No.505
なお
さん
インスタグラマー
思わず試したくなる海外ライフハックを発信!
明るく、しなやかに人生を切り拓くママインスタグラマー
文・写真 原 有彩(株式会社ビー・クス)
都会も地方も関係ない。いまやスマホ一台で世界と繋がれる時代。
Instagram上で影響力を持ち、広く人々に情報を発信するインスタグラマーがここ長野市も
たくさんいます。
その中で今回は、フォロワー数約5.3万人(※2024年10月現在)、「30秒で見れる海外ママのライフハック」と称し、海外で話題の暮らしの裏ワザや通販サイトでのお得なお買い物情報を発信するママさんインスタグラマーのなお(nao.mommy)さんにお話をお聞きしました。
「海外ママのライフハック」がバズるまで
なおさんのご出身は石川県。高校卒業後、英語を本格的に学んでみたいとカリフォルニアの大学に3年間留学したのち、帰国して信州大学に入学。そこでいまの旦那さんと出会いました。卒業後は公務員として数年働き、結婚後、第一子の出産を機に退職。
自宅で子育てしながら働きたいと考えたなおさん。最初にはじめたのが、結婚式の招待状などのペーパーアイテムの販売でした。
「それまでデザインの勉強なんてしたことがなかったのですが、見よう見まねで何とかやってみようと(笑)」
独学でデザインを学び、ネット販売で少しずつ売り上げを伸ばしていきました。
その次にチャレンジしたのが、子ども服の販売です。
きっかけはママ向け雑誌で、同世代の女性が子ども服を国内外から買い付けてネットで販売しているという記事を目にしたことでした。
「私にもできるかも!」持ち前のチャレンジ精神で、さっそく挑戦したなおさん。すぐにビジネスは軌道に乗り、5年ほど続けましたが、伸びる売上と比例して、在庫の管理や外注スタッフとの調整など、負担が大きくなり、方向転換を余儀なくされました。
モノやヒトを抱えずに自宅でできる仕事はないかー。
そのころ、時代はちょうどユーチューバーやインスタグラマーの活躍が目立ちはじめた時期。それまで子ども服の宣伝ツールとしてInstagramを使っていたなおさんですが、今度はInstagram発信自体でビジネスができないかと考えました。
そこからなおさんの模索の日々がはじまります。
最初は元公務員の経験を活かして、行政からの情報を分かりやすくまとめたり、おすすめのアプリを紹介してみたり…。それでも「最初の半年は本当に泣かず飛ばすでした(笑)」
試行錯誤の末、なおさんはついにひらめきます!
「そういえば私、英語ができるじゃん!英語を活かした発信はできないかな」
参考に、InstagramやTikTokの海外アカウントをいろいろのぞいてみると、これまでに見たことがない、海外ママによるライフハック、いわゆる「ママハック」と呼ばれる生活の知恵がたくさん発信・共有されていました。
「まだ知られていない海外のライフハックを、私が日本語にして、日本のママに発信したら…ニーズがあるかも!」いまのアカウントのアイデアが生まれた瞬間でした。
以来、海外で話題のライフハックを短い動画にまとめて発信したところ、徐々にフォロワーが増加。最初にバズった投稿は、2022年8月10日に投稿した、おなじみ「ジップロック」の意外な裏技の紹介でした。
刃先を熱した包丁でジップロックを切ると、切った断面がくっついて、1つのジップロックから2つの小袋ができちゃうというもの。
▲記念すべき初バズり投稿には累計2.6万人の「いいね」がつきました。
以降、
・海外ママがやっていた「簡単な糸の通し方」
・海外ママがやっていた「アボカドの切り方」
・海外ママがやっていた(ハサミ無しで)「ガムテープをまっすぐ切る方法」
・海外ママがやっていた「薬の飲ませ方」
そのほか防災対策や収納、ラッピングの裏わざ…などなど主婦だけでなく、誰もが今日からすぐに試したくなる暮らしのアイデアがたくさん投稿されています!
