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わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.019

高山

さや佳さん

Happy Spot Club代表

街中でモヤモヤ考えてほしいこと

文・写真 Chieko Iwashima

「私たちは確かにイベントをやるんですが”イベント屋さん”じゃないんです。イベントを通して、そこに物語が生まれるように工夫をしています」

そう話してくれたのは、児童福祉施設や老人福祉施設、障がい者福祉施設などで行われるイベントを運営、サポートするボランティア団体「Happy Spot Club」(通称・ハピスポ)の代表・高山さや佳さん。

編集部・岩島がその存在を知ったのは、知り合いの美容師さんと一緒にハピスポがイベントを行っていたからでした。そのイベントは「介護施設を利用する高齢者の皆さんにオシャレをしてもらいたい」という美容師の有志団体と一緒に高齢者グループホームで行ったファッションショー。ハピスポのブログを見てみると、認知症の人との話し方などを美容師さんたちに学んでもらうために研修会を何度も実施し、2013年12月の当日まで半年以上にわたって入念に準備をしていたことに驚きました。

長野市内の美容師有志グループ「オールウェイズスマイル」とのイベントでお年寄りをドレスアップ

施設の利用者はもちろん、施設で働く人にも幸せを感じてもらうためにイベントの計画段階からじっくり関わり、気持ちが通じ合った状態で当日を迎えることにこだわるハピスポ。さらにイベントに参加した人たちが、そこで得た経験や理解、関心が次の行動につながることを目指し、その場限りで終わらないのも特長です。

「私たちは火付け役とその後のフォロー役です。ただ、私たちが一生サポートし続けて行けるわけじゃないので、一番大事なのは個々の心の自立だと思っています。そのうち福祉と地域のつながりが深くなって私たちのやることがなくなることが夢です」

高山さんは普段、老人福祉施設で介護福祉士として働いています。介護の仕事を始めたのは6年前のことでした。

「子どもが1歳と3歳のときに離婚して…。いろいろバイトもしましたが、そのときの私は疲れ切っていて、もうなんの仕事でもいいと思って選んだんです(苦笑)」

そんな少し投げやりな思いで足を踏み入れた介護の世界でしたが、そこには人生を変える感動と学びがありました。
「認知症の方とかお年寄りの方、障がいをお持ちの方は相手の感情にすごく敏感だと思います。私に元気がないとすぐにばれて、声をかけてくれたり励ましてくれて、すごく助けてもらいました。それに、喜び、怒り、悲しみとか感情をさらけ出していて、本気で生きるってこういうことだよなってすごく学びました。介護職に就いたことで元気になりました」

ハピスポの結成のきっかけは、施設を訪れた障がいを持った子どもとお年寄りが交流している姿を目にしたことでした。

「笑顔を交わして仲良くなっている様子を見て一番大事なことはこれなんじゃないかって思いました。それをかたちにして、みんなに伝えたかったんです」

2013年の「ハピスポひろば」の一場面

2011年8月にハピスポとして初めてのイベントを開催。以来、毎年開催している「ハピスポひろば」は、子どもからお年寄りまで年齢も障がいのあるなしも関係なく楽しめます。昨年2013年6月に開催したハピスポひろばには1500人が来場。飲食コーナーもあれば動物とのふれあいコーナーもあり、ジェルアートや竹とんぼなど作って楽しめる体験コーナーも充実。障がい者の太鼓グループと子どもたちの太鼓グループの共演や、落語、バンド演奏などさまざまなステージ発表もありました。また、重度の障がいを持った2人の青年が信州プロレスのグレート☆無茶さんとタッグを組み、ずっと夢だったプロレスに挑戦。2人はその経験を生かし、障がい者のやりたいことを支援する団体「スカイロード」を作って活動しています。

