いろんなジャンルの一流の人に会う機会もありますし、街の人の声を聞くことも含めて、人と会って何かしら吸収するところがあります。それが自分の血となり肉となっていると感じますね」

月曜日から金曜日までのニュース番組を担当するのは初任地の高知以来。それから15年以上が経って、自身もアナウンサーとして大きく変化していると感じています。

「初任地の頃は書いてあるものを伝えるので精一杯。今は、このニュースにはこういう背景があるんじゃないかなとか、文字に書いてある先をちょっとイメージするという余裕があります。たとえば、死亡事故の原稿を見たら、年齢を見て『あぁ俺と同世代だ』とか、『まだ十代なのに』とか、ニュースに接した時の感情を持って伝えるようになっていますね」

ニュースを読むときには感情を殺すのがプロのアナウンサーだと思っていた編集部・安斎。そう伝えると、こんな答えが返ってきました。

「感情を込めて伝えています。それを言葉にしないだけで、腹が立つニュースは腹立たしい気持ちで読んでしまいます。その気持ちは乗っけていいんじゃないかな、と最近僕は思っているんです。書いてある言葉を伝えるときって、伝え手の気持ちが大事なんじゃないかと思っていて、『私は怒っています』、『喜んでいます』と口にしては言わないだけで、気持ちは伝えたいと思っています」

東京時代は紅白歌合戦のラジオ中継で司会を務めたこともある山田さん。露出の多い仕事もしてきました。しかし、山田さんが目指すアナウンサー像は、飾らない人柄を表しています。

突発ニュースも多いためスタジオでのリハーサルはほとんどないというのは驚き。一人、当日の原稿の確認をする山田さん

「有名人より、いわゆる素人さんのちょっといいところを伝えるような仕事をしていきたいなという気持ちはずっとあります。のど自慢なんかがいい例ですが、キランと輝く瞬間を、ちょっと背中を押して伝える、そんな仕事が魅力的だなぁと思うんです」

地元ということで、住んでいる長野市は裏路地まで詳しく知っている山田さん。銭湯や喫茶店、居酒屋を巡るのが好きで、自転車をこいで街を散策しているそうです。お気に入りのスポットなどを聞くと、さすが長野市の「通」だと思わされる答えがポンポンと返ってきました。山田さんが「長野市の象徴」と話す善光寺の門前町の変化についても細かいことまで把握していました。

「壊して新しいものをつくるのではなくて、再生しているケースが多いですよね。僕が毎日通っていた道沿いの建物が面影を残したまま、そこで若い人がお店をやっていたりして。すごくわくわくしながら見ています」

高知、東京、名古屋、長野。さまざまなフィールドで活躍してきたからこそ分かる地元の良さがあります。そして、飾らない山田さんだからこそ、気持ちを込めて読むニュースからは人間の温かみが伝わってきます。
この記事を読んだ後、あらためてイブニング信州を見てみてください。「あなたにとって明日がよい一日でありますように」の一言が優しく胸に響きます。

アナウンサーの必需品「地名読み方辞典」と「日本語発音アクセント辞典」

(2014/07/08掲載)

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電話
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