▲アカウントの投稿一覧(一部)
なおさんが使用する機材は、スマホたった1台のみ。リビングの一角をちょっとしたスタジオにしていて、育児や家事の合間、思い立ったときに手際よく撮影を済ませます。
▲ダイニングテーブルのすみが、なおさんのスタジオです
撮影後、編集して発信までは1つの投稿につき、わずか1時間程度。ですが、この1つ1つの投稿に、これまでなおさんが体得した知恵やノウハウが詰まっています。
「近年、Instagramのアルゴリズム(※)が変わったこともあり、ユーザーに1つの投稿をいかに飽きずに最後まで見てもらえるかを大切にしています」となおさん。
※アルゴリズムとは…表示させるコンテンツの順番や、どの投稿をおすすめに表示させるかを決める規則のこと
1画面に入れる文字は16文字以内、1カット1秒以内で動画を作成するのが、なおさんの黄金ルール。
アカウント名にある通り、30秒以内でテンポよく展開する動画は、スキマ時間にサクっと見れて、すぐに実践できるのが忙しいママたちに人気な理由のようです。
そのほか、ママインスタグラマー同士の情報網を活かし、大手ECモールのタイムセールやキャンペーン情報をタイムリーに発信しています。
▲撮ったらすぐにスマホのアプリを使って編集
孤独のなか、繋がりをつくってくれたのがInstagram
2人のお子さんに恵まれ、今冬には3人目を出産予定というなおさん。
インスタグラマーとして活躍し、順風満帆なママライフを謳歌しているように見えますが
1人目の出産後は「産後うつ」だったといいます。
初めての子育て、自宅で赤ちゃんと2人きりの生活。
県外出身で、頼れる両親もそばにいない中、強く孤独を感じたそう。
「まるで社会から断絶されてしまった感覚。『私って何なんだろう…』どんどん自分の存在がマイナスに思えてきてしまって…」。
その時、救いになったのがInstagramでした。
試行錯誤の上、投稿が多くの人に見られるようになり、誰かの暮らしの役に立てている実感が持てたこと。そして、同じ悩みを抱える全国のママと想いを共有できたことが大きかったそうです。
ライフハックの発信だけでなく、時になおさん自身の子育ての悩みをストーリー機能を使って赤裸々に打ち明けることも多いそうですが、その度に、共感のコメントや心配の声、心温まるアドバイスなどが全国のママたちから多数寄せられるそうです。
「お互いの顔も見えないSNS上の繋がりなんて、冷たいものかと思っていましたが、実際は全く違いました。Instagramは想像以上に『愛』のある世界!毎日のようにフォロワーさんとDMやコメントのやりとりをしていますが、リアルな人間関係とほとんど変わらないなって。まるで古くからの友人のように、私に悩みを共有してくれるママもたくさんいますし、毎日オンラインで”井戸端会議”をしている感じです(笑)」
▲第3子を出産予定のなおさん 産前産後でも自分のペースで働けるのはインスタグラマーならでは。
もう1つの大切な活動 自身主催のオンラインサロン
Instagramの発信とは別に、なおさんが大切にしている活動があります。
それが1年前からはじめたオンラインサロン「インスタ頑張るママサロン」です。
なおさんからInstagramのノウハウを学びたいという方からママさんインスタグラマー同士交流を深めたいという人まで全国各地で80人弱の会員さんがいます。
1人完結できる分、ともすると孤独になりがちなインスタグラマーの世界。サロンでは月に1回に会員が集まるオフ会があるほか、オンラインチャットを使って、メンバー同士、撮影や編集の様子を実況中継するなど互いに励まし合いながら、それぞれが活動しています。
▲サロンメンバーと交流するなおさん
今後はこのサロンを通して「1人でもInstagramで稼げるママを増やしたい」となおさん。
それでは自身のライバルを育てることになってしまうのではと心配になりますが、
「実際、外で働いていないことを後ろめたく感じるママの声も多く聞きます。
だからこそ、おこずかい程度でも自分の収入があれば、気持ちも変わってくるはず。
場所も時間も制限されず、誰でも簡単にはじめられるInstagramは、子育ても自分の人生もどちらも大切にしたい人にとって、これ以上ないツールではないでしょうか」
かつて自分が悩んだからこそ、1人でも多くのママに明るい人生を送ってほしい、そんな思いでなおさんは、培った知識とノウハウは惜しげもなくサロンメンバーには共有し、これからInstagramをはじめようという人には、コンサルティングサービスも提供しています。
「意外かもしれませんが、アカウントを立ち上げる前に、相談者の方には就職活動の時と同じように『自己分析』してもらいます。
これまでの人生を振り返り、どんなことが得意だったか、逆に何に悩んだりつまずいたりしたか、かなり掘り下げてお聞きします。実はそこにバズる『タネ』があるんですよ」
例えば、体型にコンプレックスがある人なら、ダイエットや食事管理について自ら勉強したり実践したりと、自然と他の人より詳しくなる可能性は高いでしょう。それこそがアカウントとしての強みになるとなおさんは言います。
Instagramの成功のカギは、数字が伸びない時期でも、いかに地道にコンスタントに発信を続けられるか。「これなら自分が飽きずに探究していける」という自身のテーマを見つけるのが大切なのだそうです。
Instagramは誰でもできる“起業”
手軽にはじめられるのに、大きな可能性を秘めているInstagram。
「自分のアカウントを立ちあげることは、自分の会社を起こすのに似ていると思います。でも、Instagramの場合は本当の起業とは違って、お金もかからないし、担保もいらない。運用してみて、『上手くいかないな、アカウントの方向性が違うな』って思ったら、気軽にアカウント名を変える=社名変更して、やり直しちゃえばいい」
と明るくなおさんは笑います。
「人によって向いている発信の方法は違いますし、実際にどんな投稿がバズるのかは、やってみないと正直分からないです。だから興味がある人は、まずは一歩踏み出してほしいですね」
引き続き、次世代インスタグラマーの育成に力を入れつつ、今後は、自身の経験を活かして長野県内企業の広報のお手伝いも積極的に行っていきたいと、なおさん。
時間にも場所にもしばられない、設備や道具も必要としない、新しい働き方。
自分の強みを活かし、母として、1人の人間として、明るく、しなやかに人生を切り拓くなおさんの姿は、多くの女性に希望と勇気を与えてくれるはずです。
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