そのほか、今年2014年2月に児童養護施設の児童が高齢者介護施設を訪れて模擬喫茶店を開く「おもてなし喫茶プロジェクト」を実施。前年の秋から準備を始め、事前に子どもとお年寄りの交流会も設定。打ち合わせなど企画から子どもに関わってもらいコミュニケーション能力の向上と仕事の手順を体験できるような仕組みにしました。
2013年11月に信州大学教育学部附属特別支援学校高等部からの依頼で行ったダンス発表会「ハッピースマイルステージ」は、ハピスポメンバーが学校を訪れてステージの飾りや衣装の一部を生徒と一緒に製作。照明や音響を依頼した夢幻工房さんには、生徒の表現力向上のためのワークショップを開いてもらうなど、当日を迎えるまでに何度も交流を持った上で行われました。

まだまだ、紹介しきれないほどありますが、このようにイベントに関連したさまざまな活動を同時に展開しているハピスポ。時系列を聞かせてもらっただけでも、とても忙しくて大変そう…と思いましたが、メンバーはとっても元気な様子。

「私自身もメンバーも以前よりよく笑うようになりました。みなさんと付き合わせてもらうことが楽しくて、大好きなんです」

「最初からこういう活動をしようと思っていたわけじゃないんです。いろいろ模索するうちに周りから声をかけていただいて、だんだんと広がっていって今のかたちになっていきました。就労支援とか、いろんな支援の活動がありますが、ひとつくらい仲良くなるための団体があってもいいんじゃないかなって思っています」

障がい者プロレスの司会進行をする高山さん。信州プロレスとは各種イベントで協力し合っている

高山さんの考えに共感し、ハピスポの運営に携わるようになったメンバーも自然とそして徐々に集まった人たち。高山さん以外は福祉関係で働いている人がいないというのは意外な感じがしました。

「私一人にできることってそんなにないと思っています。私は口ばっかで…一番支援してもらっているのは私だと思うくらい(笑)。浮かんだアイデアを一緒にかたちにしてくれる人たちに出会えたから活動できているんです」

イベントに来てくれた人には、笑顔になってもらいたいと思う一方で、モヤモヤして帰ってもらいたい、という高山さん。

「そういえば最近おばあちゃんに会ってないなとか、困っていた車いすの人の横を知らないふりして通り過ぎちゃったなとか。ハピスポを入口にして、そういうことを考えてもらいたいんです。街中でみんながもっとモヤモヤして考えてくれたら、とっても優しい街になると思うんです」

そんな思いもあって、高山さんは普段から敢えて障がい者の友人やお年寄りと一緒に人が多く集まるところに出かけていくようにしています。

「福祉施設とかに行くと、子どももお年寄りも障がいを持っている人もあふれるほどいるのに、街に出ると見かけない。あの車いすの子たちは一体どこにいっちゃったんだろうって不思議に思います。普段見ないから珍しがられるんです。少数派みたいに思われているけれど、実はそうじゃありません」

「実際、車いすでは行きにくいところだらけ。心無い言葉が聞こえてきたこともあります。でも、それは知らないだけだから仕方がないんです」

私にも障がいを持っている友人がいます。私は友人の力になれていただろうか…。取材をしながら、いろんな思いがめぐってさっそくモヤモヤしていた私に高山さんが言ってくれました。

「そのモヤモヤが大事なんですよ!そこからでいいと思います」

今年のハピスポひろばは10月26日(日)長野市若里のビッグハットで開催されます。過去最大規模の会場で、来場者目標数は3000人。少し不安もあるそうですが、今まで築き上げてきた関係から協力してくれる人や団体が続々と名乗りを上げてくれています。私も、自分の小さな変化を求めて行ってみたいと思います。

2013年7月ながのまちづくり活動10周年フォーラムで発表する様子

(2014/05/29掲載)

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会える場所 Happy Spot Club (通称ハピスポ)

電話 070-5363-0824
ホームページ http://happyspotclub.org/

※新企画「ふくしに何かしたい人が集まる会 Showjiトークライブ ~パパはピースのできないミュージシャン~」が開催されます。
  日時:2014年5月31日(土)19時30分~
場所:長野市ふれあい福祉センター 5Fホール

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